第32話 才女、味噌汁を作る《準備編》
新作「二度目の人生は平穏に過ごしたい!」もよろしくおねがいします。
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あと、出来れば5段階評価だけでも頂けると助かります。
それを参考に途中のお話追加したり、修正を加えたりしようと思いますので……(カクヨム版の参考にもなるので)
翌日、朝はそこそこ早く起きた。
まぁ、普段から早起きしてるから特別早いって訳でもないんだけどね。
「おはようございます。サイカ様」
にも関わらず、ルカは既に起きて仕事をしている。
一体何時に起きているのかしら?
「おはようルカ。服を用意してもらってもいいかしら?」
「服ですか?」
「そ、服」
今日は料理をする予定だし、汁物だからいつもの服だと汚してしまいかねない。
折角、アル司祭が作ってくれたものだし、汚すのも申し訳ないもの。
とは言っても、汚していい服なんて持ち合わせてないんだけどね。
「料理するから裾が邪魔にならなくて、かつ汚れても大丈夫そうなものをお願い」
この国は来客用に幾つも服を用意しているみたいだし、ルカに任せておけばいいものを見繕ってくれるはず。
ミシンがないから苦労はしたものの、料理する傍らエプロンも用意している。
あとは……
「王宮の食堂から食器とか借りられるかしら?」
「大丈夫だとは思いますが、寸胴鍋とかは無理かもしれませんよ?」
「流石に寸胴鍋が必要になるほど沢山作る必要はないと思うのだけども……」
寸胴鍋自体はトト母の食堂にも幾つかある。
そこそこの人数がいるけども、複数の寸胴鍋が必要になるほど人は来ないはずだ。
それに試しで作る種類に関しては少なめに作るつもりだったし、そもそも寸胴鍋が必要ない――はずだったのだけど……
「実はサイカ様が今日、街で料理されることは既に知れ渡っています」
「え?」
「既に街の人だけでなく、城の者にも知れ渡っていて……
多分、大勢の人が押し寄せるのではないかと」
一体、どこで漏れたのかしら?
そう言えば、愚痴を言ってたからあんまり気にしてなかったけど、あの時間も普通にお客さんはいたのよね……
多分、そこから漏れたんでしょう。
これは、早めに行ってクレスト兄妹と話しておいたほうが良さそうだ。
「必要な機材で借りられそうなものは借りて、あとでアシュレイ家の食堂まで持ってきてくれるかしら?」
「分かりました。サイカ様は?」
「朝食を取ったら天馬で工場へ行ってくるわ。
材料を用意するのはマイアちゃんだしね」
そう言うと、ルカはすぐに食事を用意してくれた。
軽めの朝食を取った私は用意された服を着る。
袖のない黒い服だったから汚しても大して目立たなそうね。
「行ってきます」
そう言って私はベランダから飛び降りる。
事前に呼んでおいた天馬が私を拾って飛翔した。
別に飛び降りる必要はなかったのだけども、折角、魔法がある異世界に来たのだし、アクロバティックなことをしないのは勿体ない。
日本だったら拾い損ねただけで死の危険に晒されるけど、このくらいの高さなら身体強化を使えば普通に自分で着地出来るし、多少の怪我なら治癒魔法で治る。
なんともまぁ便利な体になったものね。
怪我をあまり気にする必要がないということは、それだけ色々と試せるということだもの。
† † †
前回は馬車で行ったからそこそこ掛かったのだけども、今回は一人で天馬で来たから半分くらいの時間で来れた。
「あれ? 聖女様?」
到着すると工場で働く人たちが丁度、出勤して来たらしく声を掛けてくれる。
マイアちゃんに用事があると言うと「呼んでくる」と言って中に入っていった。
暫くするとマイアちゃんが慌てて出てきた。
「お姉様! おはようございます」
勢いよく止まるとその勢いで頭を下げて挨拶をしてくる。
何か凄い勢いで懐かれたからあれだけど、これが平常運転なのかしら?
「そんなに畏まらなくていいのよ?」
「いえいえ、将来、本当にお義姉様になるかも知れない――というか、そうなって欲しいと言うか……」
何となく、今の『おねえさま』が意味深げに聞こえたけど、気にしないことにしておく。
「ところで、お姉様は何故、朝からこちらに?」
「実はね――」
朝、ルカから聞いた今の状況を説明する。
食材の追加とテーブルや配膳をする人手も必要になるはずだからね。
「なるほど……。配膳の人手は言えば工場の皆が手伝ってくれると思います。
問題は食材の方ですね。
流石にウチの倉庫の在庫でも大勢に振る舞えるほどの在庫はありませんから」
「商店で譲ってもらうしかないんじゃないか?
何なら実家にお願いして用意してもらうが――」
声を掛けてくれたのは朝来た時に気づいてくれた人だった。
なんでも、実家が商店街で店を構えているらしく、その伝手を使って用意できないか交渉してくれるというのだ。
「お願いしてもいいかしら?」
「聖女様に頼まれちゃあ断れないですぜ」
そう言って、工場から天馬を連れてくる。
「では、自分は先に実家に戻って食材を集めてきやす」
言うが早いかあっという間に飛んでいってしまった。
マイアちゃんは少し苦虫を噛み潰したような表情をしている。
「どうしたの?」
「逃げられた……」
「逃げられた?」
「アイツの実家へは別にアイツが行く必要はないんです。
私たち全員顔なじみなので、ウチの女性社員を行かせて男は全員力仕事を――と思っていたのですが……」
なるほど、それを見越してまるで自分が行かないといけないかのように言って、体よく力仕事を避けたのか。
「何かゴメンね?」
「いえ、お姉様のせいではありませんから」
残ったメンバーで数台の馬車と倉庫にある食材を運び出す。
私も手伝おうとしたのだけど、お茶を出されて端っこに座らされた。
「身体強化もあるから全然平気よ?」って言ったんだけどね。
マイアちゃんどころか全員から止められてしまった。
「取り敢えず、今ある数種類の味噌と乾燥させたキノコや海藻を詰め込みました」
「そう言えば、今更だけど、海ってあるの?」
「はい。むしろ、カルディア王国は島国ですので、外国へ行くには海を渡らないといけません」
ああ……島国なのは知ってたけど、この島って全部カルディア王国だったのね。
聞いてみると、どこの国も似たような感じらしい。
あれね。ド○クエⅦみたいな感じなのね。
魔族の住む島に海を挟んでお隣に位置するのは、カルディア王国の他に三カ国ほどあるらしい。
「カルディア王国を含めた四カ国は魔族の島を囲むように存在するので、古くから守りの要として同盟を結んでいます。
大昔には四カ国に守られた他の国にも出兵要請をして魔族の島を攻めたのだとか」
「海に魔物は出ないの?」
「出ないとは言えませんが、漁業が出来ないほど魔物が蔓延っているわけでもありません。
なので、内陸部の王都では出回っていませんが、沿岸部の街では海鮮モノが出回っています。
何れそういった場所にも観光で訪れてはいかがですか?」
「そうしたいのは山々なんだけど、そんな機会をくれるのかしらねぇ……」
一応、私はその魔王復活の予兆を感知して呼ばれたわけだし、自然あふれる王都内での自由は保証されているけども、学ばないといけないことはいっぱいあるし、何も言わずに外に遊びに行くのも今は難しい。
前なら出来たのだけど、今だとお世話になった人たちに迷惑を掛けちゃうものね。
流石にそれは本意じゃないわ。
「という訳で、行けるとしても当分先になるかも知れないわね」
少し残念ではあるけども慌てる必要はない。
どうせ、元の世界に戻ることは出来ないのだろうし、今ならまだしも数年後に戻ったところで居場所はない。
一生をここで過ごすならば行く機会も出てくるだろうしね。
† † †
馬車に乗ってアシュレイ家へやってきた。
すでに食材は集め終わったらしく、馬車何台か分の木箱が高々と積み上げられていた。
「来たかサイカ。これはどういうことなんだ?」
こっちに気付いて話しかけてきたのはアビスだ。
どうやら、私が頼んだということしか聞いていないらしい。
そもそも、事情を知ってるのが、私とルカとマイアちゃんだけだものね。
なので、アビスにも事情を説明する。
「昨日、中で客の誰かに聞かれたか……」
「まぁまぁ、少し増えたくらい別にいいじゃない。
入場料取れば店の売上の足しになるし、アンケート調査もすれば新メニューの開発の参考にもなるもの。
それに、どうせ外でやるつもりだったし、後から食材用意することになるよりはよっぽど良かったと思うわよ?」
「それもそうだな」
「さて、忙しくなりそうね。マイアちゃんは料理は?」
「お兄様ほどではありませんが、材料を切るくらいなら出来ますよ」
他にも工場の女性組が食材を切る役を買って出てくれた。
となると、薪割りと火起こしは男性組に任せて私とアビスはひたすら調理ね。
「じゃあ、皆。張り切っていきましょう!」
そう言って、忙しい一日が始まる。
皆さん、こんにちは。初仁です。
何か大枠が「治癒魔法覚えます」なのに、殆ど治癒魔法に触れてません。
味噌汁編が終わったら書こうとは思ってます。
明日は本編の更新がお休みですが、16時に一つ30話を超えたので、ネーミングに関しての話(完全に脱線)を最新話として挙げておきます。
では、また次回。




