④
「こんにちは、皆さん」
可愛い声が聞こえてきた。
男たちがぎょっとして見ると、そこにいたのは、ただの幼い少年だった。
男たちは途端にニヤニヤと嫌な笑みを浮かべる。
「おい坊っちゃん。こんなところで何しているのかな?」
「おじさんたち、ちょっとこの人たちと取込み中なんだ。どこかへ行ってくれるか?」
ロペもカフジも、彼に見覚えがあった。
ロペが説得しにいった村に暮らしていた、妙に大人っぽい子供である。
少年はにっこりと笑う。
「かわいそうだから、やめてあげてください」
男たちは眉間にしわをよせる。
「はあ? 何様のつもりだ?」
「どうやら、痛い目みたいらしいな」
少年を囲む男たち。
だが、少年は怖がらず、呆れたようにため息を付く。
「うーん、仕方ないなあ」
ぱちりと、ウインクする。
「子どものふりをするのも飽きてきたところだ。力を示してやろう」
「何を言って、」
突如、少年の体が青い光に包まれた。
「なっ! なんだ!?」
「こいつ、魔法使いか!?」
『魔法使いなんてちゃっちい存在ではない。全く、その程度すらわからぬとは……。それでも密猟者か?』
声が反響して聞こえる。
人ならざるものの存在に、木々が歓喜に震え、大地が興奮したかのように揺れる。
ロペを捕らえていた縄が、ばちりと切れる。
ロペは慌ててカフジに近づくと、怪我の様子を確認してくる。
「だから、自分の怪我の心配をしろ」
傷口を確認する。
だが、あんなに流れていた血はぴたりと止み、傷口も塞がっていた。
『我がやっておいた。その程度の治癒は朝飯前だ』
少年がにっこりと微笑む。
密猟者たちはパニックを起こし、猟銃を手にして少年相手に撃ってくる。
けれど、少年に近づく前に、銃弾は火に投げ込まれた氷のように、溶けて消えていった。
『さて、密猟者さんたちは、公園に足を踏み入れないように、遠くに吹き飛ばしてあげようか』
少年が手をすべらせる。
すると、密猟者たちの体が浮いた。
「な、なんだこれ!?」
「か、体が勝手にっ!」
『さようなら。次にここに戻ってきたら、命の保証はないからね』
ぴん、とデコピンの仕草をする。
すると、宙に浮いていた男たちが、勢いよく吹き飛ばされた。
悲鳴も聞こえず、男たちはどこっかへ消えていった。
『ああ、心配しないで。殺しはしないよ。ただ、人さらいの証拠もそろえて、警察の前に送り飛ばしたから、暫くは牢屋から出れないよ』
「……あんたは、なにものだ」
『自己紹介がまだだったね』
少年は透明な羽をこれみよがしにバタバタさせる。
『我は精霊。この森の主だよ』




