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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

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久しぶりの全力

 いったい、何が起きたのか理解できなかった。

 生島(しょうじま)の投げた大剣が魔物(ポラキオノゥス)の砲撃に止められたと思うと生島が詠唱を始めて、それが終わると魔物が雷に包まれた。


「今のって……詠唱魔法(インカンテーション)ですよね?」

「へぇ、妙な言葉知ってんな」

「つい先日教わりました」

「あん? あたし以外に使ってるのは3人くらいだぞ」

「風間水鳥さんです」

「風間だぁ!? あの野郎、諦めてなかったのかよ」

「え? それはどういう……」

「説明面倒くせぇから本人から聞けや」

「はぁ……」

「それと、あたしのは詠唱魔法(インカンテーション)とは少し違う」

「でも、詠唱してましたよ?」

「あれは後述詠唱(ディレイ)つってな、術式を追加するもんだ」

「魔法ではなく……術式の追加?」

「詠唱つっても色々あんだよ。それこそ師匠にでも聞きやがれ」

「それと、デュプリケート使ってましたよね?」

「おめぇは変な言葉ばっか知ってんな。デュプリケートなんざ高位(ハイランク)じゃ珍しくもねぇ」


 やっぱり。高位(ハイランク)では当たり前の戦術か。


「変な野郎だぜ……。と、まだ終わってな――」


 生島の渾身の一撃を受けてなお、ポラキオノゥスはそこにいた。さすがに外殻のほとんどは崩れ落ちていたが、やはり角は残っている。

 そして、その角から再び砲撃を撃とうとしていた。それも、さっきのよりも魔力反応が強い。


「どういうことだ? 雷霆斬空と雷火槍を喰らって生きてるのも解せねぇが、どこにそんな魔力隠し持ってやがる。……ハッ、ここまでか」


 なんだ? 急に諦めたようにやる気を失くした?

 それより、なんとかしないと……。

 

「――!」


 そうか、そういうことか!

 あの角はただ砲撃するためのものなんかじゃない!


「生島さん! あの角です!」

「あん?」

「あの角はただの砲身なんかじゃない。あれは魔法攻撃を吸収する役割もあるんですよ!」

「なんだと!?」


 その証拠に体には傷一つ付いてない。外殻が壊れたのは攻撃でじゃない。吸収した魔力で大きくなった体が外殻を割ったんだ!


「生島さんの魔法攻撃、雷霆斬空と雷火槍を全て吸収しているとしたら……」

「吸収したあたしの魔力を使って攻撃だ? 舐めた真似してくれるじゃねぇか!」

「駄目です! これ以上刺激しては!」

「あぁ!? ならどうするっつーんだよ!?」


 どうすればいい? 攻撃しても吸収されるだけだし、かといって生島の魔力を吸収した攻撃を防御できるとは思えない。


〈一つだけ、方法はあります〉

〈メイプル?〉

〈あの魔物の魔力より、マスターの魔力のほうが上回っています。マスターの魔法(ピュアラファイ)であれば相殺できるはずです〉

「それだ!」

「あん? なんだ、良いアイデアでも浮かんだか?」

「はい!」

「ハッ! バカ言ってんじゃねぇよ。てめぇみたいな実力もねぇやつが」

「なら、このまま負けていいんですか?」

「……あ?」

「今の生島さんには、あの魔物を浄化できる決定打がないんですよね?」

「てめぇ……」

「でも、魔力が尽きた魔物なら、どうですか?」

「なんだと?」

「魔力は魔物にとっても生命線です。その魔力が枯渇した状態の魔物なら、生島さんの物理攻撃で浄化できるんじゃないですか?」

「……ハッ! 生意気言いやがって。そりゃあてめぇがあの攻撃を防ぐって言ってるようなもんだぞ」

「はい」

「……できんのか?」

「できます」

「……チッ。しくじったらぶっ殺すからな」


 生島にも、今のままじゃ勝機が無いと分かってるんだ。だったら、俺が勝機を作り出す。


「さーて、久しぶりにやるか!」


 抜き打ちでも行けるが、より確実に勝つため意識集中(コンセントレーション)で魔力を集中する。


「全力全開!」


 魔物が砲撃を発射するそのタイミングに合わせて俺も魔法を放つ。


「ピュアラファイ!!」


 超特大の白銀の閃光が魔物に向けて放たれる。


「なっ! なんだこりゃ!?」


 俺の全力ピュアラファイを初めて見る生島は驚いていた。だが今はそれどころじゃない。


「くっ!」


 思ったより魔物(ポラキオノゥス)の魔力が強い。押し負けることはないが、意識集中(コンセントレーション)しないと均衡が崩れる。


「どんだけ吸収したんだよ……!」


 それでも、少しずつ手応えが弱まってるのを感じる。向こうの魔力が尽きかけてるんだ。


「もう少し!」


 次第に優勢になり、行ける! と思ったあたりで攻撃を止める。


「ふぅ」


 最後、残り火のような魔物(ポラキオノゥス)の攻撃は簡単に防御できた。


「生島さん!」

「行くぜ! 雷神の鉄槌!!」


 いつの間にかまた別の、さらに大きい剣に切り替えていた。それを魔物(ポラキオノゥス)の真上から自由落下そのままに振り下ろすと、一刀両断した。


「やった!」

「……まったく、大した奴だぜ」

「なにか言いました?」

「ちったぁやるじゃねーか!」

「ありがとうございます!」


 少しは認めてもらえたかな? 北見校長に良い報告ができそうだ。



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。



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