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15/18

 ロペは村人さんに護衛してもらい、国立公園をてこてこ歩いていた。


 向かう先は、近隣の村である。


 今までのロペは、国立公園内での研究観察ならば護衛を付けず、一人で行動していた。


 この近辺には人を獲物にする動物が少ないのもあるが、例えいたとしても、一人で行動したがる。


 言葉が喋れないせいで意思疎通が難しいので、ハンターがうっかり研究対象の警戒心を逆なでする行動をとってしまってもすぐに注意できず、そのせいで観察がおじゃんとなったことがあるからだ。


 しかし、公園内で密猟者に捕まってからは、ロペは気持ちを入れ替えた。


 カフジが公園内にいるときは彼が守ってくれていたため、単独で行動していた。


 彼がいない時間帯は、ハンターにお願いして一緒についてもらっている。


 近くの村くらいなら一人でいいかな? と思ったが、ちょうどその人の出身村だったので、ならついでに付いてきてもらおう、と考えたのだ。


 ハンターは気さくな人で、ロペにあれこれと会話を投げかける。


「ロペさんは届いた荷物を回収しに行くんですよね?」


 ロペはこくりと頷く。


「しかし、郵便局の人も怠惰ですねえ。研究室に届ける宅配物を、俺の村に届けてしまったんですよね?」


 今度はふるふると首を横に振る。


 スケッチブックを出して、せっせと説明する。


「はええ、なるほど。公園に自生していない

植物だから、直接研究室には持ってこれないと。せーたいけー? ってのが壊れるから駄目なんですねえ」


 うっかり外来種を持ち込んでしまえば、一生懸命保護していた公園の環境が壊れてしまう。


 今回注文した物品は乾燥した草花なので、そこまで注意しなくてもよいのだが、たまに乾燥していないままの花も同封されてしまうので、念には念を入れて近くの村に届けてもらったのだ。

 

「そんな面倒を承知で、何を注文したんですか?」


 スケッチブックにすらすらと書く。


「ムラサキ草? へえ、研究につかうんですか?」


 今度は小さな文字でこそっと書く。


「友人へのプレゼント? はあ、友達ねえ」


 なぜか彼はニヤニヤ笑う。


 こてんと首をかしげると、ハンターは冗談っぽく言う。


「友人って、あの吸血鬼さんですよね? いいじゃないですか、別種族との恋! そういうの好きですよ!」


 ロペはパクパク口を開ける。


 勢い良く首を横に振るも、彼は笑うばかりだ。



 恋愛感情ではなく、あくまで友人としてのお礼だ。


 驕っていたロペに、動物保護政策で苦しむ

人もいると教えてくれた。


 それに、ロペが村の人たちとの交流をしていたとき、カフジはこっそりと見守ってくれた。


 感謝の念をこめて、前に美味しいといってくれたムラサキ草のお茶を振る舞おうと思っただけだ。


 決して、決して恋愛感情ではない。


 ……だけど、そう思われることに、どうしてだか嬉しく感じていた。


 研究熱心で、動物の交尾行動は頭に入っている彼女だが、自分の中で芽生えた感情の意味は理解できなかった。


 もう少し考える時間があれば、とっかかりが見つけたかもしれない。


 だが、彼らにその時間は与えられなかった。


 小さな悲鳴をあげ、さきほどまでおしゃべりしていたハンターが倒れた。


 状況が飲みこめたときには、ロペは屈強な男に拘束されていた。


「よお、この前ぶりだな、ちびっこ研究者」


 男はニヤリと笑った。


「餌になってもらうぞ、お嬢さん?」
















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