とまどいと暗闇の中で
俺は数々のピンチをなんとか自分の力で乗り越えて来たと思っている。
体育の時間の「2人1組作りなさーい!」や総合の時間の「友達の好きな所を書いてくださーい。」などの難易度が高いピンチを幾度となく乗り越えてきた。
それは俺のゆういつ自慢できることで、誇りみたいなものであったのだが...
「さすがにこれは無理だ...」
今回、この状況に関しては俺は何もすることができない。
自分でも驚いているのだ。
いつもピンチに会う時は何かアイディアが浮かんできて危機を回避したり間逃れたりするのだが、今回に限っては何も思いつかないのである。
俺の脳もそろそろ限界なのだろうか?
「ど、どうしよう」
だ、だめだ焦っては!とにかく冷静に状況を整理しよう。
まずは、自分の体がどうなっているかだ。
暗くてよく見えないが手と足は両方ともイスにくっついているようで動かそうとしても動くことはできない。
顔の方は特に何もされていなく口もふさがれていないので普段通りに喋ることができる。
俺の周りはとても暗く何も見えないまさにお先真っ暗というやつである。
ちなみに口がふさがれていないのならと思い「誰かいませんかー!!」と試しに10回ぐらい叫んでみたが誰も答えてはくれず暗闇の中に吸い込まれていくだけであった。
ここまでのことを整理するともうこの結論を出すしかなくなってしまう。
とても信じたくはない、けれどもうこの結論しかありえないであろう。
「俺はどうやら拉致監禁されてるらしい」
...最悪だ。
いや、確かに何か楽しいこと起こらないかな〜〜
と自分らしくもないことを考えていたけれど、こんなデンジャラスなことを望んでたわけでわない。
全くどうしたものか。
そもそも学校はどうなった?クラスのみんなもどこかにいるのか?警察はちゃんと動いているのだろうか?
「…今は待つしかないか。」
考えてもしょうがない。今は警察を待つとするか。今の所犯人らしき姿も見ていないしもう少し待っていれば助けがくるかもしれないからな。
「ウィーーーーーン」
ん?なんだこの音?まるでパソコンの電源を立ち上げた時みたいな音がするんだか?
「ウィーーーーーン」な、なんだかどんどん音が大きくなってきているんだか?
「ヴイーーーーン」こ、怖い!めっさ怖い!こんな暗闇の中で意味も分からない音を聞いているとめっちゃ怖いんだか!何かおこるのか?もしかして爆発か?
爆発するのか?
「バン!」うぉ!ま、眩しい
あたりに光がみち今まで暗闇にいた分余計に目がくらむ。閉じかけていた目をゆっくりと開けて周りの様子を見てみる。
壁や床の色は爽やかなライトブルー、光が反射し綺麗に輝くクリスタルにどこまでも天高く伸びる柱がライトブルーと合わさりなんとも幻想的な風景になっている。
そして目の前にの女の子。
綺麗な黒髪に整った顔。歳は16か17才であろうか?黒をベースにしたドレス服に身を包みこんでおり誰の目から見てもかわいいと言われることは間違いないだろう少女がこちらを見つめていた。
そして一言微笑みながらこういういうのである。
「こんにちは冒険者さん今日も何も変わらないとてもいい日ですね。」
そんな、何もかも見透かしているような笑みをうかべながら洒落たティーカップを口元に持っていき傾けるのである。