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第32話:大学の同期会。「たかが配信者だろ?w」と笑う大手企業のエリートたち(※俺、お前の会社の筆頭株主だけど?)

「おーい! 来たぞ、ネットの神様『ゼウス』様のお通りだー!」


都内の高級居酒屋。 俺が個室に入った瞬間、下品な野次と拍手が巻き起こった。 大学時代の同期・本田ほんだが、ニヤニヤしながら俺を手招きしている。


「いやー、久しぶりだな佐藤! いや、今は『ゼウス』って呼んだ方がいいか? 有名人様がこんな庶民の集まりに来てくれて光栄だわーw」


「……どうも」


俺は指定された席――出入り口に一番近い下座に座った。 周囲の視線は、「憧れ」ではなく明らかに「嘲笑」を含んでいる。


「聞いたぜ? 前の会社でパワハラ社長相手に配信して、正体バラしたんだってな。お前、昔から陰キャのくせに承認欲求だけは強かったもんなぁ」


本田がビールを片手に絡んでくる。 彼は今、有名商社『帝都商事』のエリート社員だ。彼らにとって、YouTuberや配信者は「まともな職に就けなかった奴がやる見世物小屋」という認識なのだろう。


「で、年収いくらなの? 数億とか? すごいねえ、子供から小銭巻き上げて稼ぐ金は美味いか?」


「……正当な対価を貰ってるだけだ」


俺が返すと、同期たちはドッと笑った。


「出たよ! クリエイター気取り!」 「俺らなんてさ、国のインフラ支えて、海外とデカい商談まとめてんだわ。お前が部屋でゲーム実況してる間に、俺らは日本経済回してんの。……格が違うんだよ、格が」


本田が自分の社員証を誇らしげに見せつける。 確かに『帝都商事』は名の通った企業だ。社会的信用という意味では、配信者など足元にも及ばないと思っているのだろう。


「まあ、いつBANされるか分からない『不安定な虚業』、頑張れよw 金なくなったら言えよ? ウチの会社の清掃員くらいなら紹介してやるからさ!」


「ははは! 本田、それキツイって!」


盛り上がる同期たち。 俺は静かにグラスの水を飲んだ。 ……そろそろか。


その時。 本田のスマホがけたたましく鳴り響いた。


「ん? げっ、部長からだ。……ちっ、土曜の夜になんだよ」


本田は舌打ちしながら通話ボタンを押した。


「あ、お疲れ様です! 本田です! ……え? 緊急の連絡? はい、今同期会で佐藤……あ、いや、『ゼウス』も一緒にいますが……」


本田の表情が、余裕の笑みから一変して強張っていく。


「……は? 株主? 昨日付けで、ウチの会社の『筆頭株主』が変わった……? え、その新しい大株主が……」


本田がおそるおそる視線を上げ、俺を見た。 その目は、理解不能な恐怖で見開かれている。


「……部長、冗談ですよね? ……え? 『佐藤翔ゼウス』が、市場の株を大量取得して……経営陣に要求を突きつけている……?」


「「「はぁぁぁ!?」」」


周囲の同期たちが絶叫し、ビールを吹き出した。


「嘘だろ!? 帝都商事だぞ!?」 「何十億……いや何百億持ってんだよ!?」 「個人で筆頭株主になれるわけねーだろ!」


場が騒然とする中、俺は懐から一枚の名刺を取り出し、テーブルに滑らせた。 そこには『投資家・佐藤翔』という肩書きと共に、帝都商事の役員と俺が握手をしている写真が印刷されたニュースリリースのコピーが添えられていた。


「言ったろ、『正当な対価』だって」


俺は本田に向かって、ニッコリと微笑んだ。


「俺が稼いだその『子供だましの金』で、お前らの会社の株を買い集めさせてもらったよ。……これからは、俺が一番の『物言う株主』だ」


「あ……あぁ……」


本田が腰を抜かし、その場にへたり込んだ。 自分たちが誇っていた「大企業の看板」。 その看板ごと、馬鹿にしていた配信者に握られたのだ。


「部長が言ってたぞ。『ゼウスのご機嫌を損ねて、配信でウチの不祥事や悪口を拡散されたら株価が大暴落する。何としても丁重にもてなせ』ってな」


「ひっ……!?」


俺の影響力は、単なる保有株数以上の脅威だ。 今の経営陣にとって、俺は絶対に敵に回してはいけない爆弾なのだ。


「で、本田。お前さっき、『清掃員なら紹介してやる』って言ってたよな?」


「あ、いや、あれは言葉のアヤで……!」


「いい提案だ。コスト削減のために、高給取りで態度だけの無能な社員をリストラして、清掃員に再雇用するプラン……次の株主総会で提案してみるよ」


「ま、待ってください佐藤様! 俺たち同期じゃないですか!」


本田がテーブルに頭を擦り付けて懇願する。 さっきまでの威勢はどこへやら、今やクビを恐れるただの社畜だ。


「同期? ……俺の記憶では、お前はただの『アンチ』だが?」


俺は冷徹に見下ろした。


「せいぜい、月曜からの出社を楽しみにしとけよ。……たっぷり『可愛がって』やるからな」


俺は蒼白な顔で震えるエリートたちを残し、個室を出た。 背後から「終わったぁぁ!」「土下座しろ本田ぁ!」という仲間の罵り合いが聞こえてくる。


最高だ。 権力を傘に着る奴には、より強大な「カネと暴力(影響力)」で踏み潰すのが一番効く。


さて、残るはあと一人。 過去、俺に直接的な暴力を振るい、心に消えない傷を負わせた「いじめの主犯格」。 あいつへの制裁で、すべてが終わる。

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