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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

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花織の魔法レッスン⑥

「じゃあ、気を取り直して続けましょうか」

「はい」

「まずは最大火力、次に最小、それからクイックドロウね」

「分かりました」


 ――意識集中(コンセントレーション)


「ピュアラファイ!!」


 白銀の閃光が放たれる。と、今までと違う感覚に驚いた。


「すごい……」


 今までは最大火力で撃つと杖がガタガタ震えて少し不安だったのが、山田さんに耐久性能を強化してもらったら全くブレないし少しの振動も感じない。

 ガタガタしてたのは俺の出力が安定器の性能を超えてたからなのか。これならもしかして、もっと出せるんじゃないか?


「……全力、全開!!」


 これでもかと魔力を注ぎ込む。反動は大きくなったものの、やはり杖は安定している。

 それに、魔力にはまだまだ余裕がある。この際、多少の魔力ロスは覚悟の上で他の路も使って限界まで出力上げてみるか。


「いっけええええ!!」


 流石にこれ以上大きくなると施設を破壊しかねない。出力を上げつつ、しっかり制御してピュアラファイの膨張を抑える。


「ぐぅ……!!」


 杖は安定してるが、反動を抑えながら魔力を制御するのが思ったより難しい。


「くぉぉぉ!」


 そろそろ出力の限界だ。抑えたはずのピュアラファイがまた膨張した。これ以上抑えるのはキツイ!


「――ぷはぁ!」


 撃ち終えると、冷却用の羽がいつもより強く激しくバサバサと羽ばたく。


「さすがに疲れたな……」

「お疲れさま! すごいわね」

「ありがとうございます」

「一千花のおかげでかなり安定したみたいね」

「はい。もうどれだけ強く撃っても大丈夫です」

「でも、現場ではああいうの撃っちゃだめよ」

「え? どうしてですか?」

「全然制御できてなかったじゃない。暴発したり制御できなくなって周りに被害出たらどうするの?」

「それは……その……」

「だから、ちゃんと制御できるまでは、あんな無茶な出力はしないこと! いい?」


 優しいお姉さんといった感じで可愛くウィンクする花織さん。そんなんされたら「はい……」と答えるのが精一杯だ。


「じゃあ次、最小火力」

「はい!」


 ……あれ? 最小火力ってどうやるんだ?

 とにかく魔力ぶっ放すのはもう慣れたものなんだが、小さく撃つというのは……。路を制限すればいいのか?


「えーと、ピュアラファイ」


 ズドン!!


「……あれ?」


 本当に軽く、ちょっとだけ撃っただけのつもりなのにいつもの威力で出てしまった。


「あれー?」

「はい次! クイックドロウ!」

「は、はい!」


 クイックドロウはもう息するように撃てる。


 ――パスン。


「え?」


 俺、今クイックドロウ撃ったよな?


「も、もう一回!」


 ――プスン。


「あれー!?」

「はい。これで終わり」

「ちょ、ちょっと待ってください! いつもはちゃんとできるんです!」

「分かってるわよ。技能試験で見せてくれたじゃない」

「あ……」


 そういえば、初めて花織さんに会ったのは技能試験だったな。


「大丈夫、凹むことないわ。そうなるのが当たり前なんだから」

「え? どういうことですか?」

「ふふ、気になるー?」

「そ、そりゃまあ……」

「その前に、私のお手本見せてあげる」


 と言うと、花織さんは杖を構えた瞬間、俺がいつも撃ってるくらいの大きさのピュアラファイを放つ。と思うと針のような極細で撃ち、一旦杖を下げてから瞬時にクイックドロウで撃つ。

 その全ての所作が流麗で、俺のような溜めも動作も一切無かった。


「これがマジカル最強の魔法少女……」


 技能試験の時も圧倒されたが、今のは美しくて息を呑むといった感じだ。


「どうだった?」

「すごく、綺麗でした」

「ありがとう。魔力制御っていうのはね、ただ抑えつけるだけじゃダメなの。優海から教わったのはどこまで?」

「えーと、器から魔力を取り出して使うやり方を教わりました」

「魔力制御の基礎ね。基礎を教わっただけで10キロメートルエリア担当になれたのは、かえでの実力もあるけど、やっぱり強力な器があったからね」

「そうですね。今までずっと器の強さに頼ってましたから」


 それと、メイプルのサポートにもな。


「でも、逆に言えば魔力制御を完璧にできるようになれば、確実に50キロメートルエリア担当になれるわ」

「ホントですか!?」

「ええ。私が保証する」

「それで、魔力制御ってどうやるんですか?」

「そうねー、簡単だけど時間掛かるコースか、難しいけど一発でコツが掴めるコース、どっちがいい?」

「コース別なんですか?」

「どっち選んでもいいわ」

「ちなみ簡単なのは何日掛かります?」

「うーん、そうねぇ。人にもよるけど……早くて半年くらいかな?」

「半年!?」

「ゆっくりやるからね、時間掛かるけどしっかり身につくから、高位(ハイランク)でもやっていけるわ」

「じゃあ、難しいほうは?」

「こっちは最短一日」

「一日で!?」

「そ。まあ遅くて一ヶ月かな?」


 最短一日なら、例の昇格試験に間に合う。これしかないな。


「じゃあ、難しいほうでお願いします!」

「本当にいいの?」

「はい!」

「分かった。かなり難しいけど、がんばってね」


 どんなに大変でもやってやる! 数々のデスマーチをくぐり抜けてきたブラック企業戦士を舐めるなよ!



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。


杖がアップグレードされたことで安定感を手に入れた楓人。次回はいよいよ魔力制御のレッスン!

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