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詩集  大好き  作者: 篝火
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「夜行列車」

筆記用具と

買ってもらったばかりのピンクの箸を

ランドセルに詰めて

父と二人 住み慣れた部屋を出た

二度と帰らぬとは知らなかったから

振り向くこともしなかった

一番好きな赤い花柄のワンピースに

ランドセルを背負って

夜の街を駅に向かった

無口な父が

これから遠くへ行くのだと言った


夜行列車に揺られて

父のふるさとへ

何もかも捨てた父が

最後に私を捨てるため


夜行列車の窓から見た暗い闇の先

空に輝く星と地を這う光の

境界が消えた

私の目を見ない父から

渡された凍った蜜柑

おまえは乗り物に酔うからと

夜行列車の窓を少しだけ

開けてくれた

寒くはないかと聞いた

声が風に震えていた


線路が続く先 朝がきたら

楽しいことがあると信じた

目を閉じると

夜行列車が走り続けている

その行く先を

私は今も 知らない

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