九
元々いるハンターと喧嘩にならないか不安になっていたようだが、村人たちの純粋な態度に、ハンターたちも心を許し、あれこれと指導をしてくれた。
事務作業も滞りなく引き継ぎができた。
さらに、ロペはあるイベントを実行した。
その名も、地元の人達をブルーストーン公園に招待しよう大作戦だ。
ロペが村人たちとの交流で驚いたのが、彼らがブルーストーンに住む動物たちのことを全く知らないことだった。
入園料を設けてしまったため、地元の人たちが公園に入れなくなってしまったからだ。
そこで、ブルーストーン公園に住む動物たちを知ってもらおうと、老若男女問わず、地元の人たちをガイドすることにしたのだ。
子供たちは、目をまん丸にさせてドールベアを見つめる。
ドールベアが驚かないように声を収めながらも、子供たちは静かに興奮する。
「可愛いね」「ぬいぐるみみたい!」
今度は、九色の羽を持つ九雀を観察する。
九雀は昼間に食事を求めて人里に降りてしまう。
そのため、村人にとっては「害獣」そのものだった。
けれど、村人たちは憎しみも忘れて息をのんだ。
「すごい、綺麗……」
九雀は太陽がてっぺんに昇る正午になると、美しい羽を広げて日光浴する。
九色の色鮮やかな羽が広がる様は、まさに絶景であった。
一人の女性が感慨のため息をつく。
「あんな鳥、滅んじゃえばいいって思っていたけど、考えを改めなくちゃね」
ロペは一人ひとりに動植物を紹介してまわる。
彼女はいきいきとしていて、元気そうであった。
こっそり見ていたカフジは、無意識に微笑んでいた。
じっとロペを見つめていたせいか、登っていた木のそばに少年が近づいていたのに気づかなかった。
「ねえねえ」
「うおっ!」
木から落ちそうになり、慌ててしがみつく。
ギロリと少年を睨みつける。
「んだよ」
野性味あふれるロペならともかく、村の男の子にも隠れているとバレてしまった。
隠密には自信があったのに、ここまで見つかると自信をなくしてしまうカフジであった。
「見て、あれ」
「……」
子供が指差すほうをみると、転がっている石が微妙に青く光っていた。
「昔の人はね、ああやって光る石には、精霊が宿っているって思っていたんだって。本当はホタルが住んでいるだけなんだけどね」
「はあ、どうでもいいな」
よく見てみれば、その少年は小難しい本を 読破した大人びた子供であった。
ぞんざいに扱われても、少年は気にせず話しかける。
「お兄さんも木に登ってないで、一緒にみようよ」
「みねえ。人間も動物も興味ねえ」
「僕も昔は嫌いだったけど、今は好きだよ」
少年はにこりと笑う。
「動物も、……人間も、ね」
同種を人間呼ばわりとは、随分ませている。
舌打ちして、睨みつける。
が、
「あ、あれ……?」
先程まで話していた少年が、消えていた。
慌てて探すと、いつの間にか、ロペにあれこれ尋ねていた。
「……なんなんだ、あいつ」
彼のつぶやきを聞いていたのは、青く輝く石だけだった。




