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異世界で永遠の忠義を  作者: 神無月 雪華
プロローグ
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プロローグ

守攻示(かみこうじ) アリスは自身の置かれている現状を理解しようと周囲を見回そうとした。

しかし、視界に映るのは暗い先の見えない闇。

声をあげようにも声は出せず、体は闇に固められたかのように動かせない。

アリスは自分がどうなっているのかを理解できない。

アリスが理解できているのは自分が学校に遅刻をし自分のクラスの扉を開けて教室に入った瞬間視界が光で埋め尽くされ、目を開いたらここに居たということだけ。


「凄い凄い、普通慌てるかするものだけど、君はこういう時本能的に冷静になるタイプだね。」


パチパチと拍手の様な音が響くと共にアリスの耳に声が届く。

その直後にパチン、と音がすると暗闇に光が灯る。


「いやぁ、失敗したなぁ。勇者にするなら君の方が良かったか。」


暗闇が消えアリスは周りを再度見渡す。

そこは先程とは対照的な真っ白な空間が広がっていた。

驚くアリスの目の前に突如として純白の女性が現れる。


「初めまして、いきなりだが君は異世界に転移される一歩手前だ。君のクラスメートは既に勇者として異世界にいるよ。送ったのはついさっきだがね。」


目の前に居る女性を一言で表すならそれは〘人外〙だろう。

何故なら、人はこの女性の様に『全てを知っていて全てを諦めている』目をしながら『誰かに期待する』様な目をするなんて出来ない。

人間はそんな目は決して出来やしない事をアリスは知っている。

希望と絶望を兼ね備えた瞳などそれが出来るのは人知を超えた何かしか居ないだろうことを。

そんなアリスの考えを読んだかのように女性は笑いながら告げる。


「人を見定める事に関しては一級品だね。君の前ではいかなる猫かぶりも暴かれてしまいそうだ。そう、私は君が思うように〘人外〙だよ。いわゆる神様という部類に入る、人外だ。」


自称神様が指を鳴らすとアリスに笑いかけてくる。


「これで君も喋ることが出来るようになった。では、現状の説明をしようか。」


アリスは自称神様に対して思っていた言葉を口にする。


「神様にしては、神々しさ、無くないですか?」

「それはね、そういう演出をしてないし、私も女神としての力を見せてないからだよ。君の前にいた君のクラスメート+担任には神様らしい演出をしたんだよ?それで面倒くさくなったから君には普通に対応してるだけ。」


それそれで神としてどうなんだ、と思ったが口にはしなかったアリスを誰が責めることができるだろうか。

目の前にいる者が本当に神ならあまりにも人間臭く、神を語る人間ならその人間は狂人だろう。

けれど、目の前の女性は人外か、それに準ずるものだ。


「説明を聞くかい?それとも狂人の戯言と笑うかい?」


アリスは女性が本当に神だと仮定し、説明を聞かないといけないと思った。

この神はクラスメート+担任は異世界に居ると言った。

それに、異世界に転移する一歩手前とも。

なら、自分だけ帰してくれるはずもない。

理由と言うか、テンプレ的に無理だろうと思った。

多分、召喚する方法≠帰せる方法なのだと直感したが故に。

もし狂人ならそれは戯言として笑えばいい。


「なら、説明してあげよう。」


そう言って神様が語った話を要約するとこうだ。


アリスにとって異世界である世界〘フィリア〙が近いうち、最低で半年後に人族その他全ての種族が滅ぶ可能性が非常に高い状態にある。

その原因は邪神が蘇ろうとしているからであり、そのためある国が勇者を召喚しようとした。

その召喚にアリスを含むクラスメート+担任が教室より転移させられた。

地球とその世界ではそもそもの存在構成が違うので目の前の神様が召喚される寸前で勇者達のステータスを弄り、スキルを与え、武器を(ランダムに)決め持たせ彼らの使命を軽く教え召喚しようとしている国に転移させた。

遅刻して来たアリスは召喚のズレにより、神様のいる空間の少しずれた場所に転移させられ神様が勇者達に話をしている間ずっと放置されていた。

勇者達を転移させた後アリスに気づき今に至る、との事。


「つまり、うっかり?」

「そうなるね。その代わりと言ってはなんだが、あれだ。私の叶えられる事なら一つ、君の願いを叶えてあげよう。」


そういう神様は、ふと思い出した様に手を叩きアリスに笑いかける。


「そう言えば名乗ってなかったね。私は、信仰してくる者達からはカデンツァと呼ばれている。意味終わりを奏でる者と言うが、まぁ、これは君たちの世界での意味だから、コチラでは意味の無い名前だけどね。」


今更感のある自己紹介だが、気にしない事にしてアリスは叶えて欲しい願いを口にした。


「僕の願いは、一つです。(あるじ)を、僕が人生全てを掛けてでも仕えたいと思う(あるじ)を。」

「・・・主、ね。それが願いとか君本当に地球育ちかね。まぁいい、その願いは多分もう時期叶うよ。丁度、君の反対の願い、決して裏切らずそばに居る従僕を求める者が一人いる。その者が召喚魔法を使って従僕足り得るものを呼ぼうとしているからそれをこちらに繋げ君をそちらに送る。」


それ迄は君の専用武器の説明でもしよう。

ステータスもスキルもあちらで君の主(仮)がしてくれる、と言いカデンツァはアリスに二丁の拳銃を渡す。

片や黒に近い朱色の銃、もう1方は薄くメタリック調にコーティングされた真紅の銃。


「一対式二丁特殊魔装拳銃、黒朱色の方が六十口径拳銃〘ノスフェラトゥ〙。メタリックコーティングの真紅の方が五十口径拳銃〘クラウソラス〙だ。弾倉の装弾数は十二発、三十発の二通り。使用弾頭は通常弾、炸裂弾その他幾つか。単発、三点バースト、フルオートの使い分け可能。オートマチックタイプだがジャムる事は無い。重量は〘ノスフェラトゥ〙が四十七キロ。〘クラウソラス〙は三十九キロ。さて、なにか質問は?」


武器の説明は大事だ。

しかし、しかしだ。

アリスはこれだけは言わねばと思った。


「これから行く世界はファンタジータイプの魔法と剣の世界では?」

「大丈夫、大丈夫。勇者達の1人もマスケット銃タイプの属性魔法を打ち出す魔道具持ってるから変わらない変わらない。それに、君達の専用武器は私にも選べない完全ランダム仕様だからね。時々科学的な物も交じるが気にしないでくれたまえ。」


ファンタジーなんてクソくらえ装備を受け取ったアリスは溜息をつきつつ二丁拳銃の感覚を確かめる。

使える物は何でも使えがアリスの家の家訓であるから仕方ない。

専用武器は本人の意思で異空間との出し入れが可能なので腰などにぶら下げなくて良いので良かったとはアリス談。

そもそも、四十七キロと三十九キロをそれぞれ片手に構えられるのがおかしい事に本人は気づいていない。


「気に入ってもらえて何よりだ。返品は無理だからね。」


瞬間、アリスの足元に魔法陣が出現しアリスは光に包まれていく。


「おっと、お呼び出しだよ。」

「色々ありがとうございました。カデンツァ様。」

「では、良き異世界ライフを。それと、私を崇めている教会があったら私の像の前で祈れば私と話が出来るから偶に報告に来てくれたまえ。ついでにお供え物も頼むよ。」


最後まで態度を崩さずカデンツァは光に包まれ消えたアリスを見送る。


「君が、イレギュラーとして、世界を救ってくれる事を祈っているよ。」


その声は誰にも届かず白い世界に吸い込まれ消えていった。













「我は唯望む」


そこは月明かり以外に明かりのない暗い森の中。

一冊の本を片手に一人の少女は呪文を紡ぐ。


「我は我が命尽きるまで我に仕え我を裏切らぬ者を」


少女の目の前の地面に円が浮かび上がる。


「代わりに、代わりに我、何時の願いを叶えよう」


その円は法陣へと変わりゆく。


「我を主と認め、我に仕えると言うなら応えよ」


それは光を放つ魔法陣となり少女を真紅の髪を照らし出す。


「契約をここに」


少女の手に持つ本が独りでに浮き上がり頁が捲られていく。


「決して薄れる事の無い契約を」


そしてその本は一つの頁を開き止まる。

その頁に書かれた文字が紅く輝き出す。


「来たれ・・・我を守り、我に勝利を与え、我に救いを、我の孤独を埋める者よ!」


魔法陣の放つ光が辺りを染め上げ、魔法陣の上に一人の人影が現れる。

その人影は少女の前で跪く。


「召喚に応じ、参上した。初めまして、我が主(マイマスター)。」

「貴方、名前は?」

「アリス、アリスと申します。貴方様に、永遠の忠義を誓いましょう。」


月明かりが照らす中、人知れず交わされた忠義を起点に世界の歯車は大きく回り出す。

神すらも予期せぬ、誰も知り得ない方向へと。


「宜しくね、私の従僕。」

まだ、作中内で描写されてはいませんが主人公であるアリスは男の娘です。

ご了承ください。

ちまちま投稿していきます。よろしくおねがい致します。

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