第47話 才女、異世界の海を見る
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最低限に絞ったとしつつも、意外と大所帯になってしまった使者団。
私の乗っている馬車もかなりの大型で、私、恵子ちゃん、殿下、来斗、鎮、アビス、ルカ、エルの七人が乗っている。
王都カルディアを出てから既に四日が経過している。
目的地は殿下によれば、もう目前なんだとか。
その目的地というのが、カルディア王国が誇る史上最大規模の貿易港を持つ海の玄関口・貿易都市ノアーク。
人口に関しても、他国からの移住者もいるために非常に多いらしい。
栄えているという意味では王都を凌ぐのだとか。
なんか、そこら辺はイメージと違うわね。
普通、王族って言ったら財を無駄に費やして贅沢をするものだと思うけども、オスカー・カルディアは国民に還元してるんでしょうね。
「見えてきましたよ」
殿下にそう言われ、外を見てみると海が見えてきた。
大きな帆を張った船が何隻も港を出たり入ったりしている。
少しずつ風も出てきたような気がする。
潮の匂いがし始めると、どこか懐かしい気分になる。
別に島国の日本に住んでいたと言っても、海沿いの街で暮らしていたわけじゃなく、普通に内陸だったから故郷を思い出すわけじゃないんだけどね。
街が見え始めたところは丁度、丘になっていて、そこから街の方へと下っていく。
街の前まで来ると大きな門が見えてきた。
門の前には大きな広間があり、各々テントを張って寛いでいる様に見える。
「あれは?」
私が広間の一団を指さして聞くと、答えてくれたのはアビスだった。
「商人が殆どだな。彼らはカルディア国内の名産なんかを輸出するために、ノアークへ来ている。
地価の高いノアークに本社を構える通行証持ちの商人たち以外は、毎回門を通る度に申請と審査が必要で、審査が終わるまでの数時間~数日をこの広間で過ごすと仕入れ業者から聞いたことがある」
なるほど、輸出の際に違法な物がないかとかはここで調べる訳ね。
場合によっては中で販売されてしまうかも知れないし、国外に出さなければそれで良いってわけではないものね。
積荷に関しては下ろす時に検品しているんでしょうから、都市内の安全性は非常に高いのかも知れない。
「でも、それだと、ノアーク内に本社を構える商人たちは好き放題出来るって事にならない?」
「まぁ、普通はそうなりますが、ことノアークに関しては問題ないと思いますよ」
「どうして?」
「ノアークは私も他国に行く際に毎回利用させて貰ってまして、ここの領主であるヴェナ―卿には非常にお世話になっているんです。
色々とお話も伺っていますが、本社を構える商人たちは定期的に監査を行っているんだとか」
自分の商店で隠し事っていうのは意外と簡単に出来るもので、定期的な監査程度で防げるほど甘くはないのではないかと思わなくもないが、監査の方法を知っているわけでもないし、今は突っ込まないで置こうと思う。
で、私たちと言えば……
「使節団の皆様ですね。国王陛下の使者から既にお話を伺っております。
殿下や勇者様に聖女様もようこそいらっしゃいました。
ヴェナー卿が屋敷で歓迎会のご用意をしていますので、真っ直ぐ屋敷に向かわれるのがいいかと思います」
ほぼ顔パスだった。
殿下がいるのだから当たり前といえば当たり前なんだけど、どうやら私や来斗の顔も知れ渡っているみたい。
とはいえ、そのまま通れるという訳ではなく、検品関連を最優先でやって貰えるというだけ。
だから、私たちは馬車から降りる必要があったし、降りるということは、周りで寛いでいる商人たちに顔を見られる訳で……
後から聞いた話によると、写真はこの世界にないみたいだけども、芸術家というのは普通に存在するらしく、宮廷画家がいつ描いたのか、私たちをデッサンして広めてしまったらしい。
まぁ、王様が私たちに無礼なことがないようにと対策を取ったのでしょうけど、こうも注目されてしまうのは何とも居心地が悪い。
特に検品は問題なく終わった。
今回は移動距離が長いし、他国に行くってこともあって魔導砲の試作品は持ってきてないみたいだし、怪しいものは当然積んでいない。
聞かれたことと言えばサスペンションくらいかしら?
一応、危険物ではないと認識してくれたみたいだけど、これはヴェナー卿にも一つプレゼントしないといけないかも知れないわね。
門をくぐり抜けると、更に潮の匂いが強くなる。
ところどころ錆びているのが、また趣があっていい。
海外旅行はしたことなかったのだけど、海に面した外国の街というのはこんな感じなのかしら?
門にいた衛兵の一人が案内役として先頭を移動する。
道幅は綺麗に整備されていて、商品を運ぶためか非常に大きい。
大通り沿いを真っ直ぐ進んで半ばまで来ると港が大きく見えてきた。
ノアークの港は日本の様に工場があるわけではないから、少しそれればすぐに海水浴場になっているんだとか。
数日はノアークに滞在するらしいし、時間があれば久々に海で泳ぎたい気もする。
あと、純粋に恵子ちゃんの水着姿が見たい。
今日も海は近くで見れるかなぁと思っていたのだけど、交差点を右に曲がってしまった。
こちらは先程の通りよりも更に幅の広い通りになっていた。
そのまま、進むこと十分ほど。
遂にヴェナー卿がいるという巨大な屋敷に到着した。
規模は下手したら王宮よりも大きいかも知れない。
「ふふ、驚きましたか?」
敷地内の入り口でその規模の大きさに見入ってしまった私に声をかけてくれたのは、物腰が柔らかい三十代くらいの男性だった。
「ご無沙汰しています。ヴェナー卿」
「ええ、殿下も最近お忙しいようですが、元気そうで安心しましたよ」
なるほど、この人が屋敷の主、ロイ・ヴェナー卿らしい。
確かに、近くにはスーツを着た男が……スーツ?
「おや? 聖女様にはあちらの服も珍しかったですか?
あれは、スーツと言って、隣の小国で流行っている護衛用の服なんですよ」
「いえ、まさか故郷のサラリーマンが来ている服が出てくると思わなかったから、ちょっと驚いただけよ」
そう言うと、ヴェナー卿は「やっぱり知っていましたか」とにこやかに笑い、折角ですから後で勇者殿と彼に用意しましょうと言ってくれた。
確かに、二人のスーツ姿は見てみたい。
一通りの挨拶が終わって、中へと案内される。
歓迎会だから着替えましょうということで、私と恵子ちゃんはルカやエルと一緒に別室へ案内された。
「まさかと思うけど、ドレスを着るの?」
「そのまさかですね。王宮ではカルディアの伝統衣装を着ていただきましたが、ここは先程ヴェナー卿がおっしゃっていた隣の小国で流行っている衣装が主流でして、今回は事前に用意しておいて貰ったそうです」
スリーサイズまでピッタリって、歴史の継承はままならない癖に、何で乙女の秘密ともいうべきデータの伝達はそんなに早いのかしら?
納得はいかないものの、ルカも知っていたのか予め尽力してくれたらしく、比較的シンプルで落ち着いた感じのドレスが用意されていた。
普段来ている聖女服(仮)も肩は出ていたけども、こっちのはもっと露出が多い気がする。
「ねぇ、ルカ。こういう時って武装は完全に解除して会場に行くものなの?」
「流石にパーティですので、霊刀のような大きいものは持ち込まない方がいいと思いますが、護身用の短剣などは皆さん持ち込んでらっしゃるはずですよ?」
なら、銃くらいは持ち込んでも良さそうね。
ホルスターや銃は特に外さず身につけたままドレスに着替える。
普段の格好のせいか、スカートは長く感じられるけど、スリットが入っていて銃は思ってたより取り出しやすい。
まぁ、特に何も起きないと良いのだけど、さっきの通行証というのがどうしても頭を離れない。
少なくともヴェナー卿は白だと思うけど、商人とは欲深いというのが私の持つイメージだ。
ノアークの商人がどんな人間なのか、一つ見定めさせて貰ういい機会だと思う。
さて、恵子ちゃんは――
あぁ……これは殿方の視線を一手に集めそうね。
なるべく、来斗や鎮と一緒に行動するようにしましょう。
私一人だと力尽くになっちゃうから。
皆さん、こんんちは。初仁です。
凄い久々の更新になってしまいました。すみません。
という訳で、遂に王都を出て才華たちの旅が始まります。
と言っても、まだ国外に出るわけじゃないんですけどね(汗)
章の名前を多少変更してまして、旅に出る→精霊召喚とし、今回からは貿易都市ノアーク編となります。
数日滞在と言ってる点からもお察し頂ける通り、一つ大きな物語を書ければと思っています。
あと、今回いつも通りの文量になりました(汗)
次回はもう少し増やせるようにがんばります。
それと、新作「近代魔術のレッツェルシーカー」ですが、順調に更新中です。
ツギクルには「ファンタジーよりSF」という評価を受けました(汗)
こっちと比べると少し小難しく書いてる感は無きにしもあらずって感じですが、読みやすさの評価は良かったので普通に読めるかと思います。
下のリンクより作品ページに移動できますので、まだ読んだことない方は是非読んでみて下さい。
今日も既に最新話更新済みです。
合わせて応援よろしくお願いします。
あと、そろそろ「二度目の人生は平穏に過ごしたい!」を更新したい。
息抜きでそろそろ書きます。
次の更新は来週の月曜日18時頃です。
では、また次回。




