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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

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花織の魔法レッスン⑨

「さて……」


 お腹いっぱいになったところで、再び訓練棟で魔法の杖と向き合う。


「今日中にクリアする必要はないし、自宅でもできるからね」


 なんて言われたが、できれば今すぐにでもクリアしたい。歌詞の課題が残ってるし、ミニライブへ向けてのレッスンもあるし、例の昇格試験もある。

 特に試験は今回だけの特例だ。ライブに集中するため特訓はできない。だからこそ魔力制御は早くマスターしたい。


 右手を魔法の杖に向ける。そして杖に向けて意識集中(コンセントレーション)。すると杖の魔力を感じられる。

 ここまではいい。だが問題はここからだ。どうやって杖を引き寄せる? どうすれば……。


「肩の力を抜いて」

「え?」

「そんなに力んでたら魔力制御なんてできないわ。もっとリラックスしないと」

「はぁ……」

「さっき、クイックドロウ失敗したでしょ?」

「あ、はい」

「あれもね、力むとできないのよ」

「え?」

「魔法を全力で撃ってすぐに出力を抑えようとすると無意識に(りき)んじゃうのよ。だからその直後のクイックドロウは不発に終わる。魔力制御が未熟な人はほぼ100%そうなるわ」

「そうだったんですか」

「魔法を掛けてあげましょうか」

「魔法?」

「魔法の杖を取ってきて」

「はい」


 遠くに置いた魔法の杖を持って来ると、花織さんが魔法の杖を俺に向ける。


「ヒーリングレイ」


 緑色の光が俺に降り注ぐ。と、体と心がふっと軽くなる。


「これって……」

「いいでしょ? 使用ブロック一つだけの便利な魔法よ。今クイックドロウ撃ってみて」

「はい」


 クイックドロウを撃ってみると、さっきと違っていつも通りに撃てた。


「……できた」

「ね? 魔力制御の基本よ。覚えておいてね」

「はい、ありがとうございます!」


 何気にこれって大ヒントくれたんじゃないか?

 さっき空気中の魔力に触れようとした時も、肩に力が入ってたからだとしたら? なら、自然体で向き合えれば……。


 また杖を遠くに置くと、今度は身体の力を抜いて目を閉じて意識集中(コンセントレーション)する。杖にある魔力の輪郭がぼんやりと見えて来たら、右手を伸ばす。


「……」


 杖がふわりと浮き上がるのが分かる。そして――


「――来い」


 右手に、もはや慣れ親しんだ感触があった。目を開けると魔法の杖が目の前にある。


「できた……」

「すごい! もうコツ掴んじゃったの?」

「いや、その……。コツというか、なんとなくやってできた。みたいな」

「なんとなくか。かえでは天才肌なのね」

「ええー? 全然そんなことないですよ」

「自分では自分のこと、よく分からないものよ」


 うーん、それは確かにあるかも。

 だからって天才肌ではないと思うが……。


「じゃあ、あとは宿題かな。そのなんとなくを明確なイメージにすること」

「分かりました。次はなにをしますか?」

「とりあえずはここまで」

「ここまで……ですか」

「あら、残念そうね」

「その……。マジカルの奥義を教えてもらえるのかなって」

「ああ、それね。まだまだ、魔力制御すらできてない人には教えられません」


 まあ、そりゃそうか。


「分かりました。がんばって魔力制御をマスターします!」

「うん。かえでって本当に良い子よね」

「そうですか?」

「とても素直で正直だし、親御さんにとっても自慢の子じゃないかな?」

「そ、そうかな……」


 中身のおっさんは素直でも正直でもないんだけどな。それに俺の両親はいるが、かえでの親はいない。


「私にもかえでみたいな妹がいたらなぁ」

「兄弟はいないんですか?」

「兄はいるけど、もう全然会ってないかなー」

「結婚して遠くに行ったとか?」

「ううん。出張や転勤で全国を飛び回ってるだけ」

「そうなんですか」

「そういうかえでは兄弟いないの?」

「私は一人っ子なので」


 一人っ子という設定にしておかないと、色々と面倒だからな。


「そうなんだ。あのさ、一回だけでいいから、お姉ちゃんって言ってもらっていい?」

「えーっと……お姉ちゃん?」

「……っ!!」


 なんか、感極まったような顔してる。よほど嬉しかったのか。


「かえでが私の妹だったらなぁー!」

「もしそうなら、姉妹で魔法少女ですね」

「そしたら全力でかえで守るわ」

「過保護じゃないですか?」

「そんなことないわ! 可愛いかえでを守るためならなんだってしちゃう!」


 なんかちょっとキャラ変わってないか?


「ね、もう一回だけ、お姉ちゃんて呼んでくれない?」

「え? いいですけど……。お姉ちゃん」


 少し甘え気味に言うと、我慢できないとばかりに抱きついてきた。


「うぇぇ!? お姉ちゃん!?」


 思わずお姉ちゃんと言ってしまったが、花織さんにとっては嬉しいようで「かえで可愛すぎるって! もう毎日言って欲しい!」と頬ずりしてくる。


「ちょ、花織さん落ち着いて!」

「……お姉ちゃんがいい」

「もぅ……。お姉ちゃん、離れてって」

「うぅ……」


 いや、離れる気ないだろこの人。


「分かりました、これからは花織さんのことお姉ちゃんて呼びますから」

「本当!?」

「ええ」

「かえで大好きー!」

「ちょっと、だからお姉ちゃん!!」


 このあと、めちゃくちゃ姉妹ごっこさせられて解散となった。



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。


花織さんがかえでの姉になりました。

いや、なんか面倒くさい事になったな?

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