表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

217/259

学院の異変⑦ 赤髪の助っ人

 赤い髪がなにより特徴的な、快活そうな女の子。

 葉道歩夢がそこにいた。


「歩夢!?」

「あれ? かえでじゃん! なんでこんなとこにいるの?」

「それはあとで! 気をつけて、そいつは強いよ」

「みたいだね。……ん? あんた」

「クッ、ハハハハ! こいつは良い! まさかここで出会えるとはな!」

「え? 知ってるの?」

「まあね。今度は逃さないよ」

「ハッ、あの時と同じだと思ったら怪我するぜ?」

「それは――」


 歩夢は一気にマタリナに肉薄すると、強烈なストレートを腹に打ち込む。


「こっちのセリフだよ」

「ハハッ! なるほどな! これは楽しめそうだぜ!」


 歩夢は先日の技能試験A判定。もう一回A判定を取れば50キロメートルエリア担当への昇格試験を受けられる。

 つまり、歩夢の実力は実質的に50キロメートルエリア相当だということだ。


「心強い助っ人が来てくれたな」


 今のうちに水鳥を戦闘の場から離してRドリンクを飲ませる。


「かえで様……申し訳ありません」

「気にしないで、初見殺しされたんだ、仕方ないよ」

「初見殺し?」

「ああ、またあとでね。それに歩夢が来てくれた」

「はい。……え? もしかして、かえで様は葉道さんともお知り合いなんですか?」

「うん。知り合いっていうか友だちだよ」

「かえで様の人脈は本当に素晴らしいですね!」

「はは……だから人脈ってわけじゃ」


 そんなことを話していると、歩夢の攻撃が加速していた。


「どうしたの? こんなもの!?」

「クソッ!」


 明らかに押している。あれからまた強くなったんだな。


「どうやら、買い被りだったかな?」

「ケッ、吐かせ!」


 さて、歩夢が戦ってくれてるうちに結界をなんとかしないとな。


〈メイプル、解析できないか?〉

〈できなくはありませんが、かなり時間が掛かってしまいます〉

〈じゃあ、壊すことはできないか?〉

〈不可能ではありませんが、ピュアラファイでは難しいかと〉


 参ったな、せっかく歩夢が来てチャンスを作ってくれたのに。

 ……待てよ? そもそもなんで歩夢がここにいるんだ。ここは俺たちを閉じ込めるための結界のはず。どうやってここに?


〈私が送り込んだんですよぉ〉

〈その声、山田さん!?〉

〈フフフフフぅ、さっきぶりですねぇ〉

〈どど、どうやって?〉

〈んー? 葉道氏を送り込んだことですかぁ? それともこの通信のことですかぁ?〉


 どっちもだ。と言いたいところだが、長話になりそうなので通信については後回しだ。


〈歩夢のことですよ〉

〈簡単な話ですよぉ。近場に謎の結界があれば解析するのは当たり前です。そこに助っ人を送るなんて造作もないですよぉ〉

〈そ、そうなんですか。それで、なんで歩夢が?〉

〈たまたま近くにいたからですよぉ。それに、50キロメートルエリア担当への試練としても丁度いいでしょう〉


 山田さんは歩夢のこと知ってたのか。それに試練ってことはギリギリ勝てると踏んでいる?


〈あの、私だけでも結界を抜け出せませんか?〉

〈三ツ矢女学院ですかー?〉

〈はい。もう戻らないと〉

〈それなら問題はないでしょう〉

〈え? それはどういう……〉

〈助っ人は葉道氏だけじゃないということですよぉ〉

〈え!?〉


 三ツ矢女学院に行ける魔法(M)少女(G)協会(A)所属の魔法少女なんて、いたか?


〈なのでぇ、今は葉道氏を応援してあげましょう〉

〈応援って言っても、見守るしかできないですけど〉

〈いいんですよぉ。姫嶋氏がそこに居ることに意味があるんですからぁ〉

〈そうなんですか?〉


 まあ、山田さんが言うならなにか意味があるんだろうな。

 そんなやり取りをしている間にも、歩夢はマタリナを圧倒していた。


「うーん、正直ここまで差が開いてたとは思わなかったな。あの時もアタシが優勢だったけど」

「ハァ、ハァ、ハハッ、これで終わりだと、そう思ってるみてえだな?」

「なに? 奥の手でもあるわけ?」

「奥の手か、言い方によっちゃそうかもな」


 マタリナは意味深に言うとアクセサリーの一つを引き千切って食べた。


「は?」

「グググ……ガアアアアアアア!!」

「なに!?」

 

 明らかに様子が変わったマタリナは、そのまま歩夢に突っ込む。


「ぐぅっ!」


 ただのストレートパンチ。しかしそれを受けた歩夢はビルの3階あたりに激突した。

 

「歩夢!」

「痛つつ……大丈夫だよ!」


 痛がりつつも、平気な様子で下りてくる。


「いきなりパワー上がるんだもんなー、ドーピング?」

「ちょっと違うな。このアクセサリーは俺の一部なんだよ」

「一部?」

「つまり、俺はこのアクセサリーの数だけ力が制限されてるってわけだ」

「ふーん? 俺はあと2回変身を残してるぞってやつ?」

「変身はしねえが、そういうことだ。行くぜ?」


 さっきの一撃でパンチの重さが分かった歩夢は、受けないよう避けたり流したりして立ち回りを変えた。

 だが、あのアクセサリーを全部使われて、もしランクA+以上まで強くなるとしたら……。


「……いや、信じよう」


 信じるしかない。歩夢は50キロメートルエリア担当を目指してるんだ。こんなところで躓くわけにはいかない。

 ――そうか、これが山田さんの言ってた試練の意味。


「ハハッ、さっきので力の差がよく分かったみてえだな!」

「なに? もう勝ったつもり?」

「強がんなよ、分かんだろ? ほんの少し力を解放した俺に防戦一方。しかも俺にはまだ奥の手が残ってるんだ。けっこう楽しめたけどよ。そろそろ終いだろ」

「自分が勝てるはず。そう思い込んだら負けなんだよ?」

「あん?」


 歩夢が踏み込んだ。マタリナは余裕で構える。そこへ、予想だにしない一撃を打ち込まれた。


「ぐぁっ!?」


 ふっ飛ばされながらも、なんとか堪える。


「てめぇ……」

「だから言ったでしょ? もう勝ったつもり? って」

「ハハッ、ハハハ! いいぜいいぜ! こうでなくちゃよお!!」

「もっと解放したら? ハンデ付きみたいで悪いしさ」

「言うじゃねえか」


 マタリナはアクセサリーをもう一つ引き千切って口に咥える。


「後悔すんなよ?」

「誰が」

「ハッ! 行くぜ!」


 マタリナはアクセサリーを噛み砕いた。

 そして戦いは、より苛烈になっていく――。



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。


本当は戦闘シーンもっと書き込みたかったんですが、あまりやり過ぎると歩夢vsマタリナだけで10話くらい膨らみそうなので抑えました。書籍化したら追加しようかな(フラグ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑にある☆を★★★★★にして応援していただけると嬉しいです。無限エンジンの燃料になります。 script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ