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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

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花織の魔法レッスン④

「コホン。さて、気を取り直して続けましょう」


 さっきまでテンション高くはしゃいだのを無かったことにしようとする花織灯。


「……なーに?」

「いえ、なんでも」


 なにやら察したのか、ジト目で軽く圧を掛けてきた。


「じゃあ、最後に先端の星飾りね。これはまあ、飾りね」

「え!? ブースターと羽であれだけ盛り上がってたのに最後は飾りなんですか!?」

「仕方ないじゃない。本当のことなんだから」


 なんか拗ねたかな?


「でも、クルクル回るじゃないですか。あれはどういう意味なんですか?」

「あれは魔力を安定させるためのものよ。器に恵まれなかったり、魔法が下手な子のために最低限ピュアラファイは発動できるように魔力を安定させてるの」

「え、けっこう重要な部分じゃないですか」

「じゃあ、かえでは星の回転気にしてる?」

「え? まあ回るのは見てましたよ。そんな機能あったとは知りませんでしたけど」

「今でもずっと?」

「いや……そういえば最近あまり気にしたことなかったかも」

「でしょ? 高位(ハイランク)魔法少女にとって魔力なんて安定してて当たり前だし、発動タイミングなんて目を瞑ってても分かる。だから、私たちにとってはただの飾りなのよ」


 なるほど、ブースターと羽については高位(ハイランク)魔法少女にとっても有用な機能だが、すでに魔法を極めた人たちにとっては安定化を目的にした星はただの飾りでしかないのか。


「というわけで、長かった魔法の歴史と杖についてはこれで終わり。なにか質問ある?」


 ここまで聞いていて一つだけ気になったのは、ボタン3連打の緊急コールのこと。もし緊急ボタンが魔法の杖に装備されてるのなら、ここまでマニアックに解説してくれた花織さんが触れないわけがない。

 解説しないということは、そもそも緊急コールなんか魔法の杖に装備されてないということ。中原理事長の言うように、やはり姫嶋かえでという特例かつ異例の存在のための特別仕様なんだろう。


「……いえ、特にないです」


 とりあえず、今は花織さんとのレッスンが優先だ。


「じゃあ、次はいよいよ魔力制御――の前に」

「ええ?」


 思わずズッコケてしまいそうになる。


「かえでの魔力を改めて見たいわ」

「いいですよ」

「ただし、3回ずつ別のやり方で」

「どういうことですか?」

「最大火力、最小火力、そしてクイックドロウ。この3つを見たいの」

「なるほど、分かりました。じゃあまず最大火力ですね」


 訓練棟でピュアラファイを撃つのは久しぶりだな。最後は確か……紫に見せたんだっけ。


「全力全開!」


 意識集中(コンセントレーション)からの最適な路を通った魔力を魔法の杖に叩き込む。


「ピュアラファイ!!」


 ところが、いつものように巨大な白銀の光が出ることなく、パァン! と乾いた破裂音を響かせて、まさかの魔法の杖――その先端の星が壊れてしまった。


「いっ!?」

「どうしたの?」

「あの……これ。壊れちゃいました」

「えー? こんな壊れ方見たことないわ!」


 花織さんは壊れた星を見て大笑いする。


「かえではずーっとピュアラファイだけを使ってたんだよね?」

「はい」

「星が耐えられなくなって壊れちゃったのかも。ピュアラファイはブースターの調整を受けない唯一の魔法だから」

「そうなんですか?」

「だって、本来は魔物を浄化するためのもので攻撃目的じゃないからね。あんなデタラメな出力のピュアラファイ撃つのはかえでだけよ」

「あはは……」


 なるほど、道理で俺だけピュアラファイが異常にデカくなるわけだ。ピュアラファイの出力だけは個人差があるんだな。


「うーん、これは天界に修理してもらわないとダメね」

「じゃあレッスンは?」

「中止ね。残念だけど」

「そんなぁ……」


 花織さんのレッスン楽しみにしてたのになぁ。まさか歴史の勉強だけで終わってしまうとは……。

 と、残念がっていると訓練室のスピーカーから聞き覚えのある声が聞こえる。


《姫嶋氏ぃ、今のバカでかい魔力反応はなんですかぁ?》

「え? もしかして……山田一千花(いちか)さん?」

《そうですよぉ。研究室(ラボ)から強力な魔力反応のアラートが鳴ったのでぇ、ランクA++の魔物でも現れたのかとワクワクしたらまさかの訓練室じゃないですかぁ》

「あー、えーと、すみません。花織さんから魔法を教えてもらおうとしてたんですが、魔法を撃とうとしたら杖が壊れちゃって」

《杖が? ほほぅ、それは興味深いですねぇ。研究室(ラボ)に持って来て下さい。花織氏もどうぞぉ》


 と言って音声は切れた。


「どのみちレッスンはできないし、せっかくだから遊びに行こっか」

「遊びにですか……」

「それとも、私の家に行く?」


 なんだそのデート誘うみたいな言い方は!?


「け、研究室に行きましょうか!」

「なーに? 私の家には行きたくないのー?」

「いえ、その、そういうわけじゃ……」

「じゃあ、なーに?」


 ジリジリと近寄ってくる。そういえば今日は私服なんだなーとか、けっこう胸あるなーとか、そんなこと考えてる場合じゃなくて!!


《お二人共ぉ、イチャイチャしてないで早く来てくださいねぇ》


「もぅ、あと少しだったのに」


 何があと少しだったんですか?


「じゃあ、行きましょうか」

「は、はぃ……」


 山田さんのおかげで助かった。

 それで、何があと少しだったんだ……?



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。


何があと少しだったんだろう?

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