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七話 帰還


 チュートリアルを終えた俺は、元の世界に戻れば、どういう扱いになるのだろうか。

 なんか国に囲まれるとか、ありそうだけど。

 正直俺の頭では分からない。

 皆が同じチュートリアルを受けたと考えれば、単純にクリアするだけで俺と同じ強さ、あるいは元の身体能力が俺より高ければそれ以上にはなっている。

 なら、それが俺含めて二十三人いると言う事だ。

 そして、見た感じ日本人だけではなく、全世界に散っているようにも見えた。

 そう考えれば、日本人だけで数人。希少性はさらに増すだろう。


 まあ、最後に、能力値が制限されると言ってたから、アレだけど。

 別に、完全にレベルアップの恩恵がなくなるわけではないだろう。


 何て、思っていた俺だが、気が付くと岩ではなく、白い床に突っ立っていた。


「元いた場所に戻ってきたってことか」


 俺が前を向けば、斧が並んでいる。

 そして、首を振って周りを見れば、そこは俺がチュートリアル開始前に飛び込んだホームセンターだった。

 それと同時に、今いる俺の状況もわかったが。


 平日とは言え、人はそれなりにいるようで、皆が俺を見ていた。

 俺は集まる人の視線に耐えかねて、その場を離れた。

 はたから見てどうかは分からないが、恐らく突然現れたように見えただろう。

 少なくとも、チュートリアル開始前に、色々と現実では有り得ない様な事が起きたのは確かだが、それでも、驚くには十分だろう。


 俺は、そのままそそくさと店を出ようとして、気付いてしまった。

 そう言えば、俺は2Lの水と手斧の会計をしていない。

 このまま店を出れば、万引きである。

 

 ここで気づいてしまったことに後悔すればいいのか、早く気付けて良かったと思えばいいのかは分からない。

 いや、良い事なのだろう。凄く面倒で行きたくないが。

 何て話せばいいだろうとか、何処で店員に言えばいいだろうとか、いろいろ考えながら、取りあえず、レジに行ってみた。






「はぁ、つかれた。取りあえず、終わってよかったけど」


 ホームセンターを出た俺は、一人ため息をついた。

 あれから、レジに行って事情を説明した俺は、バックから元々斧についていたタグと、ペットボトルを取り出した。

 あわよくば、その場の対応で、バーコードだけ読み込んでもらって、済ませようと考えていたのだ。


 そして、そんな俺を見た店員は、店長を名乗るおっさんを呼んだ。

 六十代くらいのおっさんが来て、俺は店舗の二階にあるバックヤード的な場所に連れていかれた。

 座らされた俺は、色々と事情をもう一度話した。

 いまいち、俺が帰ってくるまでに、どういった状況になっているかわからいこともあって、あまり話したくなかったけど、チュートリアルの件も話した。

 ここで話して、情報が洩れても嫌だが、話がこじれるのもキツイ。

 そして、それを聞いたおっさんは高圧的な話し方で、俺を説教した。


 説教だ。

 なにをって言われれば、やったことは犯罪だって怒られたのだ。

 一応、事情を話して、レジでは渋ったが、仕方なく壊れた初めに使っていた斧も見せた。

 そして、どう見ても、俺の今の見た目は、返り血もすくなからず浴びていることを考えれば、まるっきり嘘とも言いにくいだろう。

 アナウンスの名前と一致していないかの確認のために、暫く言っていない学校の学生証も見せた。

 だが、怒られた。

 いや、それは良いのだ。

 少なくとも、おっさんは嫌いになったし、もう今後、このホームセンターには来ないと誓いはしたのだが、結果を見れば、俺がしたことは会計を済ませていない商品を金は払うとは言えぶっ壊した。それは事実であり、店にはそんな事情は関係ない。

 だが、このおっさんあろうことか、俺を通報しようとしやがったのだ。


 普通、学校は警察どっちがいいくらいは聞くだろう。もしくは親とか。

 え?聞くよね?

 いや、分からんが。

 まあ、とにかく、通報されそうになった。

 そして、警察には事情を話すにしても面倒になった。

 と、思ったところで、俺がレジで話しかけた店員さんが説得してくれたのだ。


 そして、それから、おっさんはまた説教は長々として解放された俺は店を出たのだ。


 

 

 だが、まだ面倒ごとは続く。

 そう言えば、俺は店内に入る前に、事故っているのだ。

 これは、また拘束されるのでは、と覚悟して、店前の横断歩道を見れば普通に何事もなかったかのように車が通っていた。

 まあ、よく考えれば、事故が起きれば、色々と撤去されるだろう。

 もしかしたら、後で警察に電話でもしなければならないかもしれない。

 電話もしたくねぇなと思って、俺は上着を脱いだ。

 返り血がついているのにもかかわらずこれを今まで来ていたのは、俺の話の信憑性を増させるためだ。

 でも、今から外に出るのなら、それは帰って悪目立ちをしていい結果を生まないだろう。

 そう思ってのことだった。


 そんなことを考えつつ、俺は歩き出した。

 当たり前だが、自転車はこの場にはなかった。

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