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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

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身を焦がす想い

 姫嶋と別れた陽奈は人気(ひとけ)の無い場所でペタンと力無く座った。


「姫嶋かえで……」


 最初、スレイプニルから聞いた印象からはかけ離れてる――。


 *   *   *


「姫嶋かえで?」


 校長先生から呼び出された陽奈が校長室に入ると、そこにはスレイプニルと魔法少女が3人いた。


「うむ。とある事情で三ツ矢女学(ここ)院に在籍はするがほとんど登校できない魔法少女だ」

「ほとんどって、そんなこと許されるんですか?」


 不公平感を訴える陽奈の目を真っ直ぐ受け止める校長は「今回はかなり複雑で特殊なケースなの。理事長ともお話して引き受けることにしたわ」と返す。


「どんな子なんですかー?」


 おっとりとした雰囲気の、金髪三つ編みの真島乃愛が訊ねる。


「腰ほどある栗色の髪と大きな瞳の可愛らしい子よ。背はちょうど乃愛さんと同じくらいね」

「いいなー、可愛いんだろうなー」

「何回か学校には来る予定だ。その時にでも会えばいいだろう」

「本当ですかー?」

「うむ。いつになるかは分からないがな」

「それで、諸事情というのは一切が機密なのですか?」


 雰囲気も声のトーンも落ち着いていて大人びた青髪ショートの風間水鳥の問いにスレイプニルは、「ふむ……」と、少し考える。


「通常とは異なる経緯で魔法契約を結んでしまってな。現在は5キロメートルエリアを担当してもらっている。魔法少女としてはまだお前たちのほうが格上だ」

「それと、彼女にはお仕事のほうもお願いしようと思っているわ」

「――お仕事?」


 ()()としてのスイッチが入りかけた御坂舞彩は頭にチョップを食らって我に返る。


「痛い! なにするの水鳥!」

「こんな時に隊長モードに入らないでください」

「え? ああーごめんなさい。お仕事って聞くとつい……」

「いいんですよ。あなたのお仕事に対する熱心な姿勢は大変高く評価していますよ」

「ありがとうございます! ところでその助っ人はいつ来るんですか!?」

「お前は話を聞いておらんかったのか。いつ来れるかは分からん。あくまでまだ予定だ」

「そうですか! 分かりました!」

「そういうわけだ。その時が来たら色々とサポートしてやってくれ」

「「分かりました!!」」


 *   *   *


 スレイプニルの話では、確かに「まだ」私たちが格上だと言っていた。でもあんなに強い器とは聞いてない。

 前に助けてもらった時に見せられた卓越した技術と、底が見えない膨大な魔力。この前の試験で10キロメートルエリア担当に昇格したそうだけど、遅いくらいだ。

 あの器なら50キロメートルエリア……いや、100キロメートルエリア担当だって狙える。


 それに、例の事件で姫嶋かえでがHuGFハピネスアンドグッドフォーチュンのメンバーだと知った。姉がファンなのでグループのことはよく知っている。

 熱狂的な姉のファンの狂気から姉を守り、その存在と勇気と美談があっという間に世界中に知れ渡った。


「魔法少女のエリートでトップアイドルの一員? なによそれ、どんなチート人生よ……」


 私は常に姉の影だった。有栖川グループの孫娘。同じ肩書きなのに姉とは天と地の差があった。

 姉は幼い頃から天性のスターで、私には何もなかった。だから私は魔法少女の才能があると知って飛びついた。どんなに危険だろうと魔法少女として成功してみせると決意した。

 それに、大きな差があろうと大好きな姉を魔物から守れることが、たまらなく嬉しかった。


「それなのに……」


 知ってしまった。知りたくなかったことを。

 10キロメートルエリア担当になれて、がんばれば50キロメートルエリア担当にもなれるかも知れない。そう思っていたのに……。


「……わたしは……!」


 嫉妬した。それも激しく。憎悪にも似た黒い感情が自分の中にあるとは思わなかった。

 可愛くて、強くて、優しくて……。遠くの存在なら良かった。でもサポートする側としてあの輝かしい存在の近くに居続けないといけない。


「うっ……うぅ……!」


 太陽は、近すぎると身を焦がす。あんなにも可憐で苛烈な存在は、私にはもう直視できない……!


「フフフ、いいですねぇ、その身を焦がすようなドス黒い想い」 

「――! 誰!?」


 突然聞こえた男の声。まったくなんの気配もしなかった。しかも今は()()()()()()()()()()()。この学院内に魔法少女の生徒と校長以外で今の私を見ることができる人間はいないはず。


「どこにいるの!?」

 

 注意深く周りを見ると、木の陰に一人の男性が立っていた。数少ない男性教師だ。


「先生? ……いえ、あなた先生じゃないわね。誰なの」

「ああ、失礼。自己紹介が遅れましたね。私はニューラ、世界を壊す者ですよ」



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。


姫嶋かえでは例外的な存在なんですが、陽奈にとってはあまりに眩しい。そして、そんな心の隙間に漬け込むように現れたニューラ。第一章のヒューザ戦以来の登場になります。皆さんは覚えてるかな?笑

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