表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

135/259

有名人

大変長らくお待たせしました。連載再開します!

そして本日は3話まで連投しますので、お楽しみに!

 ――あらすじ。

 サラリーマンと魔法少女の二足のわらじを履くことになった樋山楓人(ひやまあきと)は、同じく魔法少女であり有名なアイドルグループHuGFハピネスアンドグッドフォーチュンの東山煌梨に素質を見出されてアイドルとして華々しいデビューを飾った。

 ところが会場を守る戦闘中、魔物(フーノルザット)に襲われたことで魔力を使い果たし、さらに有栖川彩希を守って胸を刺され倒れた。

 魔法少女(かえで)のまま病院に運ばれた楓人はキュアオールによって刺された傷は完治したものの……。


 *   *   *


 病院のベッドの上で座禅を組み目を閉じる。瞑想によって自分の内へと深く深く意識を落としていく。すると次第にぼんやりと器の形が見えてくる。

 魔法少女の器。女の子には必ず備わっていて、その形は人それぞれ。魔法少女を魔法少女たらしめる魔力の源泉。入院前までは満ち満ちていた魔力も今は枯渇して器もなんだか古ぼけたように見える。


 瞑想を始める前は器を感じることすら困難だったそれが、今はぼんやりとではあるが見えるまでには回復したようだ。


「ふぅ……」


 瞑想を終えるとドアがノックされ、「入ってもいいですか?」と聞き覚えのある声。


「どうぞー」

「失礼します。瞑想がんばってるようですね」

「まあ、他にやることもないしな」

「でも、大事なことですよ」


 目が覚めてからは毎日瞑想を行っている。薬の代わりに医者から教わったこの瞑想は魔力回復のための儀式みたいなものだ。通常は魔力が減っても自然回復し、使い切っても一晩寝れば9割方は回復するらしい。

 ところが俺の場合は()()()()()。過放電のように本当の空っぽになると自然回復しないんだそうだ。そのため、ある程度までは瞑想で回復させるしかない。

 医者からは、魔法少女にとって魔力は命に等しいもの。今回は奇跡的に助かったが次は命の保証は無い。と厳重注意を受けた……。


「ところで、担当医は女性しかいないのか?」

「そうですね。魔法少女の関係者は天界を除いては女子オンリーですから」

「そういえば、まだぷに助以外の天界関係者に会ったことないな。というかぷに助は男なのか?」

「どちらかといえば、オスでしょうか」

「なるほど確かに、あれはオスって感じだ」

「かえでさんは女子が苦手ですか?」

「うん、まあ……」

「私は平気ですか?」

「ああ、(ゆかり)は大丈夫。あと歩夢とか」

「……女性として見られていない?」

「え? いやいや! そういうわけじゃないよ。あくまでも比較的大丈夫っていうだけで」

「そうですか」

「そ、それより!」

「はい?」

「訊きたいことがあるんだ」


 トラクトノスと戦った後のことについて、俺がいったいどうなったのかを唯一の目撃者となった紫に尋ねる。


「私には当時の記憶が無い。でも覚えてる限り、あれくらいの魔力消費じゃ空っぽにならないはずだ。いったいなにがあったんだ?」

「――あの時、私は術式でフーノルザットを捕えました。あとは無力化するだけ……そう思った時でした。かえでさんが急に苦しみだしたんです」

「ああ、そこはぼんやりと覚えてるよ」

迂闊(うかつ)でした……かえでさんの器にくっついていたフーノルザットの子機。あれに魔法少女を殺せるほどの力があるとは思いませんでした。それに気づいた時にはもう、かえでさんが墜落するところでした」

「でも、私は生きてる。なにがあったの?」

「……詳しくは私にも分かりません。かえでさんから黒紫の閃光が(ほとばし)るのが見えて、姿()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「黒紫の閃光? その時に魔力が空っぽに……それで?」

「見た目も別人のように変わってしまって、……アレをかえでさんと呼んでいいのか、正直分かりません」

「ということは、まさか……」

「私も最悪の事態を想定しました。ですが、ローレスと異なる点が2つ。一つは魔法少女を狙わず魔物を殲滅(せんめつ)したこと。もう一つは正気に戻ったこと。姿も完全に元に戻ってました」

「私の記憶が戻ったのもそこだ。気づいたら目の前に紫がいた」

「はい」

「ローレスって魔物を攻撃しないの?」

「はい。これはローレスの大きな特徴ですね。便宜(べんぎ)上は魔物化とも言われますが、ローレスは魔物とは全く別の存在です。魔物は“魔法少女の器”そのものが目的だったり人間を襲いますが、ローレスは()()()()()()()襲います」

「なるほど。もしローレスなら目の前にいる紫や他の魔法少女を襲うはずだし、もう正気には戻れない……か」

「そうですね、ローレスとなった魔法少女が元に戻った例はありませんから」

「でも、可能性はあるんじゃないか?」


 脳裏に浮かぶ新島の顔。もしかしたら……と淡い期待を込めるが、「残念ながら」と首を振る。


「そっか……」


 そりゃそうだよな、俺が魔法少女になるずっと前から魔法少女は存在し続けてきた。ローレスについて研究しなかったはずがない。ぷに助ですら浄化するしかないと言ってたんだ……。


「紫の話をまとめると、私が全魔力を消費して別人のように変身した。ローレスかと思われたけど、魔物を攻撃したり正気に戻ったことでローレスとは違う()()()だと推測される。――こんなところかな?」

「そうですね、だいたいそんな感じ……なんですが、実はローレスではないと断定はできないんです」

「どうして?」

「ローレスにおいては未発見ですが、新種の可能性も否定できませんから」

「今までの常識が通用しない新たなローレスの可能性もあるわけか。でもそれは困ったなぁ……。発作的にローレス化する(たび)に魔力が空っぽになったら、その(たび)にまた瞑想して回復しないといけなくなるし」

「今回のような事態は、そうそうないと思いますよ」

「そうなの?」

「あくまで仮説ですが、恐らくは命の危機に(ひん)したことがトリガーとなったのだと思います。それぐらいの強いきっかけがないとローレス化はしないでしょうし。

 それに、かえでさんがそこまでのピンチになることは稀なので、大丈夫でしょう。フーノルザットは例外として考えたほうがいいです。――要するに、そこまで気にする必要は無いということです」

「まあ、それもそうだね」

「それよりも今、大変なことになってますよ」

「え? どういうこと?」

「こういうことです」


 紫が見せてくれたスマホの画面には『彗星の如く現れたアイドル・姫嶋かえで、身を挺して有栖川彩希を守る!!』という見出しが踊り、当時の事件が大々的に報じられていた。


「これって……」

「かえでさん、今や世界的に有名人ですよ」

「……マジで?」



To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。


さて、連載を再開したのはいいんですが、実はまだ第三章完結まで書けてません←

とはいえ第三章の完結まで書いてから再開となると年内に再開します宣言がウソになってしまうかも知れないので、連載しながら書くことにしました。今回はストック十分にあるし大丈夫……なはず。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑にある☆を★★★★★にして応援していただけると嬉しいです。無限エンジンの燃料になります。 script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ