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〈2〉なんでしょう...なんだか凄く心がウキウキします...(周りの視線は痛いです...)

駅の近くのファミレス…。

いつぶりでしょうか…?

懐かしいような、なんだか変わってしまったような…。

そんな気がします。


「私はこと…リン!今日からよろしくね 

おじさんっ!」


こと…?

それにしても改めて落ち着いた場所で見ると…やはり…。

この子...リンさんはすごくすごくすごく...ですね。

整いすぎた顔立ちにまっすぐで艶のあるサラサラなロングの黒髪、圧倒的なスタイルのよさに…。

身長は私より少し低いくらい...女子高生にしては高い方なのでしょうかね。


「好きなもの頼んでください…」


今日からよろしく、とかいう甘言に一瞬心が弾んでしまったことは恥ずかしいですからバレないようにしないといけませんね。


「じゃあ、これとこれと〜あとはこれと〜」


あらあら。

遠慮がないようでなによりですね(苦笑)。

食欲があるというのは素晴らしいことだと思います。


「おじさんはっ!?」


4人掛けの机に向かい合うようにして座ったリンさんが、身を乗り出すようにして訊いて来ますね。

まるでここにいるのが同級生の友人か、それか彼氏さんかのような態度です。

どちらの経験も私にはないのですが…(苦笑)。


「私はいいですよ…」

「え〜せっかくなら食べなよ〜」


私のお金です。

ちなみに言いますと。

あと私は「なに食べたかなんて1年後には基本忘れてる」

精神で、毎日の食事にはお金をかけたくないものですから。

だから唯一の趣味と言ってもいい船釣りで大量に持ち去り帰ったお魚さんたちを、毎夜毎夜飽きもせず胃の中に突っ込んでいるような食生活ですね。

飽きてはいるのですが…。


「ははは…(苦笑)」

「ふーんじゃあいいや

店員さ〜ん!」


どうして私が遠慮しているのでしょうか。

そういう性格、そう言われましたらそこまでですね…(苦笑)。


………


「お待たせしました」


カチャカチャ


少し清潔感に欠けたような中年のウェイトレスが少し気だるそうにお料理を運んで来ました。

お料理を待つ間もリンさんはウキウキとした様子でメニューや内装を見ておられましたね。


「わ〜〜!」


先ほどまでの反応といい、ファミレス…初めてなのでしょうか?

今時の女子高生はファミレスなんて行きませんよって、そういうことなのでしょうか。


「おじさんもいる?」

「いやいいです…」


どうして私のお金で買ったご飯を…。

ですがまあ、この子は明るく振る舞ってはいますがさっきまで…。

…今は大目に見てあげるとしましょうかね。

私は大人ですし。


「まあ、ゆっくり食べてください…」

「言われなくてもそうするし〜w」


ああそうですかいね…(苦笑)。

...。

あっ、会社…。


「はあ…」

「?おじさんどしたん?話聞こか?」

「いや…」


それは完璧にこちら側のセリフなのですよね。

残念ながら(?)なのですが。


「ふーん…

あっ!これ美味し〜!!」

「それはよかったです…」


………


「うーん!美味しかった〜

ご馳走様〜」


リンさんは、意外にも?律儀に手を合わせてから小さく食器にお辞儀をしていました。

どれももうお皿洗いが必要ないくらいピカピカにされ、綺麗に並んで机の端に置かれています。

ですがまあ、こんなに可愛い女子高生が使ったあとのお皿に洗浄なんて必要ないんですけれどね。

うーんペロペロペロペロ。

おっと。


「それじゃあ行こ~!」

「…念のため聞きますけど……」

「そうよ!おじさん家!」


ですよね~…。

…はっ!

待ってください。これはもしや…

病んでる女子高生を拾ったら同居することになってしまって、

それで「あれ?この子、最近距離が…?」

ってなっちゃったりしてしまって、

「あの、私…//」ってなるやつではないでしょうかいいいぃぃぃ!

ぐへ、ぐへへへへ……へ…へへっ…。


「ははっ……

はあ……」


私の気色の悪い頭の中とは裏腹に、困ったな~的な顔をしてみましょうか。

きっとリンさんも私がそんなことする勇気がないようなヘタレに見えたから縋ってきてくれたのでしょうしね。


……。


「はあ…」


先が思いやられますね…。

ですがなんでしょうか。

ちょっぴり…楽しみ…かもしれないです……。


「お会計は三千…」


うげ。

結構行きましたね。

こんな朝っぱらからファミレスでよくもまあ…。

もったいないです。

私は他人に金を使うのはどうも気に入りません。

ですがまあ今回は特例…ですかね。


「はいは~い」

「全く…はいはいではなくて…」


ピラッ


「一万円からですね

おつりが六千と…」


ん゛ん゛...っと...?

なんですか?そのお財布の膨らみ方は。

産卵前なのですかな?

しかももしかして全て、かの偉大なゆきーち&えいいーち様方なのですか?


「おつりはおじさんにあげる~

宿代ってことで~(にししっ)」

「えっと…」


自殺女子高生のヒモ…?

でも六千円ですか..?

欲しいに決まってますね。


「ありがたく頂戴いたします...」


私は初任給をもらった時くらい頭を下げながら喜々としておつりを受け取りました。

恥ずかしさ……大金(六千円と少し)には代えられません。

それにしてもこれだけのお金…。

絶対に後ろめたいものですよね…。

それにこんなにお金があるなら当分はネカフェかどこかにでも……。

そうでしたそうでした。


チリンチリン


「ありがとうございました~」

「ごちそうさまでした~!」


ほほっ...。

上機嫌ですね。


「歩いて5分くらいですので」

「おおっ!いい立地!やるう!」


リンさんが背中を叩いてきます。

一見激しいようで、

でもそれには私に対する遠慮なのか気遣いなのか…つまりはある程度の優しさも感じられるような…。


・・・


「ぼっろ~ww」

「汚くて悪かったですね」

「本当よ、こんなところでこれから寝泊りするってんだから信じらんないわ」


信じられないのはどちらかと言うとこちらの方なのですがね(苦笑)。

まあ、自殺されるよりかはいいことなのでしょう。

私も可愛い女の子と一つ屋根の下で暮らせるんですからね。

ウィンウィンってやつなのではないのでしょうか。これがまさに。


「でも散らかってはないじゃん」

「ははは…」


片付けはするように心掛けていますからね。

…単に物量が少ないだけなのですが。


「私は今日からどこで寝ればいいのっ??」


はて。

お客様はご予約されておりましたでしょうか?


「お好きなところで…」

「ベッドとかないの~?」

「あちらの部屋に…」

「わーーい!!」


小学生みたいですね。

危機感というものを少しは持っておいた方がよさそうですよ。

(ギロッ...ジュルリ...)


ボフッ


「意外とふつーww」

「褒められているのでしょうか」

「そうだよ~

もっと黄ばんでたり、臭かったりって思ったし~w」

「そうですか...」


偶然にも洗濯したばかりで本当によかったと思います。


「ああ~~~暇~~」


お早いですね。

来てからお暇になるまでが(苦笑)。

一般的に私のようなくたびれた社会人の一人暮らしの家に女子高生の退屈をしのげるようなものはないと思いますね。

おそらく。


「どこか遊びに行かれますか」

「うーん…じゃあ買い物にでも行こっかな」

「そうですか

お気をつけ…」


バッ


「もちろんおじさんも行くの!」

「そうなのですか…」

「そう!こんなに可愛い私と一緒に出掛けられるってんだから

堪能しなさいよね!」


はい。

ではお言葉に甘えさせていただきます。

五臓六腑、五感と股間と第六感で堪能し尽くします。

(自分の容姿に自覚はあったのですね(苦笑))


ガチャ


なんと言えばいいのでしょうか。

罪悪感…ですかね。


「それでどちらに…」

「う~んっとね~

ひとまずは今日の夜ご飯でしょ~

それから雑誌と洋服とバックにコスメもかな~」


それはまあ随分と…。


「あとスマホ!」

「持っていないのですか…?」

「うん……ちょっとね」


この手の話題はダメなようですね。

メモメモです。


「タクシーでも呼びましょうか」

「ううんいいよ!電車で!」


先ほどのこともあって駅や電車は避けた方がいいとも思ったのですが…。

そうでもないようですね。


「あっスイカも作らないと!」

「大変ですね…ははは…」

「そうよもう!お金足りるかなあ」


さっきの妊娠財布ならば余裕でしょうね。

ですがあれがもしも汚いお金ならば、大人として使わせるわけにはいきませんね。


「お金は私が出しますから…」

「え~おじさん太っ腹~」


ただ単に使う機会がほとんどありませんでしたから。

本来他人にお金を使うのが嫌いな私ですが、訳ありの可愛い子のためなれば

お財布の紐も緩んでしまうものです。


「じゃあ妥協せずに選んじゃお~っと」


少しは遠慮というものをしていただきたいものです。

ですがそれだけ頼られているということなのでしょうか。

それならば嬉しいですね。


・・・


ファーーン


電車が我々の前を通過するときは流石に少し肝が冷えました。

いつでもリンさんの腕を掴めるようにと緊張していましたが心配無用だったようですね。


ガタンゴトン


流石にこの時間帯に制服は目立つようですね。

リンさんは今日も変わらず学校に行く予定だったのでしょうか。

やはり、家庭の事情でしょうか。

友人関係でしょうか。

目立った痣や傷はないように感じられます。

それどころか、制服も鞄もお肌も髪の毛も…

丁寧すぎるほどに仕上げられているようです。

これが今の女子高生の普通なのでしょうか。


「へ~これが...」


リンさんは外の景色や広告を物珍しそうに眺めております。

年に差があるからか、気まずさというものは感じられません。


(...それにしましても、こうして誰かとお出かけというのはなんだか非常に......。)

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