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 ロペがどうやら腹案があるとの噂は既に広まっていて、村人たちはワクワク半分ドキドキ半分といった様子で集まっていた。

 

 ロペはスケッチブックを片手に、意気揚々と村人たちの中に入る。


 文字が読めない村人もいるので、カフジが読み上げ係を担う。


 ロペは力強く、スケッチブックをめくる。


『今まで、国立公園の存在は、皆様にとっては邪魔でしかなかったと思います』


『なぜなら、国立公園があっても、皆様のメリットにはならない、むしろデメリットのほうが多いからです』


 村人たちは、「そうだなあ」「畑を荒らす不届き者を退治できないからなあ」と話す。


『公園の職員には、密猟者を見張るハンターや、簡単な事務作業をしてくれる人たちがいます』


 ロペは紙をめくる。


『職員採用枠に、地元枠を作ろうと考えています』


 村人はざわめく。


「つまり、公園のために働けと?」

「金は出るんだろうな」


 ロペは頷く。


 雇用条件の紙面をカフジに渡す。


 カフジが分かりやすいよう噛み砕いて説明すると、村人たちは驚いた声を上げる。


「この金額なら、喜んで仕事したいな!」

「これだけあれば、母ちゃんに質の良い服を買ってやれるな!」


 しかし喜んでいる村人たちだけではない。


 一人の女性が、不安そうに声を上げる。


「確かに高額だけど、うちは先祖代々畑をやっているんだ。農作業を捨てて公園のために働くのは勘弁してほしいよ」


 金に目がくらんだ人たちも、確かにそうだと尻込みする。


 だが、ロペは村人と一緒に会話し、村人たちがいかに農作業と密接に生きているのか理解していた。


 そこで、ロペは別の案を出す。


 密猟者は農繁期でも農閑期でも関わりなくやってくる。

 

 ハンターの仕事をして貰う人は、できる限り安定して勤務してほしい。


 ただし、ある仕事を担う人たちは、農繁期は休んでもらっても構わないとする。


 その仕事とは、


「観光業……?」

 

 村人は首をかしげる。


 今まで、観光客はバスで来園し、警備の者といっしょに公園内をまわったら、バスで帰っていった。


 しかし、これだと地元に金が落ちない。


 そこでロペはこう考えたのだ。


 農閑期を中心に、まず観光客たちが購入してくれそうな商品をつくってもらい、公園内のお土産屋さんで販売する。


 そのお金を村人たちに渡せば、彼らの生活も潤うのではないか。


 商品例に関しては、ロペがありとあらゆる観光地のお土産を頭に入れている。


 売れない商品があっても、この公園は広大なので置く場所に困らない。


『ハンターは危ない仕事ですし、観光業も国際的な不況が起きれば低迷してしまいます』


 全てが上手くいくとは、限らない。


 それでも。


『出来ることなら、協力していただきたいです』


 カフジが読み上げるのを待って、ロペは深々と頭を下げる。


 自然と、カフジも頭を下げていた。


 村人たちはお互い顔を見合わせる。


 まだ戸惑いのほうが強い。


 ……それでも。


 拒否する人も、いなかった。


 村長が手をあげる。


「関係省庁とは話をつけているのですね」


 ロペは迷いなく頷く。


「そうですか。なら、試しにやってみましょうか」


 村長に背中をおされ、村人たちも盛り上がる。


「そうだな。やってみよう」「細かい作業なら俺に任せろ」「頑張らないとね」


 村人たちの温かい言葉に、ロペは誰よりも嬉しそうに微笑んだ。


 簡単な面接の日程などを伝えて、二人は研究所に帰還する。


 浮き足だっているロペに、カフジはぽつりとつぶやく。


「よかったな」


 ロペはカフジを見上げて、満面の笑みを浮かべた。

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