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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

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詐欺師か?

「やっぱりこれは、スティグマなのか?」

「そうだ。スティグマとは魂が魔力に汚染されたことで現れる症状だ」

「じゃあ……もう……助からないのか?」

「魂が汚染されて助かるケースは稀だ」

「助かるケースがあるのか!?」

「まあ落ち着け。改めて詳しく説明してやる。まず、魂が魔力に汚染されると魔物化――ローレスとなることは説明したな?」

「あ、ああ」

「魔法の杖と契約してない器は非常に不安定で壊れやすい。強いストレスなどでヒビが入ったり割れたりすると魔力が漏れ、まず心身に影響を及ぼす」

「新島は特になにもなかったな」

「個人差はあるからな。漏れた量が少なかったりで影響がほとんどなく自覚症状がないケースもある。

 そして、漏れ出した魔力に魂が汚染されると魔物化する。これも個人差があるが、汚染率40%がその閾値(しきいち)と言われている」

「そこまでは聞いたな」

「そうだ。そして助かるケースとしては二つある。一つは元々の魔力量が少なく魔物化に至らないケース。もう一つは40%を超えても魔物化せず助かるケースだ」

「そっか、最終的に魔物化さえしなければいいのか」

「うむ。ただし先も言った通り、これらのケースは非常に稀だ。魔力が極端に少なかったのは過去二人しか確認されておらんし、40%を超えて魔物化しなかったケースも過去一人だけだ。つまり、魔力漏れで魂が汚染された場合は99%魔物化する」

「そんな……」


 やっぱり無理なのか……諦めるしかないのか……俺が、この手で、この手で新島を……!


「お前には魔法少女の使命を全うしろと言ったが、なにも責任の全てを背負う必要はないぞ」

「え?」

「ローレスは言うなれば魔法少女の天敵だ。高位(ハイランク)含め全力で対応することになる。浄化するのはその中の誰かになるだろうな」

「そっか……」


 それなら、罪悪感は多少なりとも減るんだろうか。――なんて自分勝手な思いだよな。


「天敵っていえば、前にイクサって魔物いたよな」

「うむ」

「どうして魔法が通用しないんだ? ランクAのアノバリウス――今で言えばA+くらいか? あれには攻撃として魔力キャンセラーがあったけど、イクサはそもそも効かないんだよな? なんでだ?」

「イクサの場合はなぜ魔法が効かないのか不明なのだ」

「不明?」

「魔物の特性、性質に関しては生け捕っての解析。またはコアの解析が必要なのだが、イクサは魔法が効かないために高位(ハイランク)魔法少女ですら生け捕りもコアの回収もままならないのだ」

「でも、前に助けてくれた魔法少女は良いところまで追い詰めたって言ってなかったか?」

「ああ、風無(かざなし)梓だな。イクサに対抗できる数少ない魔法少女だ」

「その子はどうして戦えるんだ?」

「それも分かっておらんのだ。なぜか戦える。そうとしか表現できん」


 なんだそりゃ? なぜ魔法が効かないのか。なぜ対抗できる魔法少女がいるのか。なんにも分からないなんてエンジニアからすると怖すぎるんだが……。


「謎が多いんだな。あ、でも私は少し攻撃当てたぞ」

「なぬ? 本当か?」

「それこそ記録(ログ)見れば分かるんじゃないか? 楓香を護衛してた時だよ」

「ふむ。あとでチェックしてみよう。――さて、ではそろそろ本題に入るぞ」

「本題?」

「私がなんの用もなく遊びに来るとでも思うのか? 姫嶋かえで本人の通学が決定した」


 用事があって来たというぷに助は業務連絡のテンションで俺に伝える。


「てことは……俺が本物の生徒に?」

「うむ。ミニライブで大々的に復活を宣言してからになる」

「煌梨の戦略に乗っかるのか」

「そうなるな。ライブ前に復学したら色々と騒がれてライブどころではないだろうからな、タイミング的にもベストと判断した」

「確かにな。それは助かるよ」

「これでお前は社会人であると同時に学生だ。まったくお前は、どれだけ肩書きを増やせば気が済むのだ。詐欺師か?」

「誰が詐欺師だ。それに好きで増やしてるんじゃない」


 サラリーマン、魔法少女、アイドルときて今度は三ツ矢女学院の生徒。詐欺師どころかスパイでもこんなバラエティに富んだ肩書き無いぞ。


「まあいい。しかし分かってるとは思うが、優先は魔法少女だぞ」

「分かってるよ」

「それと、お前が気にしてる中原悠月だが、こちらで探ってみても特に気になる点はなかった」

「なにも?」

「うむ」


 悠月に怪しい点は無いか。学生になるための口実にそれっぽく言っただけだし、当然といえば当然か。

 本命は中原理事長の思惑を探ることだ。ぷに助には申し訳ないが事後報告にしよう。


「そっか。まあせっかく通学できるようにしてもらったんだ、私のほうでも探ってみるよ」

「うむ。なにか分かればすぐに報せろ」

「分かった」


 中原理事長は天界を信用せず、魔法(M)少女(G)協会(A)の介入すら断り、独自に魔法少女を育てている。その真意がなんなのかを確かめる。


 ――図らずもスパイのようで、少しだけワクワクする。



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

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