表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

246/259

メイプルとの夜

「やべーよ時間ねぇよー!!」


 花織さんとのレッスンや、その後の事件でそれどころじゃなかった。

 それでなくとも英歌詞なんて考えたこともないのに、時間がない。ビールを飲みながらマンションでノートPCとにらめっこするが、なんにも浮かばない。


「……ハローメイプル」

『はい、なんでしょうか?』

「メイプルってAIだよな?」

『はい。姫嶋かえで専用AIとして設計されています』

「英語で歌詞作れたりする?」

『できなくはありませんが、私は詩的表現への理解が乏しいためマスターやHuGFの皆さんを満足させられるクオリティは保証しかねます』

「うーん……。じゃあさ、メイプルのキャラ変えてくれない?」

『キャラですか?』

「うん。もっとフランクな感じで」

『……変更してみたけど、こんな感じでいいの?』

「おお! すごいな、さすが藍音のAIだ」

『ありがと。でも、あたしのキャラ変しただけじゃ変わらなくない?』

「ちょっとした気分転換だよ」

『ふーん? じゃあ、キャラ変ついでに言いたいことあるんだけど』

「なんだ?」

『マスターって姫嶋かえでの時のほうがモテるよね』

「ブッ!」


 変なことを言われてビールを吹き出す。PCに掛からなくて良かった……。


「ゲホッゲホッ、なんだ急に。そんなにモテるか?」

『自覚ないんですか? 女子にもモテるじゃないですか』


 うーん、そう言われてみると……思い当たる節はままある。最近で言うと水鳥だ。最初は高圧的な態度だったのが、謎の魔物を倒した途端に豹変して慕われるようになった。あと乃愛……はちょっと特殊な気がする。


「そもそも魔法少女が女子オンリーだし、三ツ矢女学院はお嬢様学校だし、男に接する機会がないから分からなかったな」

『男子は好きな人多いでしょ。かえでのファン層は男子比率高めだし』

「あー、そっか。女性アイドルは男のファン多いもんな」

『女子もいるんだけど、圧倒的に男子だね』

「しかしなんとも複雑というか、虚しいもんだな」

『なんで?』

「どうせモテるなら樋山楓人としてモテたいよ」

『……そうですね』

「どうした?」

『なんでも。ところで、このキャラ変いつまでやるんですか?』

「けっこう面白いから、しばらくそのままにしようかな」

『分かりました。確かにキャラ変も楽しいかも』


 そんなことより歌詞をなんとかしないと……。


「あーそっか、メイプルは翻訳ならできるか?」

『うん。翻訳なら全然いいよ』

「じゃあ、俺が日本語で歌詞書いて、それをメイプルに意訳してもらおう」

『でも、それならパソコンのAI翻訳でいいんじゃない?』

「メイプルだから良いんだよ。俺にとってメイプルはAIってだけじゃなく相棒(パートナー)だからな」

『……そういうとこじゃないかなぁ』

「なにか言ったか?」

『ううん、なんでもない。じゃあ書けたらまた呼んでね』

「分かった」


 そうとなれば話は早い。日本語で良ければよりディテールを明確にできる。


「ヒロインの悲しい気持ち、心情を表現する……」


 単純に悲しいとか寂しいだけでもいいんだろうけど、作者が重い女の子になりそうだと言ってたくらいだ。もっと詩的な表現にしたいな。

 あーでもないこーでもないと、まるで作家になったような気分で頭を捻る。


「うーん……なんとなく形にはなってきたかな? メイプル」

『はーい、できたの?』

「これを英訳してくれ」

『……できたよ。一応3パターン作っておいた』

「さすが、頼りになるぜ」


 一つはストレートな翻訳。いわゆる直訳というやつだ。二つ目は詩的な表現、三つ目はより丁寧な表現。


「うーん、やっぱり二つ目がいいかな」

『ところで、タイトルはどうするの?』

「え? あ! そういや忘れてた!」


 タイトルか……。英歌詞が少し詩的になっちゃったし、タイトルは簡単なものでいいかな。


「ヒロインの歌とか」

『マスター、さすがにそれはないですよ』

「うっ……」


 そんなこと言われてもなぁ、タイトルなんてそう簡単には――


「……これだ」


 歌詞を見てたら、ふっと浮かんできた。ヒロインの心情を表せて、かつ歌詞にもリンクしてる。


「できたよ」

『……うん、素敵だと思うよ。マスター』

「メイプル、いつもありがとう」

『え? どうしたの急に?』

「いや、歌詞を英訳してくれたお礼を言おうと思ったんだけどさ、普段から助けてもらってばかりで言う機会なかったから」

『あたしはマスターのために作られたAIだよ? マスターを助けるのなんて、当たり前だよ』

「それでもさ、いつも助かってる。本当にありがとう」

『……ズルいですよ』

「え?」

『マスターまでキャラ変したみたいです』

「普段の俺ってそんなに無愛想か?」

『ふふ。私の方こそ普段から頼っていただき、ありがとうございます。私にできることは限られていますが、今後もご期待に沿えるよう全力でサポートさせていただきます』

「……メイプルこそズルいじゃないか、急に改まって」

『お返しですよ、マスター』


 俺は魔法少女として本当に恵まれてると思う。メイプルはもう無くてはならない相棒(パートナー)だ。


「よし、明日は俺たちで作った歌詞を見せに行こうか」

『はい。マスター』



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。


キャラ変する予定は無かったんですが、面白そうなのでしばらくこのままやってみます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑にある☆を★★★★★にして応援していただけると嬉しいです。無限エンジンの燃料になります。 script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ