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MARBLE 序章  作者: 窓井来足
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00-2

二人の戦いから時は経ち。

それぞれは次に進むために――

 00-2


 戦いの後、数週間後。

 傷の癒えたジュンは鎧を使いこなす鍛錬を積みながら、情報収集を行い、姉であるカイの行方を捜し始めた。

 彼女には姉を見つけ出して、そして師匠の遺言となった言葉通り、姉を許すという使命があったからだ。

 ちなみに。

 アヤの死後、ジュンは葬式や遺産相続の問題、あるいは今後の道場の方針などについてやっかいな事になるのではないかと多少思っていたのだが。

 その辺りは、アヤが生前に親しい者や関係者にあれこれ依頼していてくれたおかげで、ジュンはほとんど何せずに済んだ。

 これはアヤが武術を嗜む者として、常に死を忘れずに生きていた結果であり、それに気がついたジュンは改めてアヤの偉大さを思い知るとともに、自分に細かな事を気にせず師匠の死についてだけ真剣に考える時間を与えてくれたアヤに感謝したのであった。

 さて。

 そんなジュンだが、残念ながらカイの居場所を発見する事はできなかった。

 ジュンはカイが言っていた「ラトムス」と言う組織の名称があるので、それをたよりに調べれば何かが掴めると推測していたのだが。

 調べた結果判明したのはそのラトムスという組織は、彼女とカイが戦ったあの日に夜宵市の外部に拠点を持つと思われる、別の組織によって壊滅させられており、既に存在していないという事だけであった。

 おそらく姉ちゃんは、その別の組織と何か取引をしたのだろう。

 ジュンはそう推測し、今後はその組織を調査する事に決めたのだが。

 ジュン個人の情報収集能力が巨大組織の情報操作に勝るはずもなく、今のところ彼女にはまだ何の手がかりもない。

 そして更に戦いから二ヶ月ほどが経過してから。

 ジュンは鎧の力を使って怪物と戦い、人々を守る戦士としての活動を開始した。

 本来、鎧の力をもっと上手く使いこなすまで、ジュンはこの力を使っての戦闘は控えるつもりであった。

 だが、ラトムス崩壊によって今までラトムスが行っていた怪物の発生を事前に察知し、それを怪物が未成熟なうちに駆除するというノウハウが失われ、そして新しく街を牛耳っている、カイが新しく属した組織がまだそれに代わる技術を生み出していないため。

 彼らの戦闘部隊は怪物対策に後手に回ってしまう形となり、結果として怪物による殺傷事件が頻発するようになったので。

 その事を問題視したジュンは、新しい力を人々に使う事を決意したのであった。


 そして。

 時は流れ。

 物語冒頭、あの冬の事件から一夜明けた翌日の朝。

 一人の女性が、アヤの墓の前に立っていた。

 その頬には涙の筋が光る。

 彼女は、昨夜怪物と戦っていた戦士である。

 昨夜もまた、自分の実力不足のために間に合わず、犠牲者を出してしまった。

 そう悩んだ彼女は、いつも自らの力不足を感じた時と同じように、空いている時間に他者の目を盗んで、今回もまたのない時間帯にアヤの墓を訪れたのであった。

 ふと、彼女はその墓に花が添えられているのを見る。

 それは、墓には相応しいとはとても思えない、黒白の組み合わせの花束であった。

 だが、しかし。

 それを添えた者はアヤがこの花を気に入っていた事を知っている者である。

 そして、そんな花を見て。

 またアイツかと、その女性は思った。

 アイツもまた、この墓に来ているのか……と。

 以前、彼女がアイツがここに来ているということに気がついたとき、ここで待ち伏せればアイツに会えるのではないかと考えたのだが。

 アイツと自分、二人の間でまだ決着がついていないのに、ここで会うのは無粋だと考えたため、彼女は結局ここでの待ち伏せはやめることにしたのだった。

 さて、そんな彼女は添えられた花を見て、何となくだがアイツもまた悩んでいるのではないかと感じ取る。

 そしてそれから思わず、


「自分達は一体、どうすればいい?」


 とアヤに対して訊ねたのであった。

 しかし、それに答える者は誰もいない。

 ただ季節外れの温かい風が吹き。

 黒白の花を揺らしたのだった。

さて、この後。

ジュンは、そしてカイはどうなるのか。


それについてはまた、機会があれば。

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