第29話 才女、新種と戦う《Ⅱ》
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私の渾身(?)の一撃は、災害級と思われる新種に防がれてしまった。
硬いとかそういう問題ではない気がする。
だってね? 周りが削れるくらいの威力で撃ったわけだし?
「やりすぎです!! こっちまで吹っ飛んじゃいますよ!?」
「でも、防がれちゃったし、足りなかったのかしら?」
「いや、相澤。やりすぎだって言ってるだろ……」
今のには流石に来斗も引いたみたい。
でも、傷一つどころか撤退する様子もないってことは、脅威と認識されていないってことよね?
まずは、あの硬さが身体的なものなのか、魔法的なものなのか見極めないと始まらない。
「って言っても、物理攻撃も魔法攻撃も防がれてるのよねぇ……」
「どうする? 僕が魔法剣で攻撃してみる?」
鎮がそう言ってはくれたけども、果たしてそれで攻撃が通るだろうか?
まぁでも、攻撃を防ぐ原理だけは分かるかも知れない。
ここは素直に申し入れを聞いておこう。
「お願いできる?」
「任せて!」
そう言って鎮が飛び出す。
先ほどとは違い、剣にも魔力が集中する。
私も精霊視を使う。まぁ、精霊視で魔力の流れが分かるかは分からないけども……
精霊視で鎮を見るとマントに呼応するように、剣に精霊が寄り付いているのが分かる。
なるほど、剣術を基に魔法を発動している鎮は、マントでその魔法の力を底上げしているわけね。
「行くぞ!」
空中に身を置いた鎮が空中で一回転して力を溜め、魔物の近くで一気に解放する。
私の魔法とは違い一点集中の高火力の攻撃に魔物が一瞬身動ぎしたように見えた。
ただし、効いていると言うほどではない。
「これでも駄目かぁ……」
鎮はそこそこ自信があったのか少し落ち込んでいる。
正直、あの魔物が異常なのであって、鎮の攻撃自体は凄かったように感じる。
「身じろぎはしましたよね?」
「ええ、効いたって程ではないけど、四回の攻撃の中で一番効果があったのは事実でしょうね。
それに、攻撃を防いでいる方法は何となく分かったわ」
どうやらマイアちゃんにも身じろぎしたように見えたらしい。
なら、多分だけど私の推測もあっているはず。
「恐らく魔物は二種類の障壁を展開しているわ」
「二種類?」
「物理障壁とその上に魔法障壁をね」
障壁という魔法は単一系魔法とも呼ばれる身体強化と同様に魔力のみで発動する魔法だ。
障壁には二種類あり、物理攻撃を軽減する物理障壁、魔法攻撃を軽減する魔法障壁と呼ばれている。
これは使用できる魔力と練度によって、軽減なのか完全防御なのかが変わってくる。
私は練度こそまだ低いけども、魔力量から見て完全防御が一応可能ではあるみたい。やったことないから分からないけどね。
ただ、当然弱点がある。
物理障壁は魔法攻撃に、魔法障壁は物理攻撃に弱い。
それに、障壁は自然現象に勝てない。
私が前に怪魚の起こした津波を土の精霊魔法で防いだのも、障壁では波の衝撃を防ぐことは出来ても重量には耐えられないからだ。
また、私の起こした雷も魔法ではない以上、障壁で防ぐことは出来ない。
威力軽減のされていない雷をまともに喰らって、物理障壁だけで防げるかと言えば正直なところ厳しいでしょうね。
「あくまで推察だけども、物理攻撃は魔法障壁を打ち破っても、物理障壁を打ち破るほどではなかった。あるいは、物理障壁を破ったとしても身体硬化がなされた肉体を傷つけるほどの威力を持てなかったと言ったところでしょうね。
魔法も同様。少し特殊な障壁みたいで鎮が近づいた瞬間に精霊が霧散するのが見えたわ」
「見えたって――っ?! せ、精霊視?」
工場組もそこでようやく私の目が変化していることに気がついたらしい。
最初でこそ感覚で行っていた精霊視も実は練習してしっかりと習得している。
特に私は目が変化するほどの力を得ることが出来た。
まぁ、変化って言っても霊力と同じく淡い青色の瞳に変化するだけなんだけどね。
「それは、ともかくまずはあの障壁を突破する方法を考えないとね」
「相澤が前回やったていう雷でいいんじゃないか?
直撃直後に俺と鎮で攻撃加えれば、身体硬化を使ってても貫けると思うが……」
「あれは駄目ね」
「何でだ?」
「最初にも話したけど、あれは魔法じゃないからある程度の方向調整は出来ても正確に狙えるわけじゃないわ。
ここは木がいっぱいあるし、何処に落ちるか分からない。
それに、木がなくても直撃させられるか分からない。前回は水に落とせば感電させられたから」
「なるほどな」
しばし考え込む。
あれだけの巨体に使える災害は何かないか――あぁ、あったわ。
「いいこと思いついた」
「何ですか?」
「蒸し焼きにしましょう」
「……は?」
あ、マイアちゃんが引いてる。何だコイツって目で見られてるわ。
いやでも、他に方法思いつかなかったし仕方ないわよね?
「取り敢えず、近くの木を倒して魔物の近くに転がして」
「分かった」「分かったよ」
私も木を切り倒していく。
さすが霊刀ね。一閃で一本切れるなんて。
「凄い。さすが、脳筋聖女」「いくら霊刀でも一閃で一本って無理よね?」「どんな怪力なんだ……」
え? 出来ないの?
何か、力入れなくても豆腐みたいに切れるけど?
私が切り倒した木は工場組と恵子ちゃんが協力して魔物の近くに転がしてくれた。
これで準備は出来た。
「それで、ここからどうするんですか?」
マイアちゃんも大分、打ち解けてくれたのか普通に話しかけてくれるようになってきた。
早いとこ誤解は解いておきたいものね。
この機会を逃したくない。
「こうするのよ」
黒い銃のシリンダーを使って魔力を高濃度圧縮する。
それを抜き出し、足に集中させる。
「地精霊。魔物を囲みなさい」
そう言うと同時に足を踏み鳴らす。
前回は調子に乗って中二病チックな言い方をしてしまったけども、言霊としては声に出して指示するだけでいいことがよく分かったのよね。
あれ、三人に見られてなくて良かったわ……
膨大な魔力によって魔物を囲むようにドームが出来上がる。
壁が完成する前に火の精霊魔法で生木を無理やり炎上させておいた。
「魔物が呼吸しているのかは知らないけども、流石に高温と酸欠のコンボは防げないんじゃないかしら?」
「中々にえげつない事するな……」
「才華さんって時々過激だよねぇ……」
「うわぁ……凄いね。サイちゃん」
は、発想が容赦ないってことかしら?
でも、これくらいしないと今の装備じゃ倒せないわよ?
放置してたら工場どころか街にも被害でそうだし、ここで討伐するのがベストなはず――ベストよね?
暫くそのまま放置すると魔物の呻き声のようなものが聞こえ始めた。
「やっぱり効いてる?」
「これじゃあ、中が分からないから何とも言えんな」
「魔力反応はまだ弱ってないね」
「じゃあ、次の段階に行きましょうか。
恵子ちゃん。木の上からドームの天井を矢で撃ち抜いて穴開けて頂戴」
「? 分かったよ」
恵子ちゃんは私が何をしようとしているのか分からなかったみたいだけど、来斗と鎮は気づいたみたい。
慌てて工場組を下がらせている。
恵子ちゃんは私の頭上にいるから、矢を放つと同時に土壁作れば守れるはず。
準備は整った。
「恵子ちゃん! 射って!」
「了解!」
魔法を纏わせた矢が飛び出す。その瞬間に土壁を生成して私と恵子ちゃん、後ろに控える皆を守る。
直後、ドームの上に矢が直撃したのか鈍い音がした後、一瞬にして周りが火の海に変わった。
――バックドラフト現象
火災現場などで起きる爆発現象のこと。
不完全燃焼で密室に溜まった一酸化炭素が、取り込まれた酸素と結びついて、二酸化炭素への化学反応が急激に進むことが原因で起きる。
暫くして火の勢いが止まったところで壁を戻す。
そこには灰になって横たわる魔物の死骸があった。
皆さん、こんにちは。初仁です。
魔物討伐編は今回で終わりです。相変わらず短いよ……ココらへんは慣れなんですかねぇ……
それはさて置き、最後に出てきたバックドラフト現象。迫力は多分抜群だと思われ――。
バックドラフトはUSJのアトラクションでありますので、興味ある方はハリーポッター見に行く次いでに見に行くと良いと思います。
バック・トゥ・ザ・フューチャーみたいに酔うものではなく、歩きながらバックドラフト現象がどういうものかを体験するアトラクションになってます。
火が吹き出るのを立って見るだけと言われればそれまでですが、迫力は満点。一見する価値はあるかと思います。
なお、このバックドラフト現象は大人気漫画(完結済み)「結界師」でも兄貴が帰ってきた回でやってます。
結界で壁を作って中で火をつけ、最後にもう一人が結界の一部を滅して穴を開けて酸素を取り込むという方法でね。
いよいよ、累計PV1万が目の前まで迫ってきました。
元々、言っていた今月中に達成したいというのはギリギリ無理そうな感じですが、引き続き頑張っていきますので、どうぞ、宜しくおねがいします。
次の更新予定は明後日木曜日の16時です。
では、また次回。




