不思議な客
(すっごい短いです。初めてなので)
第一章
トラックを運転し、ガード下をくぐる。一軒の家の前でトラックを止め、
ポストに封筒を入れてまた次の家に行き同じことを繰り返す。そうして10時に郵便局
へ戻り、着替えて郵便局を出る。その足でコンビニへ行きおにぎりと水を買って家へ戻る。
少し休憩を取って商店街の花屋に向かう。十一時に花屋に着き、シャッターを開ける。花を
棚に並べて開店準備を終えて十二時の開店時刻を待つ。商店街を行き交う人々を眺めていると開店の少し前に店長の雫さんが店にやって来た。
「おはようございます。」
「うん、おはよ~。いつも助かるね〜。」
彼女は青華雫さん。この花屋の店長でこの春親の跡を継いだばかりなので大体の仕事を
先代からいる僕がやっている。
「今日は遅かったですね。雫さん。」
「ごめんごめん。色々用事があって。」
店の開店を待ちながら お昼のおにぎりを食べていると正午の鐘がなった。お店を開けてお客を待つ。十分ほどして最初に来た客は真っ白な服に身を包み深紅のヒールを鳴らす綺麗な女性だった。雫さんは花の名前を覚えるのに忙しいので僕が応対に出る事にした。
「いらっしゃいませ。何かお探しの花はおありですか?。」
「真っ白な花を探しているの。雪と見間違えてしまうぐらい純白の花を。」
不思議なことを言う人だ。そんなに真っ白の花で何をするのだろう。
そう思ったが気にしないで真っ白な花を探した。
やがて見つかったのが白百合であった。 早速一輪持って行き、いかがでしょうかと聞いた。
「これは何?。」
「白百合です。5月から8月にかけて咲くのでちょうど今頃ですよ。この花も昨日入ってきましたから。」
「いいわね。3本頂こうかしら。」
「ありがとうございます。包みましょうか?」
「そうね。送るんじゃないから新聞紙に軽く入れといて頂戴。」
「かしこまりました」
そう言って綺麗な白百合を新聞紙に包み込み女性に渡した。
「代金1800円になります。」
「はい」
お金を受け取った僕はありがとうございました!と女性を送り出す。
女性は商店街を歩いていった。
「今のお客さん、不思議な人だったね〜。」
背後からカーネーションを覚えて上機嫌の雫さんが話しかけてきた。
「そうですね。あそこまで白にこだわっていたのはなんでだったんでしょうか。」
「きっと彼女なりの理由があるんだよ。」
雫さんは仕事はまだまだだが花屋の店長の素質は十分にある気がするとこういう言葉で思い知る。そこへ次のお客がやってきた。その男は客ではなかったのだが彼らは知る由もない。