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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第二章

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技能試験⑪

 昼食を終えて、いよいよ次は仮想戦闘のステージへと進む。ここも最初の部屋と同じように素の空間だった。


〈さて! いよいよ最後の試験となります! ここでは同じ魔物を相手に戦ってもらいます。早く的確に無傷でクリアできるとプラス評価になりますので、頑張ってくださいねー! なおダメージは負いますが戦闘終了後には元に戻りますので安心してください!〉


 つまり瞬殺できれば最高評価貰えるわけか。瞬殺といえばクイックドロウだが……果たして通じる相手かどうか。


「クイックドロウなら楽勝でしょうね」


 いつの間にかシャルロットが横にいた。なんとも皮肉感ある言い方が気になるが……。


「どうかな。そんな簡単に倒せる相手ならいいけど」


 一番困るのはピュアラファイを弾く魔物だが、技能試験の性質上それは無いだろう。だとしたら素早い魔物かあるいは……。


「では、魔物を発表します」


 現れたのは大きい狼のような魔物だった。


「ランクB・ラグルスです」


 ゴアアアッッ!! と狼らしくない咆哮が部屋に響く。ヴァーチャルと分かってはいても迫力と威圧感がすごい。ほとんどの魔法少女が凍りついた。


「基本性能は本物とほぼ同じなのでけっこう強いですよ。頑張ってください。ですが、くれぐれも無理はしないように。普段通りに戦ってください」


 昇格したいからって無理するなってことか。


「制限時間は一人5分です。では、順番に始めてください」


 そこからは困惑と悲鳴の連続だった。ピュアラファイが通らなかったり、そもそも撃てなかったり、途中で棄権する子もいた。

 そんな中で明らかに場馴れしたというか、立ち回りが上手い子も何人かいた。特にナンバー13――個人情報保護の観点から名前では呼ばれない――の動きがすごかった。

 本当に同じ魔法の杖なのかと思うほど華麗に操り的確にピュアラファイを撃ち込み、ほぼ無傷で倒した。


「すごいね」

「あのくらい動けないようじゃ、10キロメートルエリア担当にはなれませんわ」


 シャルロットは厳しい顔でステージに上がる。


「ゴルルルル……!」

「来なさい」


 魔物(ラグルス)が突進すると、シャルロットはサッと(かわ)してピュアラファイを撃ち込む。だが魔物(ラグルス)も当然のようにそれを躱す。


「これならどう?」


 魔法の杖の先にバスケットボール大の光の玉を作ると、大量のピュアラファイが魔物(ラグルス)を襲う。


〈集中砲火といえばこの術式! ラピッドファイアが炸裂したぁーっ!!〉


 先の基本試験と違って今回は()()()()()()()なので術式もOKだ。使える魔法はピュアラファイのみだが、使えるものはなんでも使っていい。

 100発くらいのピュアラファイを撃ち込むと魔物(ラグルス)は沈黙した。シャルロットのイメージとは裏腹に超攻撃スタイルだ。


「ふん、こんなものね」

 

 会場も天の声も盛り上がる中、いよいよ俺の番がやってくる。


「さて、どうやって倒そうかな」


 ステージに上がると魔物(ラグルス)が再構築される。

 開始と同時にクイックドロウでピュアラファイを撃つと、魔物(ラグルス)は倒れてしまった。


「……あれ?」


 色々と危ない場面を想定していたが、本当にピュアラファイ一発で倒してしまった。

 会場全体がポカーンとなる中、天の声だけが興奮して実況する。


〈な、な、なんとっ! 開始直後、必殺のクイックドロウが炸裂ぅーっ!! クリアタイムはコンマ31! 私が記憶する限り、技能試験始まって以来の最速タイムです!!〉


 遅れて会場が黄色い声で盛り上がる。


「姫嶋さんカッコいいー!」

「きゃー! こっち見たー!」

「すごかったよー!」


 クイックドロウの時はザワザワする感じだったのが、今はもうすっかり人気者状態だ。


『かえでさん、あなた気づいてないのね?』

『……なにがですか?』

『十分、アイドルになれる資質があるわよ』


 ――東山の言っていたことを思い出した。こういうことなのか?

 HuGFと同じステージに立つということは、この100倍近くの人の前で歌って踊るわけか……。


「良い気分かしら?」

「え?」

「みんなにチヤホヤされて、さぞ良い気分でしょうね」

「そんな――いや、まあ悪い気分はしないけど」

「いい? 今日の結果はすでに過去のものよ。次はわたくしが一位になってみせるわ!」


 シャルロットは噛みつきそうに言うとどこかへ行ってしまった。

 俺は順位なんて2位でも3位でもいいし、「一位が欲しいなら譲ってやるよ」と言いたいところだが、火に油を注ぐだけだろうし言わないでおいた。


〈皆さんお疲れさまでしたー! 5キロメートルエリア以下はこれで技能試験は終了となります! 判定結果とエリア担当については後日、本部で発表されます! 魔法の杖にもデータは送られますので確認してくださいねー!〉


 すぐに発表されるわけではないのか。――さて、このまま帰ってもいいんだが……、やっぱりスペシャルミッションとやらは見たいな。

 試験会場には入れないので、待機部屋のモニター画面で見ることにした。


「うわ、けっこう人いるな」


 考えることは皆同じなのか、試験が終わった魔法少女がほとんど集まってる感じだ。

 モニターを見ると、知らない魔法少女が戦っていた。歩夢はまだなのか? それとももう終わったのか?


「すみません、葉道歩夢さんの番はもう終わりました?」


 近くの人に訊ねると、「あ! 姫嶋さん!? 試験見てたよ、すごいね!」と絡まれる。


「あはは……ありがとう。それで、葉道さんは……」

「葉道さん? まだこれからだよ」

「そっか、ありがとう」

「ねえねえ、クイックドロウってどうやるの?」


 なんだかえらく絡まれるなぁ……。

 どうやってあしらうかを考えていると、歩夢の番がやってきた。



To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。


最後の試験もクイックドロウで瞬殺した楓人。あっという間に有名人になりました。


これで技能試験は終わり……ではなく、もうちょっとだけ続くんじゃ。次回、歩夢のスペシャルミッションです。

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