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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

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学院の異変㉔ vs陽奈

「これは……!?」


 図書館の上空に来ると、見たこともない結界に覆われているのが見えた。


「どうなってるんだ?」

『魔法少女による結界と思われますが、該当者無し。恐らくニューラに操られた生徒によるものです』

「中でなにが……」


 と、その結界から一人飛び出してきた。


「陽奈! 無事だったのか!」

「……あなたね? 茜たちを困らせてるのは」

「え?」

「悪いけど、二度と近づけないくらいボコボコにするから」

「ちょ、ちょっと待って! 私だよ姫嶋かえで! それに茜って誰!?」

「姫嶋? 聞いたことないわね」

「えええええ!?」

「それに、茜は私の親友よ!」

〈マスター、茜という名前に該当者有りです。三ツ矢女学院中学2年生、(まゆずみ)茜。魔法少女候補です〉

「またかっ!」


 陽奈の攻撃を避けながら、どうしたらいいのかを考える。

 

 先ず状況を整理すると、陽奈はどうやら再び洗脳された様子だ。ということは図書館の結界にニューラがいるのだろう。……でも、どうやって学院の結界を抜けたんだ?

 黛茜はアイクルと同じく間接洗脳を受けた子だろう。陽奈はその子の術中にも嵌められてしまった。ということか。


 陽奈は他の子よりしっかりしてるし、魔法少女としても優秀だ。深い策が用意されてたのも頷ける。だが陽奈が図書館に行ったのはたまたまだぞ? まさかその前から図書館を選ぶよう暗示があったのか?


「私を相手にして考え事とは、余裕ね?」

「そういうわけじゃ……!」


 陽奈の魔法の一つ、フリーゲン。魔法で作った武器を飛ばすというシンプルなものだが、本人から聞いた話じゃ最高速度は時速175キロメートル。秒速にして48.6メートルにもなる。つまり、アタッカーの間合いなら回避はほぼ不可能な攻撃だ。


「でも!」


 中距離からの砲撃なら話は別だ。それに、今のピュアラファイには洗脳解除の術式がある!


「ピュアラファイ!」


 逃げ場を無くすため、あえて拡散気味に放つ。


「よし、これで元に――」

「今のなに? やる気あるの?」

「なっ――!?」


 ピュアラファイが消えたと同時に目の前に陽奈がいた。


「効いてない!?」

「こんなの効くわけないでしょ!」


 フリーゲンで出した双剣を振り下ろす。咄嗟に杖で防ぐも、信じられないパワーに押されて地面に叩きつけられてしまった。


「ど、どういうことだ? 確かに洗脳解除の術式を起動して撃ったぞ?」

〈有栖川陽奈の魔力を解析しましたが、洗脳魔法とは違うようです〉

「違う? だってどう見たってあれは……」


 洗脳魔法にしか見えない……。だが実際に解除術式を乗せたピュアラファイが効かなかった。ニューラの洗脳魔法の他に原因があるとすれば――


「操られた生徒のほうか!」


 謎の結界に向かうと、当然のように陽奈が防衛に来る。


「ちょっと、私を無視しようなんていい度胸してるじゃない」

「陽奈、君は今操られているんだ」

「操られてなんかいないわ。ただ親友のために動いてるだけよ!」

「親友?」


 近距離でフリーゲンを相手にするには、やはり【双天緋水】しかないか!


「へー、アタッカーもできるのね。あの人みたい」

「あの人?」

「ま、遠く及ばないけどね!」


 飛んでくる武器を【双天緋水】でひたすら叩き落とす。これじゃアイクルの時と同じだ。あの時は背後にいる本体を叩けば終わったが、陽奈にピュアラファイを撃ったところで意味がない。


「ほんの僅かでも隙ができれば……」

〈それでしたら提案があります〉

「提案?」

「へぇー、けっこう耐えるのね。じゃあ、これで終わりにしてあげる」


 陽奈は黒い球を作り出す。明らかに危ない魔法だ。


「じゃあね、ゼス――」

「閃光弾!」

「なっ……!?」


 メイプルの提案は見事に成功した。以前に本部のショップで貰った特殊弾セットの一つ、閃光弾。使うことはないだろうと思ってたのに、まさか有効活用する時が来るとは。


「ごめんね」


 陽奈が怯んだ隙に図書館の結界を破壊する。そこには一人の女の子がいたが、ニューラらしき姿は見えなかった。


「あーあ、もう突破されちゃった。陽奈も甘いわね。もっと早くゼストロン使ってれば簡単に勝てたのに」

「君が陽奈を操っていたのか」

「そうよ。でも少し違うわ。陽奈は自分の意思で私に協力してくれたのよ」

「自分の意思で……?」

「ええ。私の魔法は強制力を持たない。ただ従わせるだけなら、ニューラ様がやって下さるわ」

「……君のことを親友と言ってたよ」

「ええ、だって本当のことですもの」

「……私のことは忘れてたよ」

「忘れる程度の存在だったんじゃない?」

「――!」


 胸の奥がザワつく。魔法少女の器がカタカタと震えるのが分かる。この感覚には覚えがある。


「ぐっ……!」

「あら、どうしたの? 陽奈にとってその程度の存在だったことが辛いのかしら?」

「そうじゃ……ない。陽奈の、人……の心を、(もてあそ)ぶのは止めるんだ!」

「弄ぶ? 人聞きの悪いことを言わないで。私は陽奈の心を解放してあげただけよ」

「嘘だな」

「……なんですって?」

「さっきから君の目が泳いでる。左手で右腕を抑えてる。君は嘘をつけない人間のようだ」

「そ、そんなことで嘘だなんて決めつけないで!」


 女の子が本に何かを書くと、陽奈の魔力が大きくなったのが分かった。


「なにをした!?」

「ふふ、たった一つの命令よ。目の前の敵を殺せってね」

「――! なんてことを!」


 迫る陽奈は、さっきとは打って変わって眼に生気がなかった。これじゃただの殺人マシーンじゃないか!


「目を覚ませ陽奈!」

「無駄よ! もう誰の声も聞こえないわ。あなたを殺すまで止まらない!」

「いや、止めてみせる!!」



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

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