表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
才女の異世界開拓記(なろう版)  作者: 初仁岬
外に出ます
10/59

第10話 才女、街に出た

一日延期してしまってすみませんでしたm(_ _)m

残りは後書きで

 馬車に乗ること数十分。ようやく街に着いた。


「うぅ……。おしり痛い」


 途中から私にしがみついて痛みを堪えていた恵子ちゃんがそう感想を漏らす。


「想像していたよりも遠かったからな」

「あと、日本みたいに道が舗装されてないからね」


 同意するように来斗と鎮が続いておしりの痛みを訴える。


――帰りはクッション必須ね


 折角の待ちに待った外出だと言うのに、その出だしは先行き不安なものになってしまった。

 でも、普段あれだけ気を回してくれる王宮が、クッションの一つも用意できないというのは何故なのだろうか?

 よくよく見てみると先生は平気そうな顔をしている。

 あれね。きっと異世界人のおしりは頑丈なのよ。

 まさか馬車に乗った程度でおしり痛めるなんて思ってもいなかったんじゃないかしら?


「おやおや、これでは遠征が思いやられますねぇ……」


 先生は私たちがおしりを摩ってるのがツボにはまってしまったらしく、必死に笑いを堪えていた。

 そこまで笑うことかしら?

 まぁ、確かに周りの注目は集めてしまっているけれども。


「何か先生だけズルい」


 笑われたのが気に食わないのか、恵子ちゃんは不満気だ。


「ケイコさんこういうのは慣れですよ慣れ。私だって流石に最初はおしりを痛めていましたよ」

「慣れね……。でも、下に敷くものくらいあってもいいんじゃない?」


 なんて、さっきから思っていたことだから、恵子ちゃんに変わって反論してみたけど「そんなものはありませんよ」って一蹴されてしまった。

 聞く限りではこの世界に座布団がないらしい。クッションはあるのに座布団がないとは……

 まぁ、日本でも今じゃ使ってる人は少ないかもしれないけど。それに、ここは異世界。畳すらないのだから座布団がないのも仕方ないのかもしれない。

 ちなみに、クッションだとバランスが取れなくて倒れてしまうそうだ。


「なので、道なり、馬車なりを直接改良しないことには解決しないんですよ」

「ふーん……。ちなみに、道具とかって王宮にあるのかしら?」

「そうですね。材料は頼めば用意してくれるでしょうし、道具は一通り置いてあるはずですよ。なんなら、今から見に行くという手もあります」


 異世界の大工道具――少し興味はある。

 ただ、日本の技術も来ている以上、そんなに変わらないんじゃないかとも思う。


「やめておく。今度、王宮でゆっくり試してみるわ」

「確かに、時間かかりそうですしね。分かりました。では、戻ったら明日には道具一式を揃えておくよう手配しておきますね」

「ありがとう」


 今日は街の様子を見に来たのであって、趣味ばっかりに没頭しててはいつもと変わらないものね。

 幾ら知識欲があるとは言え、私だってそのくらいの分別はある。


「では早速、街を見て回りましょうか。午前中は私が色々とご案内しますね」


 そう言って、先生が先頭を歩き始めた。

 おしりの痛い私達には少し辛い速度で。相変わらずのSっ気……

 難易度が高い高等魔法である回復系統の魔法なら、痛みを和らげられるはずなのだけど、生憎と高等魔法が使えるほど魔法に慣れていない。

 おしりの痛くならない馬車を作るのと、魔法を覚えるのどっちが先かしらね。


 行く場所は観光地という程ではないにしろ、中々に興味深いものだった。

 なんか、日本にいた頃にテレビで見ていた西洋はまさにこんな感じ。

 海外旅行に行った気分になる。まぁ、異世界旅行なんだけどね。


「そう言えば、ここは地面が石畳になってるのに、なんで、王宮までの道は石畳になってないのかな?」


 最初にそのことに気がついたのは恵子ちゃんだ。

 言われてみると、確かに街の中は石畳になっている。思い起こせば、街に到着した直後、何となく振動が減った気がしたのは、これが原因だったのかもしれない。


「そうですね……。石畳が整備されたのは随分と昔なので噂程度にしか知りませんがーー」


 この国は魔王だ、魔法だ、召喚だ以前に、歴史を後世に残すことを学んだ方が良いんじゃないかしら?

 召喚に関しても信憑性のない文献くらいしかないわ、普段から使う道路のことなのに噂しか残ってないわ、何でもかんでも曖昧なのはよろしくない。

 そのせいで、本を読む際も色々と苦労しているのだ。


「街の整備を担当した異世界人の方針で、王宮までの自然を残すようにと言って整備しなかったそうです」

「それ、単に面倒だったんじゃないか?」


 来斗の疑問は私も感じた。

 王宮は丘の上にある関係で街から離れている。その道中は森の様に木が生い茂り、ここに来るまで野生の動物らしき影を何度も見てる。

 とはいえ、石畳を引いた程度では自然は壊れない。

 勿論、石畳の整備に合わせてあれやこれやと道脇に色々と立てたりすれば話は別だが……


「もしかして、王様とかが外に出ないのって道が悪いから?」

「いやいや、そんなことは……あるかもしれませんねぇ」

「あんのかよ」


 王様あの体型だからね。

 私たちであれだけ痛めているなら、王様はもっと負担があるかもしれない。

 段々と来斗もこの世界のいい加減さに慣れてきたようで、ジト目はしているものの「もう何も言わん」と脱力している。


「というのは冗談で、業務が多すぎて部屋から出れないそうですよ。昔は体を動かすのが好きで、外へ狩りに行ったりしていたそうですが、今はこないだご覧いただいた通りですよ」


 だが、今回ばかりは先生の悪ノリだったようだ。

 あれで支持率の高い王様なだけあって、当初は外に出て民と積極的にコミュニケーションを取る人だったらしい。

 ここ数年は各領主と魔族の対応に追われていたり、隣国との交流にも力を入れている関係で色々と書類仕事が増えたりしているんだとか。

 そのストレスで過食になり今はぽよんぽよんしているらしい。

 恐らく、隣国と交流を深めているのも、魔王が復活した際に危険が及べば民を逃がすためのものなのだろう。

 想像以上に民思いな王様だ。その一点だけ見れば好感が持てる。


† † †


 取り敢えず、ざっと半分くらいは見て回ったと思う。

 時刻は昼くらい。正直、想像以上に大きな街だった。


「皆さん、お疲れですね」


 何食わぬ顔でニコニコしている先生がそう言うが、正直あれこれ気にしている余裕はない。

 来斗はまだまだ大丈夫そうだし、鎮は着いた時と変わらない。私もまだ大丈夫そうだけど、休みたいかと言えば休みたい。恵子ちゃんに至ってはKO状態だ(一瞬、K(ケイ)KO()とか考えちゃったのは内緒だ)。

 お昼も近いし何処かで食べながら休憩するのがいいだろう。

 まぁ、最初からここが目的地であるかの様に食事処の前で立ち止まって言われれば、『あぁ、ここで昼食を取るのか』と普通に分かる。

 やたらと並んでいるから、げんなりしてしまったけどね。


「では、中に入りましょうか」


 中に促されて入ってみると、日本でよく見る居酒屋の様な内装をしていた。

 ところで、外に並んでる人を無視して入っちゃって良いのかしら?


「いらっしゃいませ」


 来店に気づき入り口に来てくれた店員はよく知る人物だった。


「アビス?」

「やっと来たか。昼食の準備はとっくに出来てるぞ」


 アビスはそうぶっきらぼうに言うとキッチンへ向かう。戻ってきたアビスの手には人数分の水が用意されていた。

 本当にアルバイトみたいなことをしてるみたい。


「何でここにいるの?」

「それはアイツにでも聞いてくれ」


 そう言われて指さされた方を見るとーー


「トト顧問?」


 意外なことにトト顧問がニコニコと手招きしている。


「こんにちは、才華」

「こんにちは、トト顧問。さっき、アビスにも聞きましたけど、何でここに?」

「いやぁ、聞けば今日は街探索に行くって言うでしょ? だから、たまには日本料理(・・・・)でも食べさせてあげようかと思って」


 実はこの食事処はトト顧問の実家らしく。

 祖母が祖父に駄目出しを喰らいながら再現した日本料理を受け継いだ母親が振舞っているらしい。


「アビスから才華が日本料理の再現に挑戦してるって聞いたから参考になるかと思ってね」


 ただ、昼時は非常に混むため基本、予約を受けておらず並ばなければいけないらしい。

 今回は無理やり席を取っておく代わりにアビスが午前中、手伝いに入っていたのだそうだ。


「ん? でも、予約とアビスが働くのってあんまり関係ないんじゃないかしら?」

「まあね。四人は知る人からすれば王族と同等のVIP待遇だから見返りなんて必要ないわ」

「なら何故?」


 トト顧問が待ってましたとばかりのドヤ顔を表に出す。


「だって、外で給仕してるアビスをみたいじゃない」


 可愛がってるのよね?

 言われてみれば、ちょっと遠目に観察するのも良いかなぁって思わなくもないけど、あんまりからかいすぎると後で何されるか怖いから出来ない。


「よくアビスが従いましたね」

「ふっふっふっ。何とびっくり顧問権限を使いました!」


 それこそドヤ顔で言うことじゃない。

 完全に職権乱用あるいはパワハラだ。今の世の中は「パワハラだ!」「セクハラだ!」「痴漢だ!」って言ったもん勝ちなんだから気をつけて欲しいわね。

 まぁ、ここ異世界だけれども。


「そうだ。この馬鹿が悪いだけだからサイカたちは気にしなくていい」


 注文を受けに来たアビスがそう言った。


「二人って上司と部下って感じの関係じゃないわね」

「それは、ほら。幼馴染みだから」

「? なら小さい頃とかアビスがお手伝いしたりしてなかったの?」


 給仕姿が見たいと言ってアビスを働かせるのはいいが、幼馴染みならお手伝いとかしてたんじゃないかと思ったのだ。


「してたぞ」

「してたっけ?」

「ああ、お前が家の手伝い放り出して外で遊びこけてる間にな」


 なるほど、昔からトト顧問はそういう役回りで、尻拭いはアビスがしていたようだ。

 そのまま私たち五人とトト顧問、そして、仕事を終えたアビスは昼食を食べることにする。

 後で、トト顧問のお母さんと話してみようと心に決めて。

皆さん、こんにちは。初仁です。

まずは、昨日の投稿が遅れて今日になってしまったこと、お詫び申し上げます。

というのも、昨日のうちに八割方は書いていたのですが、夜にゲーム実況の収録があったのです。

コラボ関連なので相手方と前々から日程を決めてあって、日程を変更するわけにもいかず、こっちを延期することにしました。

まぁ、もっと余裕持って書けよって話なんですが(−_−;)

来週はもうちょっと余裕を持ちたいですね。多分、無理ですけど。

そんなこんなで、今回はあらすじの所に延期の旨を予め書いておきましたけども、Twitterやブックマークの通知の方が圧倒的に確実なんで、フォローや登録お願いしますね。

では、また次回。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

☆連載作品紹介☆ ※新規タブで開きます

「才女の異世界開拓記(カクヨム版)」
この作品の加筆修正版を投稿しています。
なろう版が読みにくいと感じている方は、カクヨム版をご検討下さい。

「近代魔術のレッツェルシーカー」
ツギクルAI作品分析にてSF+ファンタジー33%を獲得。
中々の自信作ですので、お時間ある方は是非、一読頂ければ幸いです。

「二度目の人生は平穏に過ごしたい!」
異世界転生モノ。
好き勝手やれるので、気が向いた時にチマチマ書いてます。


↓ツギクルにも登録してます↓

ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ