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才女の異世界開拓記(なろう版)  作者: 初仁岬
異世界に来ました
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第6話 才女、薬師に出会う

ブックマークありがとうございます。

更新遅れてすみません。言い訳は後書きで

 魔力計測が終わった後も生活に変化はない。それは、魔力計測が今後の授業方針を決めるために行われたものだからだ。

 授業内容が少し難しくなるという話だったが、私からすれば多少難しくなったところで全て勉強の終えている範囲でしかないという……


 魔法に関しても殆ど終わってしまった。残すは高位精霊と契約して使う魔法くらいなもの。

 ただ、この高位精霊との契約が誰でも出来るわけではなく、全ての人が扱えるわけではないそうだ。


「というわけなんだけれども、これから私どうしたらいいかしら?」

「知らんがな」


 取り敢えず、真っ先に部屋に来ていた来斗に聞いてみた。年長者だし何かいい案はないかなぁと期待して。

 結果は見ての通り惨敗だったけども……


「何か武術でもやれば良いんじゃないか?」

「私、柔道も剣道もそれなりに出来るわよ?」

「マジか。お前、とことんスペック高いのな」


 来斗は今まで適当にのらりくらりと進学していたらしく、不良ではないけども、特別真面目というわけでもないらしい。

 暫くすると次は隣で着替えていた恵子ちゃんが入ってくる。遅れて鎮がやって来て全員が揃った。

 ちなみに、二人にも聞いてみたけどいい話はもらえなかった。

こうなると最後の手段がこの人だ。


「精霊契約は早すぎますねぇ……お散歩にでも行ってきたらどうです?」


 期待した私が駄目だった。

 先生曰く、精霊契約の準備は始まっていて、準備が終わるまではどうしようもないとのこと。


「そういえば、私はここの食堂も知らなかったのだけれども、他にはどんな施設があるのかしら?」


 私が他に聞いたことがあるのは地下の魔力炉とどこにあるかも知らない入浴設備くらいなものだ。


「そうですね……軍の演習施設がいくつかと、医療施設などがありますよ」

「軍? 国防軍みたいなものかしら?」

「そうですね。他国では騎士団なんて呼ばれたりしていますが、この国の軍は騎士団のように慈善事業はやらず、演習と研究に注力しているのですよ」


 慈善事業とは所謂、警察や自衛隊が担うような仕事を請け負うことらしい。他国では幾つもの騎士団を結成させ、それぞれ役割を持って仕事に臨むそうだ。例えば、王や貴族の警護、治安維持、復興支援などなど。

 ただ、あくまで騎士団なので自国の危機が迫れば全ての役割を放棄して防衛に加わるのが騎士団のあり方だ。自衛優先の組織ということになるのだとか。

 逆にこの国の軍とは自国を防衛するためだけの組織。軍事力の向上を主とし、研究や演習に力を入れている。もちろん、治安維持をしないわけではないが、治安維持部隊はあくまで治安維持部隊。自衛には加わらない。

 これが、軍と騎士団の違いなのだそうだ。


 私は医療施設に行くことにした。だって、今後、あの駄王に駆り出されて怪我するかもしれないじゃない? お世話になるかもしれない場所は行っておかないと。治癒魔法にも興味あるし。


 恵子ちゃんとルカが付いてこようとするのを静止して一人で行くことにした――が、ルカがそれを許すはずもなく代わりの案内役が呼ばれた。


「お久しぶりですサイカさん」


 そう言ってにこやかにやって来たのはフィーラス殿下だった。


「これはこれは殿下。殿下自らサイカさんのご案内を?」

「ええ、丁度、医療施設に用事がありましたし、他の方々の習熟状況を確認しておこうかと思いまして」

「サイカさんは改めて言うまでもないですが、他の方々も順調に学ばれていますよ」

「そうですか。引き続きよろしくお願いします」


 そう言って殿下は満足そうに頷いている。私達を気にしてくれているのは、この世界で殿下が一番だろう。あ、でも、未だに挨拶してない統括さんも多分気にしてくれているはず――違う意味で。


「では、サイカさん。行きましょうか」

「ええ、お願いするわ」


 そう言って殿下の後ろに付いて行く。だが、こっちの方向には来たことがない。

 今日はいつもと違う道を使うらしい。


「殿下、外に出るのかしら?」


 実は、召喚されてからそこそこ時間が経過しているが、未だに城の外には出たことがないのだ。


「はい。他の施設もそうですが基本、城の敷地内にはあるものの建物は別でして……。時代の流れに合わせて組織の編成と専用の建物を増築してきた結果だそうですよ」

「ふーん……つまり、必要に迫られれば新しい建物を建ててくれるのね」

「ふふ、悪巧みですか?」


 殿下は何か知っているのか楽しそうだ。


「あら、何のことかしら?」

「食堂の食材を勝手に使ったでしょう? 使われてた材料の組み合わせが珍しいものだから一部で話題になってるんですよ」

「ちなみに、何でその話を私に?」

「書かれていた言語がニホン語(・・・・)だったからですよ」


 言われてからしまったと思った。

 私たち被召喚者はこの世界の言語を読めないけど理解できる。本を読むことが出来るのもそのためだ。

 ただ、あくまで理解が出来るだけなので文字を書くことは出来ないのだ。


「私の負けよ。流石に勝手の違う異世界で悪巧みは難しいかしら……」

「確かに皆さんだけだったら難しいかもしれませんね」


 殿下がこっちをチラッと見ている。もはや言葉を続ける必要もない。


「遠慮なく頼らせてもらうわ。だから、精々楽しみましょ。貴方の父が慌てふためくのをね」


 具体的に何をやるかは考えない。ただ、目標は出来た。

 取り敢えず、私たちの拠点を手に入れる。これは早急にクリアしたい第一目標だった。


 余談だが、日本語は過去の被召喚者が辞典を作っていたらしく専門の学者が解読したらしい。


 † † †


 外に出るまで五分程歩き、外に出てから十五分ほど殿下が用意してくれた馬車に揺られてようやく医療施設に到着した。

 改めて城のバカでかさに頭を抱えたくなる。


「お疲れ様です。ここが医療施設ですよ」

「これは何というか……ガラス張りの建物なのね」

「彼らは実験だけでなく薬草の栽培などもやってますからね。必然的に温室は必要になります。ただ、温室の維持には莫大な魔力が必要でして、城内の魔力炉を使ってもこれ以上は温室を増やせないんだとか。代わりに特別な式典用の花もこの温室で育てていると聞きました」


 もしかしたら、部屋でエアコン(もどき?)を使わせてもらえないのも、そこら辺が関係しているのかもしれない。

 

 中に入れば様々な年齢の男女が白衣を来て忙しなく行ったり来たりしている。誰もこっちに気づかない凄い集中力だった。

 それは、中々に見応えのある光景だったのだが、そのせいで後ろに気づかなかったのは失策だったと言えるだろう。


「ここで何をしているサイカ」


 後ろを見れば先日、謁見の間であったインテリ眼鏡様ことアビス・クレオスが立っていた。


「びっくりさせないでアビス。先日ぶりね」


 実はあの魔力計測の後、私だけアビスに連れられて更なる計測に参加させられたのよ。歳は六つくらい離れていたはずだけど今では普通に会話するほどの仲になったわ。


「それで、アビスは何でここに?」

「それは、俺がここの副顧問だからだ。軍に頼まれていた薬の引き渡しをして帰ってきたところだ」

「てっきり軍属の研究者かと思ってたわ」

「こないだ何も言わなかったか……すまんな」


 その後、部屋に案内され医療施設の概要を聞いた。


 治癒魔法とはそもそも精霊にお願いして人間の細胞を活性化させ、自然治癒力を高めるというもの。つまり、重症を負うと応急処置は出来ても治療は出来ないのだ。

 また、風や流行り病なども魔法ではどうしようも出来ない。下手をすると感染したウイルスが活性化する可能性もあるからだ。

 そこで登場するのが薬だ。もちろん、日本のようにただの薬というわけではない。

 とはいえ、日本の某ゲームに登場するポーションだったりエリクサーだったりという訳でもない。

 異世界のクセになんと夢のない。と言っても仕方ないのだが……

 そうなると一体、何が他と違うのかという事になるのだが、魔力を込めた即効性のある薬なんだとか。


「精霊の力も借りていないのに即効性が出るっておかしくないかしら?」

「普通に考えればそうだ。だが、何も魔力に反応するのは精霊だけではない。生きている物は何だって少なからず反応する」

「それって治癒魔法、必要ないんじゃない?」

「即効性があると言っても病気に対してだ。外傷は治癒魔法を使った方がいい」


 即効性のある風邪薬とか流行病のワクチンとかそんな感じみたい。

 確かに日本でインフルエンザの予防接種を受けると「抗体できるまで二週間かかります」とか言われるものね。

 そう考えると優れ物かもしれない。


「さて、この施設の説明はその辺で。今日はトト顧問に用があって来たんだ。彼女は今どこに?」

「トトなら温室の方にいると思うが……」

「了解。サイカさんも一緒にどう?」

「折角だから顧問にも挨拶していくわ。温室も見てみたいし」


 アビスに別れを告げ部屋を出る。向かうは温室。と言っても、城のようにデカいわけじゃないからすぐに着くんだけどもね。


「アビス君? 悪いけどもうちょっと待っててね〜。今いいところだから」


 奥の方から女の人の声が聞こえてきた。アビスの名を呼ぶ辺り恐らくこの声の主が顧問なのだろう。


「どうもトト顧問。僕ですよ」

「あらあら、殿下でしたか。とんだご無礼を……」

「気にする必要はありません。今日は例の件で寄ったんですよ」

「そうだったんですね。でしたらあちらに――あら?」


 立ち上がって近づいてきた女性がトト顧問。彼女は私を見るなり顔を輝かせた。


「貴方が異世界から来たっていう?」

「ええ、私が相澤才華よ。初めましてトト顧問」

「会いたかったわ!」


 身長は私と同じくらいで歳は私より上らしいけども同い年くらいにしか見えない。

 そんな彼女に正面から抱きつかれた。それこそ、後ろに吹っ飛びそうになるくらい。

 何故、彼女がそれほどまでに私に会いたがっていたのか、この時の私には知る由もなかった。

こんにちは。三日坊主です。

本当に三日坊主になってしまったのではなく、単に忙しくてさっぱり書けていませんでした。

ちょっと、友人に会いに行ってたりと色々ね。

今年も残りわずかですが、あと2回くらいは更新したいですね。

頑張ります。

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