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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

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ファンレター

「はぁ、はぁ、ど……どうかな?」

「……うん! 合格!」


 ミニライブが明後日に迫る中、ギリギリの滑り込みで振り付けを終えた。


「はぁー!! 疲れた!!」

「お疲れさま! でもゆっくりしてられないんじゃない?」

「え?」

「ほら、昇格試験も同日なんでしょ?」

「あっ!!」


 今夜はスタジオに二人だけなので魔法少女の話題も気にすることなく話せている。


「しまった、すっかり忘れてた」

「ごめんね、せっかくのチャンスなのにミニライブが重なるなんて……」

「気にしないで、私が選択したことだから」


 ミニライブは夕方。試験は昼間。時間的にはなんとか間に合う。


「それに、ミニライブは絶対に成功させたいから」

「かえで……」


 最初は煌梨に振り回されて仕方なく始めたアイドル活動も、今は悪くないと思える。それに、優海さんを招待してるんだ。良いものにしたい。


「そうだ、かえで宛にファンレター届いてるんだけど」

「ファンレター? ってなに?」

「あのね、ファンからの手紙だからファンレターなのよ」

「そ、そうだね。貰ったことなかったから……」

「ファンレター自体は大量にあるんだけどね、この一通はどうしても気になって」

「え? そんなに大量にあるの?」

「そうねー、1万通はあるんじゃない?」

「い、1万通!?」

「驚くことじゃないでしょう。あの事件は世界中に報じられたし、MVだってあるし。それで100通や1000通しか来なかったらプロジェクトの敗北よ」

「そ、そうだけど……」


 それにしたって凄まじい数字だ。改めて事件の影響力と姫嶋かえでの人気を実感するな……。


「まあ、それでも今回は特別だけどね。センセーショナルな事件と衝撃的なデビューだから。ファンレターというより、お見舞いのメッセージも多かったようだし」


 そうだった、姫嶋かえでは表向きまだ入院してるんだ。それも生死不明の重体として。


「そっか、皆さん心配してくれてるんだ」

「それと同時に、早く見たいのよ。かえでのライブをね。……これよ」


 渡された封筒には差出人として野木涼太の名前があった。どこかで聞いたような気がするな……。

 手紙を取り出すと、そこには決して上手ではない文字で、しかし圧倒的な熱量で想いが綴られていた。


「――あの時、君が大人をビンタでぶっ飛ばしたのは衝撃的だったけど、それ以上にアイドルだったことに驚いたよ。……これって」

「思い出した?」


 すっかり忘れてた。俺がナンパ野郎に絡まれてる時に助け舟を出してくれた男の子だ。そうか、そういや野木とか叫んでたな。


「あの子かー!」

「やっぱり、あの時かえでがナイスビンタを喰らわせた時のね」

「よく1万のファンレターから見つけたね」

「たまたまよ。偶然目に留まって、これは運命的だなって持って来たの」

「いや、偶然見つけたのもすごいけど、名前を覚えてるのもすごいよ」

「意外と得意なのよ、人の名前を覚えるのが」


 だろうな。たった一度聞いた名前を覚えてるとか、もはや才能だ。


「でも、この子は招待できないよね?」

「そうね、三ツ矢女学院にはね」

「には?」

「ツアーの初日に招待しようと思ってる。もちろんサプライズでね」


 好きだなサプライズ。


「いいんじゃないかな、私も助けてもらった恩があるし」

「決まりね! 驚くわよー」


 そりゃそうだろう。ある日突然HuGFから直々にライブの招待状が届くんだぞ? 佐々木なら卒倒するわ。


「……そうだ、知り合いを招待するのってダメかな?」

「今ならまだ間に合うわよ。何人?」

「二人。でも怪しまれるか」

「どうして? かえでが直接渡せばいいじゃない」


 そうか! 姫嶋かえではデバッガーとしてアストラタでバイトしてたんだ! 直接渡しても不思議に思われないな。


「そうだよね! ありがとう!」

「どういたしまして……?」

「あとは昇格試験か」

「あっさり合格したりして」

「試験内容分からないから対策しようがないんだよね」

「なら、むしろミニライブの練習に集中して良かったかも」

「どうして?」

「課題が分からないと色々対策用意しないといけないでしょ? それなのに当日まったく別の課題になることだってあるわけじゃない」

「ああー」

「それなら、逆になんの用意もしないで挑んだほうがフラットにやれると思わない?」

「思う」


 ミニライブの練習に集中したおかげで逆に試験に挑みやすくなるなんて思いもしなかった。

 こうなりゃ当たって砕けろだな!!



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。


ファンレター1万通はあくまでフィクションです。調べた限りでは多くても数千通で、通常はもっと少ないようです。


それにしても野木くん覚えてる人いるのかな? ほんのワンシーンだけ登場したキャラですが、「君ってアイドルだったんだね!」というシーンを書きたいと思ってできなかったので、ファンレターで思い出してもらいました。

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