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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

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花織の魔法レッスン②

 ――パートナーとは。

 配偶者、またはそのような関係の相手。


 と、思うじゃん? それだけじゃないんだよなぁ。 共同で仕事をする相手。相棒もパートナーなんだよ。広いんだ、広義的なんだよ。分かるかね?


「だめ……かな?」


 この人、実はこういうの慣れてるんじゃないのか?


「い、いやその……私は全然いいですよ?」

「本当!?」

「は、はい……」

「やったー! ありがとうー!」

「……!!」


 抱きつくな! いい匂いするから! 胸当たってるから!


「パートナー契約は相手の了承がないと成立しないのよー。かえでならイエスって言ってくれると思ってたけど、緊張した〜!」


 プロポーズかよ。

 こうして見てるとそこらにいる普通の女の子なんだけどなー、その実は魔法少女のトップに君臨する最強の一人なんだよな……。


「それで、もうパートナーになったんですか?」

「あ、そうそう。魔法の杖を私に向けて」

「はい」


 花織さんに魔法の杖を向けると、クロスするように花織さんも俺に魔法の杖を向ける。


「……花織灯、100キロメートルエリア担当。パートナーに姫嶋かえで、10キロメートルエリア担当を追加」


 すると双方の杖がピカピカと光り、キュインキュインキュイン! と懐かしい音が鳴る。


《花織灯のパートナーとして姫嶋かえでを登録しました。なお10キロメートルエリア担当のパートナーは次回昇格できない場合、自動的に解消されますのでご注意ください》

「え? てことは、期間限定なんだ」

「それは私も初めて知ったわ。確かにパートナーって基本的には50キロメートルエリア担当から選ぶわね」

「え、そうなんですか?」

「まあいいじゃない、次昇格すればずっとパートナーでいられるんだし」


 ――パートナー。

 共同で仕事をする相手。相棒。


「と、とりあえず魔法についてのお話の続きを」

「あ、そうね。えーと、どこまで話したかな?」

「ブロックの話ですね」

「そうそう! 強い魔法はブロックを大きく使っちゃうから注意してね」

「ちなみ花織さんの魔法はどんな構成なんですか?」

「私の? 参考になるかなぁ。あ、そうだ。早速パートナーの機能使ってみようか」

「パートナーの機能?」

「お互いの魔法が見られるの。えーと、パートナーのメニューから……これ」


 花織さんに操作を教えてもらって情報を見ると、魔法名がズラリと並んでいた。


「すごい。こんなにあるんですか?」

「100ブロックもあるからねー、でも強力なの入れたらすぐ埋まっちゃうけどね」

「この、アブソリュートレイってもしかして昨日の?」

「そうよ。あの赤いやつね」

「あれって、ピュアラファイに似てますよね?」

「へぇー、あの一瞬で分かるんだ」

「ずっとピュアラファイばかり使ってましたから」

「半分正解かな」

「半分?」

「アブソリュートレイはピュアラファイを元にして作られた、いわば進化形なの」

「進化形……」

「ピュアラファイの魔法式構成は知ってる?」

「え? ま、魔法式構成……?」

「ふふ、知らないのも無理ないわ。魔法少女の中でも魔法式構成を把握してるのは技術班の一部くらいだもの」


 なんでそれをあんたが知ってるんだよ。とツッコんだら負けなのだろうか。


「魔法式について詳しくはあとで説明するけど、要は魔法がどう作られているのか。ピュアラファイは浄化のための魔法っていうのは、知ってるでしょ?」

「はい」

「でも、攻撃力が全く無いわけじゃないの」


 それは俺も気になっていた。弱い魔物は蹴散らせて上位の魔物に通じないというのは、単純に攻撃力が低いだけなんじゃないか?

 なら、ピュアラファイも攻撃力を上げてレベル1から10に引き上げることができれば、上位の魔物にだって通用するんじゃないか。


「攻撃力に特化したピュアラファイなんですね」


 花織さんは一瞬驚いて、「その通り」と答えた。


「魔法式構成から攻撃部分だけを抜き取って、威力を高めた進化形。それがアブソリュートレイよ」

「え? 攻撃部分だけを抜き取った? 浄化能力を抜き取ったんじゃないんですか?」

「正攻法ではそうなんだけどね、ピュアラファイはまだ謎が多くて。それなら逆に攻撃部分だけを抜き取れば早いってわけ」


 そういや、ぷに助が言ってたな。

 

『……まあ、お前たち二人には話しても大丈夫だろう。竹田の言うようにピュアラファイはその仕組みの4割がまだ解明されていないオールドタイプの魔法なのだ』

『オールドタイプって、以前に試験で歩夢が使ってたやつみたいな?』

『ああ。古の魔法だ。その多くが原理不明で、実はピュアラファイもその一種だ』


 ということは、その解明されてない4割の部分が浄化機能ってことか。

 ()()()()()()()()魔法か……。エンジニアとしてはなんとも気持ち悪いな。

 

「私にも使えますか?」

「うーん、今は難しいかな」

「今は?」

「アブソリュートレイは魔力制御がシビアだから、ちゃんと練習しないと危ないの。だから、かえでの魔力制御を鍛え直して私がオーケーしたらいいよ」

「がんばります!」

「他に気になったのはある?」

「そうですね……」


 見たことも聞いたこともない魔法ばかりだ。これが100キロメートルエリア担当の魔法か。


「一番ブロックを使ってる魔法ってなんですか?」

「んー、それはやっぱり花雷(はならい)残月(ざんげつ)かなぁ」

「花雷残月……なんかカッコいいですね」

「とても派手な広範囲魔法でね、これだけで30ブロック消費してるから」

「30%ですか、確かに大きいですね」

「そうなの。それだけ威力はすごいんだけどね」

「花織さんは遠距離が得意なんですか?」

「というより、マジカルの間合いは中遠距離だから、自然とそういうポートフォリオになるのよ」

「ポートフォリオ?」

「魔法少女用語でね、手持ちの魔法構成のこと。かえでのポートフォリオも一応見せてもらえる?」

「え? いいですけど……」


 ポートフォリオを公開すると、「え?」と驚いて一瞬フリーズする。そうだろうなぁ、俺のポートフォリオはピュアラファイだけだし。


「昨日話は聞いたけど、本当にピュアラファイしかないのね……」

「それでなんとかなっちゃってたので……」

「それは、かえでのデタラメな魔力と強い器のせいね。普通なら10キロメートルエリア担当に昇格した時点でピュアラファイだけじゃ戦えないから魔法を作るもの」

「あー、やっぱりそうなんですね」

「いいわ。レッスンが終わったら一つ魔法をプレゼントしてあげる」

「いいんですか?」

「まあプレゼントって言っても、オリジナル魔法の申請をお手伝いするだけなんだけどね。その代わり厳しくするから」

「え!?」

「なんてね。それじゃあ、レッスンを続けましょうか」



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。


魔法の杖が魔物を検知した時に鳴る警告音。第一章ではけっこう使ってたんですが、次第に使われなくなり……。「初期では使われてたのに」というのは長期連載漫画でもよくある話ですね。


そんな警告音がここに来ての再登場。待ちに待ったキュインキュイン音はアニメでは爆音になることでしょう。

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