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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

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学院の異変㉑ フィノェラ戦

「……まだ立つのね」

「当たり前よ」


 肩に激痛が走る。よりによってこんな時にキュアオールどころかRドリンクもない。回復魔法も登録してない。この子の言う通り、長引けば命が危ない。


「悪いけど、図書館を破壊してでもあなたを倒すわ」

「陽奈、(さと)いあなたなら察しているでしょう。私には勝てないわ。そんな不毛な争いをするより、こちら側に来たほうが有意義だと思わない?」

「残念ね、そこだけは価値観の相違があるわ!」


 普段は野外戦でしか使用しないボンバードを起動する。どういう仕掛けなのか分からないけど、図書館が領域(テリトリー)になってる可能性は大きい。なら、この場を壊すまで!


「蹴散らせ!!」


 破壊の翼で図書館を破壊する。蔵書は後で弁償するからね、と心の中で謝りながら紙片一つ残さず更地にする覚悟で魔法を放つ。


「仕方ないわね……」


 フィノェラが手に持つ本を開いてペンを走らせると、世界は静寂に包まれた。


「……え?」


 そんなバカな……。今確かにボンバードで図書館を破壊してたのに、まるでそんな事は無かったように元に戻っている。


「どういうこと……?」

「頭に血が上って理解が追いつかないようね。これが私の魔法よ」


 そう言って、フィノェラは手に持つ一冊の本を見せる。

 

「私はこの本に書いた望みを現実に書き換えることができるの」

「そんな――」

「バカな。あり得ない。そんな陳腐な言葉しか出てこないの? 私は陽奈を誰よりも買っているのよ。ガッカリさせないでね」


 またペンを走らせる。すると本棚から飛び出した本がフィノェラの背後、肩上あたりの高さに静止する。

 表紙じゃなく、小口がこちらに向いてる?


「そう、良いところに気づいたわね。でも、どうしてこの向きなのか、そこまで分からないと……死ぬわよ」

「――!」


 咄嗟に避けると、床に紙――本のページが刺さった。


「紙片の弾丸ってわけ……」

「言うまでもないことだけど、紙片はいくらでもあるわ」


 まるでマシンガンを相手にしているようだ。紙片はいくらでもある。その言葉通り、本棚の陰に隠れても湯水のように撃ちまくる。いくら本棚が堅くても長くは持たない。


「くっ!」


 隠れながら反撃の糸口を探す。何かあるはずだ。どんな魔法にも弱点や欠点が必ずある。


「この魔法には弱点も欠点もないわ。それに、今は手加減をしてるってこと、気づいてる?」

「え?」

「例えば、こんなことだってできる」


 今まで本棚で防いでいた紙片の弾丸が貫通してきた。


「なっ!?」

「私の魔法、もう一度だけ説明してあげる。この本に書いた望みを現実に書き換えることができる。それが私の魔法よ。言ったでしょう? 私には勝てない」


 つまり、やろうと思えばいつだって私を殺せるってことね……。


「ようやく理解できたようね。この不毛な戦闘を終わらせるには、陽奈が私たちの仲間になるか、死ぬかの二択なのよ。あら? これだと一択ね」


 クスクス、と悪魔のように嗤う。

 

「随分と饒舌ね。圧倒的な優位でご機嫌なのかしら?」

「そうね。陽奈が仲間になるんですもの。勝ちが決まってる試合でも楽しいわ」

「あら? 私が拒否したら楽しくないんじゃない?」

「バカね、死ぬか仲間になるかの一択よ? 陽奈に選択肢は無いのよ」

「そうでもないわ。あなたの魔法には致命的な弱点があるもの」

「……弱点? おかしいわね。私は弱点が無いと言ったはずよ」

「言うだけなら誰にだって言える。強い言葉、意味ほどブラフとしては弱くなる」

「そう……。どうやら、陽奈にはキツイお仕置きが必要のようね。本当はこんなこと、したくなかったんだけれど!」


 フィノェラは本を開き、力強くペンを握る。そのほんの一瞬の隙にフリーゲンを発動し、最速で飛ばせる細身のレイピアを射出する。


「甘いわ!」


 本に刺さる寸前にレイピアは止まった。

 ――いや、世界が止まった?


「ごめんね陽奈、これもあなたの為なの」


 フィノェラのその言葉を最後に、私の意識はブラックアウトした――。



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。


4人の戦闘はそれぞれもっと書き込みたかったんですが、あまり長く書くのも冗長感ありそうなので、ラストのフィノェラを多めに調整してあります。紙片の弾丸は漫画なら迫力ありそうだし、アニメでも見てみたいですねー。

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