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四話 武器変更


 俺が洞窟を暫く進むと、またコボルトと鉢合わせた。

 すぐに、斧を抜いて【延長】する。

 本当は、四六時中しときたいが、なんだか使い過ぎると、と言うより、ギフトを使った状態を保っていると酷く疲労するので仕方なく接敵してからギフトを発動するようにしている。

 ゲームのスタミナみたいな感じ。多分。

 それに、疲労の正体が何かもわかってない。

 もし、生体エネルギーを削ってギフトを使ってるとかなら笑えない。


 それに、いろいろ試した結果。

 それでも、すぐにギフトで刃を伸ばしきれるようになったのだ。

 今までやっていたのが、ボタン連打でのギフト使用ならば、俺が今しているのはボタンの長押し。

 いや、一つ一つのギフトの使用ではなく一括での使用を可能にしたと言った方が正しいか。


 まあ、正直どっちも少し違うのだが、体感的なことは上手く言えない。

 やっていることは、ボタンの長押しだけど、俺の意識下では一括でのギフトの使用と言えばいいか。

 とにかくそんなところだ。


 そして、先ほどの教訓を生かして、俺は後ろに回り込んで今度は大きく斧を振り上げ、それをコボルトの脳天にぶち込んだ。


「グラァ……!?」


 驚いたような顔をしたままコボルトは俺に斧で殴られて地面を転げた。

 そこに、俺はまだまだと攻撃を入れていく。

 先ほどはやりすぎな面もあったが、それでもこの斧では何度か殴る必要がある。

 殺すのだから。


「はぁはぁはぁ……」


 俺は、息を整えて立ち上がった。

 灰になったコボルトの死体を見て、その中から魔石を拾う。

 斧を元の長さに戻して、手から離した。


 斧を振り上げて、攻撃した時は人間意外と二回目は平気なのかと思ったが、それは殺しには適用されないみたいだ。

 生物を殺した時に伝わる感覚が手に残る。

 正直此処までとは思わなかった。

 別に平気だとか考えていたわけじゃないが、吐き気がここまでするものだとは考えていなかった。

 フィクションでは死体を見たり、殺したりでゲロを吐く奴がいるが、まさかアレを自分が体験するとは。

 そこまでかよ、と思っていたが、割と堪える。

 と言うか、人間ですらない魔物相手に、これなら俺はそれ以下かもしれない。


 ただ、まだ二回目だ。

 それに、これは時間指定の耐久ゲーではない。

 とにかく奥に進めばいい。

 指示はないが、詰んでいるわけではないのだ。

 やれば終わる。

 希望が残された分だけ回復は早かった。


 俺は再び立ち上がって、奥へ足を向けた。








 暫く、コボルトと遭遇して倒してが続いた。

 途中で休憩を挟み、食事をとったり、仮眠とまではいかなくとも、腰を下ろして体力を回復した。

 そして、気付いたことがある。


「右腕の傷がふさがって来てる」


 これはここに来る前、車に信号無視をしてできた傷だった。

 乗っていた自転車に引きずられるようにして、コンクリにこすりつけられてできたものだった。

 それがふさがって来ていた。

 自然治癒ではありえないほどに急速に。

 恐らくタイミングは俺がレベルアップする際だ。

 その時、全快といかなくても、恐らくだが徐々に回復してきている。


 そして、レベルアップの恩恵はそれだけではない。

 やはり、ギフトの練度も上がるのだ。

 一レベルに付き大体一センチ程度だろうか。

 レベルが上昇するにつれてどうやらそれは減っているらしく見えるが。


 そして、これが一番俺的には重要だと思っていたものだ。

 それすなわち、レベルアップによる身体能力の強化だ。

 始めはあまり気付かなかったが、レベルを重ねるにつれて確信に変わった。


 そのおかげで、段々と魔物に苦戦しなくもなっていた。


 そして、そんなこんなで、順調に歩ていた時、今まで一体づつしか現れなかったコボルトの集団が見えた。

 集団と言っても五体。

 でも、戦うと考えれば少し多くも感じる。

 一体二体と慣らしてきたわけではないことを考えれば尚更に。


 どうするか。

 そんな風に考えて、俺は携帯を取り出した。

 電波は届かないが、時刻は「17:21」と表示されている。

 そして、そこから目を離して俺はコボルトの集団を観察した。


 大小あっても通路が続いていたこの空間で、初めて見た開けた場所。

 そこにいる五体は、まるで人間みたいに火を囲んでいた。

 洞窟の中で火はどうなのかとも思わなくはないが、あのコボルトたちがしてるのだから、きっと今まで害はなかったのだろう。

 割と広いし。


 俺は狙うなら今だと、考えた。

 今までの魔物はすべて武器を持った状態のものが徘徊していた。

 それに比べれば、飯でも食うかのように焚火を囲むコボルトはこちらの攻撃に反応するのは難しいだろう。

 それも、武器は五本共に、地面に置かれてすぐには取れない状況だ。

 五体という数での不利がある状況からして、油断している今がねらい目だろう。

 さらに、通路上の洞窟である関係で、あの五体を倒さなければ、前後からの挟み撃ちを喰らう可能性もある。


 よし。


 俺は、あの五体を倒すことに決めて、斧を構えた。

 ギフトを使用し、カウントを取る。

 ゼロになれば、その瞬間突入だ。


 5,4,3,2,1,0!


 俺は地面を蹴った。

 もう引き返せない。

 そんなことを思いながら、コボルトへと斧を向けた。


「ハアァ!」


 レベルアップを重ねて、さらにリーチは伸びている。

 そして、身体能力もわずかではあるが、上がっている。

 これならいける。

 そう思ったとき、俺は思わず身を引いた。


 怖気づいた?

 いや違う。

 コボルトが振り返りざまに武器を振るったからだ。


「グルェッ!」


 気付かれていた!?

 何故そう思ったかと言われれば、分かりやすいほどに、地面に転がされているはずの武器ではなく、俺を傷つけんと振るわれたのは、隠し持っていた武器であったからだ。

 大きさからして、懐刀とかそう言った部類ではない。

 明らかに、俺を誘い出すための罠だった。


 なぜ気付かれた。

 そう考えて、俺はやっとあることに気付いた。

 こいつらはコボルト、つまり犬だ。

 恐らく、臭いでバレたのだろう。

 人間のように動くあれらを見て完全に勘違いしていた。

 本物の犬の嗅覚がどれくらいか知らないが、相手は魔物だ。

 それくらい容易いだろう。


「クッソ」


 ただ、そんな思考もする暇もないか、他の個体も俺を殺そうと武器を向けて走って来た。

 正直、一対他の戦闘は分からない。

 とにかく、一体一体の距離を話して、背後に気を付けた。


 ただ、そんなことを永遠にしていても、終わらない。

 俺は勇気を出して、踏み込んだ。


 一歩踏み込むことで、俺は一体のコボルトに接近する。

 だが、それは、他のコボルトに隙を見せる事でもあった。

 でも、今の俺はレベルアップのおかげで、運動能力は向上している。

 さらに言えば、今までの戦闘で、得た戦い方だってあるのだ。


 だから、きっとこれならいけると考えて、俺は一体目に構わず、攻撃を当てた。


「ふんっ!」

「グラァ!?」


 浅い。

 だが、怯ませた。

 そして、横から迫る二体に、俺は狙いを定めた。

 一体を切り伏せて、そのままもう一体へ流れるように切る。

 それが、今の俺になら出来る。


 そして、二体を倒した俺は、一体目に向けて再度攻撃を放った。


「ハァア!…………!?」


 ただ、俺が思った通りの攻撃は出来なかった。

 いや、外したわけではない。

 外したわけではないのだが、斧の刃の部分がすっぽ抜けた。

 結果的には、それが、コボルトに刺さって死んだが、それも背後にまだ二体いる。

 俺は何とか必死に身をかがめて、横に転がるようにして逃げた。


 ──────────────

 レベルが上がりました。

 ──────────────


 次の瞬間、俺がいた場所に剣が突き立てられた。

 大振りな攻撃だったからよかったが、それでも、今の武器のない状態では攻撃を受けることも出来ない。

 どうするべきかと考える。


「「グァラア!!」」


 何とか、二体の攻撃を避けて、俺は時間を稼ぐ。

 その間に、何かいい案はないかと考えるが、なかなか思いつかない。

 それに、攻撃を躱しながら何て、余計に無理だ。


 そもそも、ホームセンターで買った斧だ。

 戦闘用のではない。

 壊れるのは必然であったし、ギフトを使ったせいで重量が増えて壊れやすくなっていたのものあった。

 

 だが、それがわかっていても使い続けるほか、方法がなかった。

 何故ならば、俺には指定した武器、つまり斧を変更できなかったから。


「だが」


 俺にも考えがあった。

 斧が壊れた今、別の武器に変える事は出来るのではないかと考えたのだ。

 俺は、攻撃を掻い潜ってコボルトの落とした剣を拾った。


 別に持てないなんてこともない。

 だから、俺は行けると思って、剣をコボルトに向けた。


「あ……れ?」


 向けたのだが、攻撃しようとした瞬間に、手に電撃が走ったように力が抜けて、剣を落とした。

 カランと空虚な音が鳴った。

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