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第3話「復活」

家に帰るとすぐに、春希はカバンを開き、店で渡された袋を取り出した。

袋には青色の砂時計と1枚のDVDが入っていた。

「復活砂時計取扱説明書」

DVDのパッケージにはそう書かれていた。

プレイヤーにDVDを入れ再生ボタンを押す。

画面が青く変化し、映像が始まった。


「正しい復活砂時計の使い方……」

青い背景に白い文字が浮かび上がる。まるで運転免許の教習VTRのようだ。

「こんばんは!この度は復活砂時計を購入いただいてありがとう!」

いきなり画面に帽子を被り赤いタキシードを着たキャラクターが現れた。

トカゲかカメレオンのような姿をしている。

「僕の名前はリザーブ。トカゲの男の子だよ!よろしく!」

画面のキャラクターは明るい口調で言った。

トカゲ……尻尾が切れても復活するって意味か?……バカげている……大丈夫か?

春希は思ったが、気を取り直してテレビの画面を見つめた。

「早速だけど、復活砂時計の使い方について説明するよ!」

リザーブの軽快な説明が続く。

「使い方は簡単!砂時計の上面にあなたがもう一度会いたいと思う人の名前をマジックで書きます。そして、その人のことをじっと考える。気が済んだら砂時計をひっくり返してください!」

画面の中の砂時計がリザーブの手によってひっくり返された。

「一晩寝たらあら不思議!会いたい人が復活しています!」

リザーブはニコッと笑って飛び跳ねるような仕草をした。

「ただし、使い方は簡単なんだけど、注意してもらいたいことが2つあるよ。頭に入れておいてね!」

説明は続く。

「ひとーつ!復活した人は自分がもうこの世から居なくなってることを知らないよ!いつも通りに現れていつも通りの生活をするから絶対に砂時計のことは伝えちゃダメだよ!普段どおりに当たり前の生活をしてあげてね。」

春希は真剣な眼差しで画面を見つめている。

「ふたーっつ!砂時計の砂が全て落ちた瞬間、復活した人は消えていなくなっちゃうんだ。赤色は約5日間、青色は約3日間使えるけど、人によって時間もバラバラだからいつ居なくなってもいいように悔いは残さないようにね!」

リザーブは少し真面目な表情で言った。

「以上で説明は終わり!それでは二度と戻らない素敵な時間を過ごしてね!!バイバーイ!!」

リザーブの姿が消え、画面が黒くなった。


春希は砂時計に近づき、油性マジックを取り出した。

恐る恐る何度も何度も呼んだあの名前を書いた。

「長谷部凛」

祈りを込める。逢いたい……彼女に逢いたい。

春希は砂時計をゆっくりとひっくり返した。


春希はベッドに横になり、砂時計を見た。

この砂時計が信用できるものか分からない。でも、0.001パーセントでも可能性があるならそれに賭けてみたい。

目が覚めたら隣に彼女が居ますように。

春希はそっと呟き、目を瞑った。

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