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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

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学院の異変⑨ 試作品

「うぐっ……」


 流石に効いたなぁ。……なるほど、力を解放してもすぐに強くなるわけじゃないんだね。ちょっと油断しちゃったな。

 アタシの“ギア”のほうも、ようやく調子出てきたし。CDBカウントダウン・ブレイカーと合わせれば十分に勝機はあるはず。


「かえで……」


 なにやらマタリナと話している。たぶん、アタシの生体反応を見て時間稼ぎと情報収集をしてくれてるんだろうな。かえで頭いいから。

 山田さんからかえでがピンチだって聞いて駆けつけて来れて本当に良かった。今度こそはアタシがかえでを守る!


CDBカウントダウン・ブレイカー、5セカンド!」

《カウントダウン開始》


 倒壊したビルにから飛び出すと、マタリナを蹴り飛ばす。


「ブレイク!」


 クリーンヒットしたマタリナは、奥にあるビルに激突した。


「倒してみろ? やってやろうじゃん!!」


 今のはギアもちゃんと乗ってる。これで無傷ってことはない。


「あ゙あ゙ー、痛えな」


 崩れたビルの中から立ち上がって歩いてくる。

 ほぼ、ノーダメージか?


「なんだ、やりゃあできんじゃねえか」

「いつアタシが全力出してるって言った?」

「へぇ、なるほど。お前にもあったわけだ。奥の手ってやつが」


 これはかなり手強い。今は恐らくランクAの上位種くらいの力がある。下手したら100キロメートルエリア担当の領分に入りかけてる。


「まあね」

「なら、お楽しみの続きと行こうか」


 マタリナの攻撃は全てを避けるか受け流すかしないと、まともに受けたらいけない。


「なんだ? ビックリ箱で終わりか?」


 ギアが全開(マックス)になるまでまだ時間が掛かる。それまではなんとか耐えないと。


CDBカウントダウン・ブレイカー、12セカンド」


 悟られないよう、少し間合いを取ってから小声で発動する。本来は一撃必殺の術式なんだ。何度も使うわけにはいかない。


「ギアは?」

《残り3分》


 3分……。ギリギリだな。


「どうした? もう終わりか? もっと来いよ。ほら」

「言われなくてもね!」


 くそ! 今度はアタシの攻撃が見切られてる。これが馴染んできたってことなわけ?


「この……! ブレイク!」


 なんとか当てる。けど、当たっただけだ。


「惜しいな。そのブレイクってやつが奥の手か? なるほどな、当てる瞬間に攻撃力を爆発させて打ち砕くのか。怖えもん考えるなガキのくせによ」

「アタシじゃないよ。元は師匠の技だ」

「へぇ、師匠がいんのか。強えか?」

「アタシの百倍は強いよ」

「いいねぇ、そいつここに連れて来いよ。()ってみてえ」

「それは無理だね。もう引退してるから」

「……はあ? なんだよつまんねえな。つーか魔法少女って引退があるのかよ。……お前もういいわ」

「なんだって?」

「ああ、言い方悪かったか。今のお前を殺しても面白くねえって言ったんだ。もう少し強くなったら相手してやるよ」

「……へぇ、舐められたもんだね」


 ギアの全開(マックス)まで、あと少し。


「なら、これでどうだ? 炎刀“カグツチ”!」

「なに?」


 まだまだ研究中の試作段階だけど、あと少しの時間稼ぎにはなるはずだ!


「ハハッ! ここに来て新魔法か! いいぜ、遊んでやるよ!」


 上手く挑発に乗ってくれた。それはいいけど……!


「おらおらぁ!」


 いくら試作段階とはいえ、カグツチと素手で戦うなんてメチャクチャな奴だな!


「うあっ!」


 まだ剣に慣れてないのもあって、簡単に体勢を崩されちゃう。剣術の修行もしなきゃな。


「なんだなんだ、もう終いか?」

「なわけ、ないだろ!」


 斬りかかろうとして、アナウンスが聞こえた。急遽反転して距離を取る。


「なんだ?」

「待たせたね」

「あん?」

「アタシの全力を見せてあげるよ。“ギア”オープン!」


 術式が両手両足に走る。そこにCDBカウントダウン・ブレイカーを重ねる。


「1セカンド!」


 カウントダウン・ブレイカーは秒数が少ないほど威力を発揮する。だからこそ扱いづらい。師匠ですら1秒は滅多に使わなかったそうだし、成功率も低かった。

 でも、アタシの“ギア”を使えばそれも可能になる!


「ブレイク!!」


 マタリナも気づかないほどの一瞬で間合いを詰める。


「なに!?」

《――誤差0.5秒。クリティカル》


 発動した瞬間、マタリナの体が潰れるのが分かる。


「てめ……ぇ……」


 今度はマタリナがビルに激突し倒壊させた。


「はぁ、はぁ……」

《ギア残り2分57秒》

「早く決着つけないと!」


 マタリナのところへ行くと、姿が見当たらない。


「隠れた?」


 時間が無いっていうのに!


「やれやれ……。ようやく体が馴染んできたぜ」

「……バケモンだね」

「ハッ、てめえら魔法少女に言われたくねえよ」


 この様子だと、潰した箇所は復元されてるな。


「どのくらい馴染んだのさ?」

「安心しろ、ようやく70%ってところだ」


 確かに、さっきよりも威圧感がある。纏う魔力が重い。でも、今のアタシなら渡り合える!


「本調子とまではいかないが、お互い奥の手は出し尽くしたようだし、そろそろ本番と行くか?」

「もちろん」


 残り2分半。ギア全開のCDBカウントダウン・ブレイカーの1秒でなら通じる。でも撃ててあと2発が限界だ。それ以上は身体が持たない。


 マタリナから仕掛ける。得意の蹴りもギア全開状態ならギリギリ耐えられる。瞬きも許されないような緊張感。これがランクA上位種との戦いか!


「いいぞ! その調子だ!」

「なにがその調子だ、調子乗ってんじゃないよ!」


 残り2分。少しの隙でもあれば……。


「――ここだ!」


 CDBカウントダウン・ブレイカー――1セカンド!


「ブレイク!!」


 今度は蹴りで後頭部に叩き込むと、苦しんで崩れ落ちた。これが効かなかったら本当にバケモンだって。


「痛ってえなチクショー!」

「もっと痛い思いしたくなかったら、降参するんだね」

「ハハッ、冗談だろ? やっと面白くなってきたんじゃねえか」

「戦闘狂かよ」

「あん? てめえも戦いが楽しいんだろうが」

「アタシは楽しいなんて思ったことないよ」


 残り1分ちょっと。CDBカウントダウン・ブレイカーはあと1発が限度。それでこいつ倒せるのか!?

 ……でも、やるしかないよね。かえでを守るためにも!


「おらぁ!」


 マタリナのかかと落としを防ぐために、咄嗟にカグツチを作る。


「お、今度はそいつか!」

「これは――」


 ……待てよ? そうか、その発想は今までになかった!


「……」

「なんだ? 急に黙りやがって」

「マタリナ、アタシの本気、受けてみる?」

「あん?」

「まさか、逃げたりしないよね?」

「……ほう? 挑発か。いいぜ、なに考えてやがるかは知らねえが、乗ってやるよ。どうせこれが最後だろ?」

「さあね」


 これも効かなかったら、本当にお手上げだ。頼むよ、カグツチ!


CDBカウントダウン・ブレイカー、1セカンド!」

「来いや!」


 マタリナに向かってカグツチを全力で振り下ろす。


「ブレイク!!」



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。


vsマタリナ、次回決着!

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