表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

話題の女の子

作者: 口羽龍

 雄哉ゆうやには付き合っている女の子がいた。通っている高校の同級生、稲子いなこだ。とてもかわいくて、このクラスのアイドルのような女だ。クラスでも人気があり、学級委員を務めている。活発で、頭がいい。部活はテニスをやっていて、男子生徒の注目の的だ。


「どうしたんだよ」


 雄哉は横を向いた。そこには同級生の森下がいる。森下も稲子が気になっているが、付き合おうとは思っていない。そして、雄哉が付き合っているのを知っている。


「あの稲子ちゃんが気になってね」

「かわいいよね。まるでアイドルみたいだよ」


 森下もアイドルのようだと思っていた。見た目がそうだし、行動もそれっぽい。


「そうだね」


 森下はクラスを出ていった。もう今日の授業は終わった。帰ってテレビゲームでもしようかな?




 翌日、今日は休みだ。雄哉は駅前にいた。今日は稲子とデートをする日だ。雄哉はワクワクしていた。稲子とデートをするのはこれで10回目だけど、今でも緊張する。このまま稲子のハートを射止めて、結婚まで持ち込めたらいいな。その為にはかっこいい所を見せないと。そして、約束は守らないと。


「もうすぐだったな」

「お待たせ!」


 雄哉は横を向いた。そこには稲子がいる。稲子は黄色いスカートを着ている。かわいいけど、すごく目立つな。何か理由があるんだろうか? この色が好きなんだろうか?


「ああ、稲ちゃん」

「今日はここに行きましょ?」

「うん」


 2人は半蔵門線に乗り、押上に向かった。これから東京スカイツリーに行く予定だ。2人で行くのは初めてだ。どんな1日になるんだろう。お互いワクワクしていた。車内は閑散としている。混雑している平日の朝がまるで嘘のような静けさだ。その中には何組かの家族連れもいる。彼らは東京スカイツリーに行くんだろう。


 2人は東京スカイツリーにやって来た。東京スカイツリーには多くの人が来ている。すでにチケットは買ってあって、予約してある。並んでいる人がいるが、2人には関係ない。そのままエレベーターに向かうだけだ。


 2人は天望デッキにやって来た。天望デッキには多くの人が来ている。2人はその端にやって来て、東京の景色を見た。とてもいい眺めだ。建物がまるで模型のように小さく見える。


「いい眺めだね」

「うん」


 と、雄哉は稲子を見た。稲子は首をかしげた。何か言いたい事があるんだろうか?


「ねぇ」

「どうしたの?」

「君って、アイドルみたいだね」


 それを聞いて、稲子は少し笑みを浮かべた。照れているんだろうか? なにか思い立つ事があるんだろうか?


「本当? ありがとう。本当にアイドルなのよ」

「えっ、マジ?」


 それを聞いて、雄哉は驚いた。アイドルみたいだと思ったら、本当にアイドルだったとは。どんなアイドルなんだろう。気になるな。もしライブがあるんだったら、行ってみたいな。


「うん。今度、ここでライブやるから、来てみない?」


 そう言って、稲子はライブのある場所を記した紙を渡した。紙によると、そのアイドルの名前は『KTN55』というらしい。聞きなれない名前のアイドルグループだな。その他に、雄哉は気になった事がある。場所が志鴨しかも稲荷なのだ。どうして稲荷神社でライブなんだろうか? ちょっと奇妙だな。だけど、行ってみたいな。


「うーん、また考えとくね」

「ありがとう」


 雄哉はそのライブに行ってみる事にした。ライブは来週土曜日だ。この日は休みだから、行ってみようかな?




 来週の土曜日、雄哉は志鴨稲荷にやって来た。志鴨稲荷は行った事がない。稲荷神社には多くの稲荷像があり、異様な光景だ。今日はライブがあるためか、屋台が多い。そして、多くの人が来ている。彼らはKTN55のライブを見に来たんだろうか?


「えーっと、ここだったな。けっこう集まってるな・・・」


 雄哉は場所を確認した。確かにここと聞いた。本当にここでやるんだろうか? とても疑わしい。だけど、稲子がここでやるって言ったんだから、そうだろう。


「どうして稲荷神社なのかな?」


 だが、彼らを見て、雄哉は何かに気付いた。みんな、キツネの尻尾のストラップを付けているのだ。


「えっ!? 尻尾!?」


 と、音楽が聞こえ、ライブが始まるとのアナウンスが聞こえた。これから稲荷神社の本堂でライブが行われるそうだ。


「あっ、始まった!」


 雄哉はステージにやって来た。ステージの上には、KTN55と書いてある。


「えっ、KTN55?。な、何だろう。初めて知ったアイドルグループだな・・・」


 一体どんなアイドルグループだろう。雄哉は首をかしげた。


 と、ライブが始まり、55人のアイドルがやって来た。彼女たちを見て、雄哉は驚いた。なんと、キツネの耳と尻尾が生えているのだ。これはどういう事だろう。まさか、KTNとはキツネという意味だろうか? だとすると、55とはコンコンという意味だろうか?


 と、雄哉は稲子を見つけた。確かにあの子は本当にアイドルだ。とてもかわいいな。


「あっ、あの子か!」


 雄哉はすっかり見とれてしまった。あっという間に稲子のとりこだ。デートの時よりも、ずっとかわいい。


「か、かわいい!」


 と、雄哉の体がおかしくなった。何かが頭から生え、尻から何かが出ている気がした。雄哉は違和感を覚えた。今までにない感覚だ。明らかにおかしい。


「あ、あれっ・・・」


 雄哉はスマホで自分の顔を見た。すると、頭からキツネの耳が生えている。そして、雄哉は振り返り、自分の尻を見た。すると、キツネの尻尾が生えている。


「うわぁぁぁぁぁ、尻尾が生えてる!」


 突然、雄哉は転んだ。雄哉は目を閉じてしまった。目を開けると、そこはいつもの静かな志鴨稲荷だ。何だろう。夢でも見てたのかな?


「あれっ!?」

「驚いた?」


 雄哉は振り向いた。そこには稲子がいる。あれっ、今さっきの稲子は何だったんだろう。夢で見てたんだろうか?


「うん・・・。き、君、こんなアイドルだったの?」

「うん。驚いたでしょ?」


 呆然としている雄哉は稲子の尻を見た。すると、尻尾が生えている。そして、稲子の顔を再び見ると、キツネになっている。まさか、あれは正夢だったのか?


「お、驚いた・・・」


 雄哉は開いた口はふさがらなかった。稲子がこんなアイドルだったとは。でも、誰にも言わないようにしよう。言ったら、どうなるかわからないから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ