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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

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花織の魔法レッスン⑦

「うおおおおおおお!!」

「ダメダメ、そうじゃない。気合いじゃなくて魔力を感じるの」

「ふぬぅ……」

「なにその手の動き! あはははは!」

「……あのー」

「あははは! ははは! はぁ、なにー?」

「本当にこれで魔力制御ができるようになるんですか?」

「もちろん。さっきお手本見せたでしょ?」

「そうなんですけど……」


 魔力制御の難しいコースを頼んだはいいんだが、その修行内容というのが――


「遠くに置いた魔法の杖を引き寄せる。なんて、全然イメージ湧かなくて……」

 「魔法の杖には常に魔力が流れてるの。その魔力を感じ取って手繰り寄せればいいのよ」


 それができたら苦労しないんですが……。


「じゃあ特別にもう一回だけやって見せてあげるね」


 花織さんは遠くに魔法の杖を置くと、杖に向けて右手を伸ばす。


「いい? 見ててね」


 瞬間、杖がふわっと浮き上がったと思うと勢いよく飛んできて花織さんの手の中に収まった。


「こんな感じ」

「が、がんばります」


 ね? 簡単でしょう?

 みたいに言われてもなぁ。どうすりゃいいんだよ。


「うーん……」


 魔力を感じる。と花織さんは言ってたな。

 Don't think a feel

 考えるな、感じろってことか?


「それなら」


 ――意識集中(コンセントレーション)

 自分の中ではなく、外側の魔力に意識を向ける。すると訓練室に魔力の流れが見えてきた。そして魔法の杖にも魔力が流れているのが分かる。


 だが、どうやって魔法の杖を引っ張る? 周りの魔力はどちらかと言うと漂ってるに等しい。そもそも魔力って掴めるものなのか?


「……やるだけやってみるか」


 近くにある魔力に手を伸ばす。と、魔力は触れる前に煙のように霧散してしまった。


「くっ」


 今度はゆっくりと慎重に手を伸ばしてみる。すると今度は触れるか触れないかぐらいのところでまた霧散してしまった。


「ぬぁぁ!」


 それを見ていた花織さんは、「ふふ、けっこう難しいでしょ?」とニコニコ笑う。


「難しいなんてもんじゃないですよ」

「でも、魔力の流れを見ることに自力で辿り着けたのはすごいわ!」

「ありがとうございます。魔力って空気中にもあるんですね」

「あるわよ。魔法には使えないけどね」

「どうしてですか?」

「簡単に言うと品質が悪いのよ。魔法を使うには、例えば10点満点の魔力が必要だとして、空気中に漂う魔力はせいぜい3点」

「そんなに低品質なんですか」

「そう。もちろん魔法少女の器にある魔力は10点満点よ」

「そんなに違うんですか……。でも、どうして空気中にあるんですか?」

「空気中の魔力は私たち魔法少女から漏れ出たものや、魔法の残滓が漂ってるの」

「漏れるって、器が壊れたり!?」

「そんなに大げさな話じゃないわよー、魔力制御が上手くできない子は魔力が垂れ流し状態になってるの。それが空気中に発散されてるってだけ。だから訓練棟みたいな場所は特に空気中の魔力濃度が濃いの」

「そうなんですか……」


 良かった。それにしても空気中にこれだけ漂ってるなんて、害はないのか?


「あの、魔力って毒なんですよね? こんなに空気中にあって大丈夫なんですか?」

「大丈夫よ。さっき言った通り、空気中に漂う魔力は低品質だし、それにさっきかえでがやったように、触れようとすると霧散してしまう。器にある魔力くらい濃密じゃないと人間が影響を受けることはまずないわ。ほら、酸素だって多過ぎると毒になっちゃうでしょ?」

「あー、酸素中毒ですね」

「さすがかえで。よく知ってるわね」

「え? ああいや、あはははは」

「そうだ、魔力の豆知識を一つ教えてあげる」

「なんですか?」

「実はね、男の人は魔力に耐性があるの」

「そうなんですか? それは初耳です」

「知らなくても無理ないわ、知ってる人のほうが少ないんじゃないかな?」

「花織さんて博識ですよね」

「そうかな? ただ人より少し興味があるだけよ。それを言うなら、かえでこそ博識じゃない」

「え? そ、そうかなぁ」


 博識というか、魔法少女の皆さんより少しだけ人生経験長いだけなんです。


「ちなみに! どうして男は耐性あるんですか?」

「うーん、それは分かってないのよ。有力な説としては器で守られてる女子と違って、男の人は最初から魔力が巡ってるからじゃないかって」

「最初から? 巡ってる?」

「赤ちゃんの頃にはすでに魔力が体内を巡ってるらしいわ。ちなみ巡る魔力量が多い人はアスリートや芸能人に多い傾向があるみたい。因果関係は不明だけどね」


 そういや、煌梨も以前言ってたな。


『器が強い魔法少女はなにかしら秀でてる傾向があって、例えばKnowTuber/Vtuberで有名だったり、インフルエンサーだったり、スポーツ選手だったりね。あなたはどんな才能を持ってるかしら?』


 因果関係の証明は難しいだろうが、これはもう魔力が文字通りの魔力を持ってるとしか思えないな。

 それにしても、器は女の子にしかないけど、男は男で体内に魔力があるのか。いったいどういう事なんだ?


 ――そんなことより、今は目の前の課題だよなぁ。

 花織さんの話は色々と勉強にはなったが、課題解決の糸口は見えない。これは思ったより難しいぞ……。

 その後もなんとかコツを掴もうとするが、なかなか上手く行かないまま小一時間が経った。


「そろそろ休憩しましょうか」

「え?」

「もうお昼よ。ご飯にしよう」

「もうそんな時間ですか?」

「せっかくだし、シンフォニー行こっか」

「シンフォニーって食事もできるんですか?」

「もちろん。きっとかえでも気に入るわ」


 前回は飲み物だけだったし、カフェでの食事は気になるな。実は昔からカフェで食事するのが憧れだったりする。


「楽しみです」

「じゃあ、行きましょうか!」



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。


今までありそうで無かった杖を引き寄せるやつ。ハリー・ポッターでは引き寄せる呪文があるんですが、あれ便利ですよねー、杖だけじゃなく物を呼ぶことができるので。使いたい。

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