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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

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学院の異変③

「青来たりて静寂を裂け! 孤高の鳥よ天に鳴け! ――エグゼキューション、サイゼルサイゼリーゼ!」


 水鳥の詠唱魔法(インカンテーション)が発動すると青い雷が何発も落ちて魔物を殲滅(せんめつ)する。

 こんな魔法もあるのか……。


「あたしも行くよー!」


 乃愛は身の丈以上の大剣を構える。なんだか見覚えがあるな……。


「そうか、tre'sの神楽・ソランデルさんだ」

「それはそうだよー、だって神楽さんはあたしの師匠だもん」

「あー、それで。……えええ!?」

「あはは! やっぱり驚くよねー」

「そりゃ驚くよ。まさかtre'sの一人が師匠だなんて」

「でも、それを言ったらかえでちゃんだって花織さんが師匠なんでしょー?」

「え? どうしてそれを?」

「だって神楽さんも同じ100キロメートルエリア担当だもん。同じ高位(ハイランク)魔法少女の話はすぐ耳に入るよー」


 それもそうか。


「でも本当に、乃愛さんは意外性あるね」

「えへへ。ていうかー、かえでちゃん、さん付けはやめてよー。乃愛で良いって」

「わ、分かったよ。それより魔物を片付けよう」

「じゃあ、魔物をやっつけたら……また。ね?」


 またそうやって耳元で囁く! こいつは俺で遊んでやがるな……。


「えーい!」


 大剣を大振りする。ただそれだけに見えるのに魔物を細切れにしてしまった。

 tre'sに助けてもらった時は意識が朦朧(もうろう)としていてうろ覚えだが、神楽さんのに似ている気がする。これは術式なのか?


 マジカルスタイルの風間水鳥と有栖川陽奈、アタッカーの真島乃愛。この3人なら大丈夫そうだ。


「よし、私も雑魚を片付けるか!」


 再びギアを上げてピュアラファイを撃ちまくり、雑魚を浄化していく。3人は時に協力しながら、それぞれにランクAを浄化していく。


「だいぶ減らしたかな?」


 さすがに4人でやると処理効率が桁違いだ。俺が雑魚を蹴散らして、3人がランクAを倒す。この戦法でかなり安定した。


「これで終わり!」


 乃愛が最後のランクAを倒す。あれだけいた魔物の大群が綺麗さっぱり片付いた。


「皆ありがとう!」

「なんとか終わりましたね」

「あたしたち無敵じゃーん?」

「調子に乗ってると痛い目見るよ乃愛」


 水鳥は警戒を解くことなく乃愛を嗜めるが、「いいじゃん。終わったんだしー」と乃愛は緩みまくっている。


「勝って兜の緒を締めよ。まだ油断できないわ」

「そうですよ。早く校長先生に報告して対策をしないと――」


 言いかけて、陽奈はなにか恐ろしいものを見たように固まる。それとメイプルから警告が来たのはほぼ同時だった。


〈マスター! 推定ランクA+です!〉


 ランクA+!?

 それは陽奈の視線の先にいた。巨大な土偶のような魔物は結界を越えては来れないようだが、俺たちを認識すると口を大きく開く。


「まさか……」


 魔物の口から放たれた光線は、しかし結界に阻まれる。さすが三ツ矢女学院自慢の結界だな。ヒビすら入らない。


「すごいな……」

「この結界はランクAの上位種ですら突破できないと言われてますから」


 水鳥は安心したような、誇らしい顔で魔物を阻む結界を見る。


「らしいね」


 これなら安心だ。でもさすがにランクA+は4人じゃ無理だから応援を頼もう。

 ――そう思った時だった。


「ギョゴゴゴゴオオオオオオオ!!!」

「な、なんだっ!?」


 魔物が奇声を上げる。と、その声に反応してか、また大量の魔物が押し寄せて来る。


「おいおいマジかよ!?」


 さっき対応した量の倍はあるぞ!? その上ランクA+が野放しのままだ。


「なんなんだこいつ!?」


 アナライズすると、とんでもない情報が載っていた。


【大型ランクA+ カリュグノス】

破壊光線は四方一里を焼け野原にする威力がある。動きは鈍いが外殻は堅く砲台としての役割が大きい。また、魔物を召喚する能力があり、最大1000体を召喚する。


「1000体を召喚する!?」


 四方一里を焼け野原にする破壊光線と召喚能力。これは明らかに結界を壊しに来てる!


「へへ、ちょっとキツそうだね」

「乃愛は休んでていいですよ」

「ちぇー、陽奈ちゃんは冗談キツいよー」

「そうですよ、休んでる場合じゃありません。全部浄化しますよ!」


 気合いを入れた水鳥は、詠唱しながら魔物の群れに向かって行く。


「しょうがないなぁ、もう少しがんばろーっと!」

「じゃあ、かえでは周りの雑魚をお願い」

「えっ、ちょっ……!」


 行ってしまった……。結界があるとはいえ、これだけの魔物を相手にどうして果敢に挑んで行けるんだ?


「……若さか?」


 若いってのはいいなー、眩しいよ。

 って、そんなこと言ってる場合じゃないな。若い子が体張ってるんだ、俺が動かないでどうする。


「ピュアラファイ!!」


 もう何発撃ったか分からない。こんなに連続で撃ったことないから、とっくに未知の領域だが……それでも魔力には余裕がある。

 山田さんのとこで計測した魔力量15万3700ってけっこうすごいのか。


「ギョゴゴゴゴオオオオオオオ!!!」

「なっ!?」


 まさか、まだ召喚できるのか!?

 悪い予想は当たるもので、まだ魔物が残ってるにも関わらず新たな魔物が大量に追加された。


「おいおい……」


 俺はまだピュアラファイを何十発でも撃てる。だが3人はそろそろ限界だ。


「はぁ、はぁ」

「まだまだ!」

「もぅー! いい加減にしてよー!」


 北見校長に応援を頼むしかないな。

 ――と、思った時だった。


「あらあら、大変なことになってますね」

「有紀寧先輩!?」

「姫嶋さんだったかしら? よくがんばったわね」


 芦森有紀寧。陽奈が行方不明になった時に協力してくれた高校生の魔法少女だ。


「ど、どうしてここに……?」

「どうして? もちろん応援に来たのよ」

「え? だって……北見校長は指揮系統が違うからって……」

「北見さんに感謝するのね。高校(うち)の校長を説得したのよ」

「北見校長が……」

「あの人、なかなか食えないのよ?」

「そうですね」


 まったく、裏でこんな粋な計らいをしてくれてたなんて。まるで上司の鑑だな。


「さて、ランクAは私が受け持つわ。貴方たちは雑魚をお願い」

「分かりました!」


 10キロメートルエリア担当でありながら、すでに高位(ハイランク)の実力を持つと言われる魔法少女。これは心強い助っ人が来てくれた。


「よし、ここが正念場だ!」



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

低気圧で死んでます。応援してもらえると復活します。

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