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8/14

〈8〉ことが大きくなって来てしまいました...(あと志乃さん美しいです...)

===


ガサッガサッ


渡された機器から伸びていたイヤホンを付けました。

これは恐らく…志乃さんの歩く音でしょうね。


ガチッ

ピンポーン


「凛華お嬢様、志乃です」

「はいは~い」


この短時間でもカギをかけていたのですね。

見直しましたよ。


ガチャッ


「あ~志乃~!

あれ?おじさん…」


バッ


「えっ?ちょ、志乃??」


えーとこれは…。

…抱きついたのですかね。


「はっ

大変失礼しました」

「うん、別にいいけど...

それでおじさんは?」

「もう大丈夫ですよお嬢様

あいつの身柄は拘束していますから」

「え?」

「だからもう演技もしなくてよいのです

もうお嬢様は解放されたのです!」

「解放…」

「そうです解放です!」

「じゃあまた、囚われたってことね…」

「えっと…」

「一回家入ろ」

「は、はい…」


仮説通りでしたかね…。

リンさんの話すトーンが落ちたのはこの音質の悪い機器越しでも分かります。


ガサッ

ゴソッ


座ったのですかね。

そういえば、なんだか雰囲気が出るとかで買ったアウトドア用の折り畳み式の椅子をリンさんは気に入っていましたね。


「それで凛華お嬢様…」

「ねえ志乃…」

「はい…」

「この話はおじさんも居るところでしたいんだけど」

「えっ…ですがあの下衆は凛華お嬢様を…」

「?私を?」

「その…」

「なに?いいから言って」

「せ…せ、性欲のはけ口に……」

「……えっ?」

「…え?」

「それおじさんが言ったの?」

「は、はい…」

「…...」

「大変辛かった...」

「...ぷっ、ぷはははははwwwwww」

「お、お嬢様?」

「ははwwww...はー…なにそれウケるww」

「ウケ…?」


いやはや。

あながち間違ってはいないのですがね。

間接的にネタにはさせていただきましたよ。


「おじさんは一回もそういうことして来なかったから!」

「……へ」

「なんなら私から誘惑して試したりしてみたけど無理だったし~

私ってそんなに魅力ないのかな~」

「いやいやそんなことは…

ってその髪!どうしたんですか!!?

あの木村とか言うやつにさせられたんですか!?」

「いやー?だから自分でやったの

ってか今更?ふふっ(笑)

それとあんまりおじさんを悪く言わないでくれる?」


リンさん…!!

感動で上からも下からも涙が出てきました。

ここ数日、リンさんが冗談で変な提案をしてきたり

わざとらしく薄着を着ていたりしたのはやっぱり試されていたのですか...。

ですが、ということは覚悟もあったということ...。

あんなに可愛い子犬がお尻をふりふりしていたのにも関わらず見て見ぬふりをしてしまったなんて…。


「喝!!」

「おい!」

「すみませんすみません…」


今の私の状況を忘れていました…。

それにしても今私にお鉄砲を向けているこの方々も志乃さんも…皆さん女性なのですね…。


===


バンッ


「こ、来い!」

「あ、は、はい…」


移動型刑務所みたいな車から逃げ出すことに成功しました。

ですが、まだ信用を得られたわけではないようです。

かけられたコートの中では背中に変わらずお鉄砲が向けられていますからね。


「あっ!おじさん!」

「あはは…」


リンさんがお出迎えしてくれました。

健気な犬さんみたいで可愛いですね。


「もー!志乃なにやってるの!

そーゆーのいいってさっき言ったでしょ!」

「ですが…」

「いいんですよリンさん…」

「おじさんまで~ム~~」


うう。

可愛いです。

いっそのこと誘拐してしまいましょうか。


「いいから入って

志乃はそれしまって」

「は、はい…」


す、すげー!!

リンさん格好いいです!

今のお嬢様モードの凛華さんは頼りになりますね!


「ほらほら座りなさい!」


ズボオォ


ああ。

挿入したわけではありませんよ(笑)。

リンさんが買ってくれました、人をダメにするクッションとかいうやつです。

部屋をリンさんに取られてからはここが私の定位置になってしまいました。

状況が状況ですので浅めに背中を預けます。


「志乃…聞いて欲しいんだけど…

おじさんも…」

「もちろんです」

「はい……」

「その前に志乃」

「はい」

「脱ぎなさい」

「…へ?」

「ほら、誰かに聞かれてるかもしれないでしょ

いいからいいから」

「え…っと…分かりました…//」


マジですか!?

志乃さんのお裸…。

いいですねえ。

最近はリンさんをお惣菜にするのも飽きてきていましたからね。


「ちょっとおじさんは目隠しして!」

「あ、は、はい……」


仕方ないです。

惜しかったですね。


「ほらこれで隠して!」

「ちょっとお嬢様…!!」

「いいから志乃は早く脱ぐ!」

「は、はい」


リンさんが私の後ろに回ってなんらかの布を顔ごと被せてきます。


スンスン

クンカクンカ


非常に甘い香りがします。

それにほんのり温かいような気がするのは気のせいでしょうか。


「お、お嬢様…//」

「はいじゃあこれ着て」


ファサファサ


衣擦れの音がします。

どうしてこんなにも興奮できるのでしょうか。

30手前になってしまっても妄想の腕だけはいまだに一丁前みたいです。


「おじさんもおっけ~!」

「はい…」


ち、ちっくしょーー!!

先ほどまで私の顔を覆っていたものは貴方の肌着だったのですか…!

それなればもっとハムハムしておけばよかったです。

非常に悔やまれますね。

それにしても下着姿でも警戒なしですか…。

信用されているのやら…意識されていないのやら…。


「それじゃあ...聞いて欲しい…」

「は、はい」


ゴクリ


リンさんが服を着直して真剣モードになりました。


「私ね…自殺しようとしたんだ 電車で」

「…!!」

「はははっ 別に志乃は悪くないよ

悪いのは全部……」

「……」


志乃さんは視線を下げています。

責任を感じているのでしょうか。


「そしたらね、助けてくれたんだ!

このおじさんが!!」


デデーン


「あっ…どうもどうも…(照れ)」

「えっ……と

それで同居……」

「そう!ここで志乃!」

「はい!」

「なんで私が自殺まで追いつめられてたか分かる?」

「えっとそれは…」

「はー…志乃もそっち側なの…?」

「い、いや、違うんですお嬢様」

「んー?」

「上層部……凛華お嬢様の御父上…」

「そう、みーんな見て見ぬふりか洗脳されちゃってるでしょ」

「……」


立場的に肯定は出来ない感じなのですかね。


「それにあいつ!あの…なんだっけ?」

「黒江様…ですか…」

「そうそいつ!

おじさん聞いてよ私ね、許嫁がいんだよ?」

「許嫁…ですか…」


私には縁のないような世界のお話ですね。

(縁談だけに...なんて...)


「そう!しかもそいつがちょーーキモいの!」

「そうなのですね…」

「そう!私の周りには男を置くなーってさ」


ですから車に居られたのも女性ばかりだったのですね。


「まあそれだけならいいんだけどさ

他の男も皆私のことは色目で見てくるし」


そ、それはひ、ひひひどいですよね…(汗)。


「それにあいつ立場をいいことにパパのいないところでセクハラしてくんの!

もう生理的に無理!!」

「それは辛かったですね…」


辛かったですね…黒江さん。

長くリンさんに触れられていないということでしょう。

それは耐えられませんよね。

ですが安心してください。

代わりに私が愛でてあげますから。


「じゃ...じゃあ凛華お嬢様は上層部と黒江様が原因で…」

「そうね

最近のニュースもだけどパパたちが隠したがっているのも納得だわ

私の扱いに後ろめたいことがあるって自覚してるってことでしょ?」

「それは確かにそうですが…」

「家ではおしとやかに~って、学校でも変に気を使われてさ~

スマホもない、放課後に遊びにも行けない、おまけに10歳以上年の離れたキモいやつが婚約者って…w」

「それは……」

「私だって普通の女子高生なんだから”普通”にしたいのに!」

「耳が痛いです…」

「いいんだよ

志乃は一番私の味方だったからね」

「お嬢様ぁ…」

「ふふふっ」


なかなか難しい問題ですね。

今私がリンさんを攫い、匿うという形で彼女に"自由"と"普通"を与えてあげられていますが、

根本の解決には全くなっていません。

そのことにはリンさん自身も気がついているはずです。


「それで凛華お嬢様、これからはどうしましょう…」

「そうよね…」

「このおじさ…木村さんが悪い人ではないことは分かりました

ですが…」

「うん…分かってるよ」

「では…」

「でも、もうちょっと時間くれないかな」

「……今日ここに志乃が来たことは上には伝えてないんでしょ?」

「そうですが…」

「心配ならカメラでもなんでもつけてくれていいし、近くに住んでくれてもいいからお願い…っ」

「…うーん……」


カメラは困りますね。

私の家なのですよ?

リンさんとエッチが出来なくなってしまうではないですか。

(まだ一度も実績はないですが…)


「定期的にお伺いしても…?」

「うんもちろん!

いいよね!おじさん!」

「え…も、もちろん…です…」


拒否権はない…ですか。

ですがこの志乃さんもなかなかの美人さんですからね。

全然ウェルカムですよ。


「じゃあまたね志乃~~」

「ええ!?私はもう少し…」

「ほらほら行った行った」


リンさんが志乃さんの背中を押して出ていきます。

玄関先でなにやら話しているようですが聞こえません。


「ごめんおじさーん!」

「いえ私は別に…」


すぐに帰って来ました。

もしかして、作戦会議をして私を罠にはめるつもりでしょうか。

ではそうなる前にリンさんをハメ倒しておくのが良策ですかね。


「……」

「……えっと…

フルーツポンチでも食べますか…?」

「え、あんの!?」

「はい…」

「じゃあ食べたい!」

「少々お待ちを…」


プシュッ

カパッ

トクトク


多少の気まずさが息を潜める沈黙です。


「お待たせしました…」

「おー!ありがと~!

って今回は桃二個入ってたの!!?」

「あー…そうみたいですね…」

「ふーん…じゃあ一個あげるっ

えへへっ」


ポチャン


あんまり可愛いですと襲ってしまいますよ...?

......そんなチャンスはもうなくなってしまったのかもしれません...。


それにしても...自殺しか選択肢がないほどまでの状況だったでしょうか...。

一般的に見れば恵まれている方かと...少なくとも庶民以下の私はそう思ってしまうのですが...。

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