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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

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事件後 ‐ ランクD

「そんなやり取りがあったんだ」


 ヤノウの正体が洗脳されてない魔法少女だと看破し、ニューラを策に嵌めて浄化した。付き人の協力があったとはいえ、一人で司令塔とボスを相手取ってやっつけるとか、バケモノかよ。


「一つだけ分からないことがあるんだけど」

「なんですか?」

「ランクDってなに? 魔物のランクってCまでだよね? それより下ってわけじゃないんでしょ?」

「ああ、姫嶋さんはまだご存知ないんですね。ランクDは特別枠なんですよ」

「特別枠?」

「どのランクにも当てはまらない脅威。天災に匹敵する魔物。Dとは災害(ディザスター)の意味なんです」

「なっ!?」


 話には聞いていた。月見里(やまなし)千夜がソロ狩りを成功させたという魔物。それが三ツ矢女学院の地下に封印されてる!?


「つまり、ニューラはその魔物を復活させようとしていたの!?」

「そういうことです」

「本当に阻止できて良かったよ……」

「ですが、まだ安全とは言えません。封印されてる魔物が存在する限り見えない脅威は続きます」

「浄化することはできないの?」

「大昔のことで記録がないんです。当時封印するしかなかったということは、それだけ強かったか、封印以外に対処のしようがなかった。と考えられます」


 確か……学院の結界を張ったのは廷々家だったな。


「ちょっと聞いてみるか」

「え?」

「知り合いなら分かるかも」


 魔法通信で呼び掛けると、すぐに応答してくれた。


『はい』

「紫、聞きたいことがあるんだけど」

「紫って……廷々さん!?」


 驚く真中を尻目に話を続ける。


『地下の魔物について、ですか?』

「話早いな! そっか、今回紫も協力してくれたんだよね。ありがとう」

『いえ、お仕事ですから』

「それで、単刀直入に聞くんだけど――」

『はい、封じたのは廷々です』

「いや、話早いのはいいんだけど、どうしたの?」

『かえでさんが質問されるであろう項目をピックアップしてお返事を用意してあります』

「なんかAIみたいだな……。それで、その魔物って」

『名前はヌークェイド。全長およそ5里――メートル法に換算すると20キロメートルほどの大きさで、ドラゴンのような姿をしてます』

「ぜ、全長20キロメートルのドラゴン!?」


 ランクAのアノバリウスだって5階建てのビル程度だったぞ。規格外過ぎる……。


『当時の100キロメートルエリア担当が全員で三日三晩戦い、それでも勝てなかったそうです』

「勝てなかった!? 100キロメートルエリア担当が全員で!?」


 おいおい、そんなものが復活したら東京は壊滅するぞ!


『そのため、当時の魔法技術の全てを使って三ツ矢女学院のあった土地に封じたんです』

「え? てことは、三ツ矢女学院は魔物を封じた土地に建てられたのか?」

『はい。封印には蓋となるものが必要でした。当初は人柱も考えられてましたが、そこへ創立者の三ツ矢が現れました。

 今の三ツ矢女学院の前身となる学校を建てる計画を知った魔法(M)少女(G)協会(A)は、その学校を物理的な重しに利用したんです。そして学校に集まる魔物を防ぐ名目で巨大な結界を張り、蓋としたわけです』


 なんてこった。三ツ矢女学院は災害級の魔物を封印するための蓋の役割もあったのか。


『今回ニューラという魔物が企てていた計画は、生徒を全て洗脳することで結界を実質的に無力化し、地下の結界を破壊。ヌークェイドを呼び起こすというもの。ヌークェイドが地上に現れるだけで三ツ矢女学院は壊滅するでしょう』


 それはそうだ。全長20キロメートルのドラゴンが地中から起き上がるんだ。岩盤を持ち上げるようなものだ。


「その勢いでもって、魔法(M)少女(G)協会(A)を攻めるつもりだったのかな?」

「それはないと思います」

「というと?」

「ニューラは魔法少女と人間について興味を持っていましたが、魔法(M)少女(G)協会(A)を攻め滅ぼすといったことは一度も話してません」

『他の仲間には話していたかも知れませんよ』

「それは……そうですが……」

「そういえば仲間はどこに行ったんだ?」

『引き続き捜索はしてますが、完全に行方をくらませてます』

「そっか……。ありがとう」

『お役に立てましたか?』

「うん、すごく助かったよ」

「そうですか、ではまた」


 通信を切ると、椅子に深くもたれる。


「天災に匹敵する災害級の魔物か……。今でも倒せないのかな?」

「分かりません。ただ、一番の問題は三ツ矢女学院をどうするかです」

「そうなんだよね」


 ヌークェイドを倒すとして、まず三ツ矢女学院が邪魔になる。だからって移築できる規模じゃないし、どうしたって色々問題がある。


「それなら封印し続けたほうが現実的か。ていうか、この話は北見校長知ってるの?」

「はい。中原理事長もご存知のはずです」

「そっか」


 ということは当然、天界も把握してるはずだ。ぷに助が言わないのは……いつものことか。


「それと、私についてですが……」

「君がスパイだってこと、秘密にすればいいんだよね」

「はい。そうしていただけると幸いです」

「じゃあ、秘密にする代わりに言うことを聞いてもらおうか」

「え!?」

「なんてね、言ってみたかっただけ」

「……一つだけなら、構いませんが」

「え?」

「今回は姫嶋さんに大変お世話になりましたし、そのお礼という形であれば」

「あはは、冗談のつもりだったんだけどな……。でもありがとう。なにかあったら力を貸してね」

「はい。分かりました」

「それじゃ!」


 図書館を去ろうとしてラインメッセージが届いた。


「煌梨から? なんだろう」


 メッセージには『歌詞はどうなってる? それに練習も。時間ないよ』とあった。

 

「忘れてたああああああああああ!!」 



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。


災害級の魔物。ランクDはいつか書きたいです。

そして図書館ではお静かに。

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