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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第二章

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技能試験⑩

〈みなさーん! お疲れさまでしたー! これにて基本試験は全て終了となりまーす!〉


 全員の飛行試験が終わると、天の声から試験終了のアナウンスが流れる。


〈さて、仮想戦闘の前に一時間のお昼休憩となります! 特別な休憩ルームを用意してありますので、ごゆっくりどうぞー!〉


 一旦解散になり、その休憩ルームとやらに入ってみるとまるでオープンカフェのようになっていた。


「訓練棟にこんな使い方があるとは……」

「ビックリした?」


 俺が驚く様子が面白かったのか、ニヒッと笑う歩夢が横にいた。


「どうだった? 初めての試験は」

「うーん、まあなんとかなったよ」

「なんとか? かえでなら楽勝だと思ったのに。クイックドロウ決めたみたいじゃん?」

「うん。クイックドロウは決めれたんだけど、ちょっとね。またあとで詳しく話すよ。花織さんとも話さないといけないし」

「そっか、花織さんが試験官だっけ?」

「うん。歩夢はどうだった?」


 立ち話もなんなので、空いてる席に座ってついでにランチプレートも注文する。


「アタシもまあまあかな」

「え? それこそ歩夢ならサクッと終わらせちゃいそうだけど」

「甘いっ! 10キロメートルエリア担当の基本試験は難易度が上がってるんだよ」

「そうなの!?」

「じゃなきゃ、アタシが一勝一敗なわけないじゃん?」


 そういえば、月見里(やまなし)さんと話してた時にそう言ってたっけ。


「難易度上がるって、どうなるの?」

「うーん、教えてあげたいんだけどねー」

「ダメなの?」

「10キロメートルエリアに昇格するまでは基本を(おろそ)かにしないよう、上の難易度は教えないのが暗黙のルールなんだよ」

「そうなんだ……」

「基本がしっかり身についてからじゃないと、上のコトばかり気にして魔物に足元を掬われたらシャレにならないからねー」

「確かに……」


 今のうちに練習しておけば高位(ハイランク)も楽になるかと思ったが、そう都合良くはいかないか。


「それに、もし教えたら評価マイナスになる上に魔法少女(M)ポイント(P)没収だからね。教える側もリスク負いたくないわけよ」

「それは嫌だね……」

「ちなみにもし誰かが喋った場合、内容が少し変更されちゃうから」

「え……もしかして前例が?」

「あったよ、十数年前にね」

「割と最近なんだ」


 ウェイトレス役の職員が「お待たせしましたー」と営業スマイルでやってきた。

 ランチプレートはまさかのガパオライスにグリーンカレーという南国的な料理だった。手間かかるだろうに、よくこのメニューをチョイスしたな。


「おー、けっこう美味しそうじゃん」

「ごゆっくりどうぞー」


 こうして女の子と食事してると彩希とのデートを思い出す。ちゃんとデートできたんだろうか? ビジネスな話が多かった気がするし、からかわれてたし……。


「どうしたの?」

「え? ああいや、なんでも」


 つい深く考えてしまって手が止まっていたようだ。ガパオライスとグリーンカレーを口を運ぶと芳醇な香りが鼻を突き抜ける。


「うん、美味しいね」

「これ常設して欲しいわ」

「分かる」


 これがいつでも食べられるなら毎日でも本部に通ってしまいそうだ。


「お気に召したようで良かったわ」

「ん? リネもお昼?」

「リネさんが提案したんですか? これ」

「提案したし、私が作ったのよ」

「えっ!? これリネさんが作ったんですか!?」

「あら、なーに? 私が作ったのは食べたくない?」

「いえ! そうじゃなくて、ですね。リネさんこんな美味しい料理作れるんだって感動しちゃって」

「もう、上手いんだから。ていうか、姫嶋さんにバレてなかったのね」

「はい?」

「さっき医務室に来たでしょう? サプライズで作ってたからもうドキドキしちゃった!」

「えーと、……それはもしかして、あの奥の部屋でやっていた?」

「ええ、そうよ」


 じゃあなにか? あんなやらしい声出しながら料理してたってのか!?


「作ってる姿って恥ずかしいから、誰にも見られたくなくて……」


 いや、あの声の時点でやばいだろ。作ってる姿ってどんなだよ。白衣が着崩れてたのも料理してたせいなのか? どんな動きで料理作ってるんだよ。

 あれだけ悶々としてしまっていたのがアホらしくなってしまった。

 

「だから医務室の奥で……?」

「ええ、そうなの。美味しくできて良かったわ」

「へー、リネって料理できるんだ」

「ふふ、医食同源よ。料理も癒やしだから得意分野なの」

「でも治療は普通にやりますよね? どうして料理だけあんな……?」

「どうしてかしらね? 私にもよく分からないのよ。だから秘密にしてね、ヒ・ミ・ツ」


 またしても耳元で囁かれて暖かい吐息が! 脳が溶けるっ!!


「は、はい……」

「じゃあ、後半も頑張ってね!」


 リネさんが立ち去ると、「かえで、どんな料理の仕方だったの?」と歩夢に小声で訊かれる。


「えーと、……激しかったよ」


 歩夢は頭の上にクエスチョンマークを浮かべるが、すまん。俺にはそれくらいしか言えない……。



To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。


今回は休憩の一幕です。まさかあのリネさんが料理していたとは驚きですね。それにしてもガパオライスとグリーンカレー作るのにどうしてあんな声出るのか……謎です。

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