プロローグ
少女は光のある方へ真っ直ぐと、ただ真っ直ぐと進んでいた。満たされない心の渇きを潤すために。
光に近づけば、もう二度と闇に戻れないコトを少女は知っていた。
そして光を浴びすぎると消えてしまうコトも。
でも何も得ることのできない闇に居るよりはずっとマシだ。
だから光を浴びて消えようと。
そうすればこの心の渇きからも解放されると。
少女を闇を出たのであった。
午後の授業、俺はぼんやりと窓の外を眺めていた。板書は半分くらいしかとっていない。別に面倒くさいというわけではない。なんとなく視線を感じていて集中できなかったのだ。そして視線を感じたほうを向いていた。
「ユウリ、ユウリってば」
隣の席の千紗に声をかけられてハッとする。
どうやら先生に当てられていたみたいだ。慌てて答えをひねり出す。どうやら正解みたいだ。ホッとしてそしてまた窓の外を眺め直す。
チャイムが鳴り、休み時間にさっき声をかけてくれた隣の席の千紗が
「ユウリが授業中ぼうっとしてるのって珍しいね」
と言った。
「そうかな? 」
「うんいつもは前しっかり向いてるじゃん」
別に真面目に受けているわけではないが、とりあえず授業中は正面を向くことにしている。
とはいえぼうっとしてるのには変わりないが……
「そうかもな」
曖昧な言葉を返す。
もう一度窓の外を見ると
「さっきから外ばかりみてるけど何かあるの? 」
と千紗が聞いてきた。
「別にたいしたコトじゃないよ」
[窓の外から視線を感じた]
そんなコト言ってどうなる。
だから適当に流しておいた。
「へぇ~別にいいけど」
千紗が俺との会話を切り上げて、他の女子と話し始めた。
「やっぱり変な感じがする」