7. 新しい朝
ちょっと短めです
4月某日。
目覚ましをかけていた時間よりもだいぶ早く目が覚めてしまった。
二度寝する気にはなれるはずがない。
気持ちを落ち着かせるために、日課のランニングに……行こうと思ったが、ここには数日前に引っ越してきたばっかりだ。土地勘がない場所でのランニングは少し気が乗らない。
仕方がないので、顔を洗って軽く朝食を済ませたのち、時間まで筋トレをすることにする。
何か緊張するようなことがあるとき、何か別のことをして気を紛らわせないといけなくなるのは、正直僕の悪い癖だと思う。できるだけなおしたいとは思っているんだけど……
そうこうしているうちに家を出る時間が近づいてきた。
今日は正装での出席だったはず。正装というと着るのが面倒くさいというイメージがなんとなくあるが、僕の場合は「着替える」必要がないため、その点は楽でありがたい。
18年間つけ続けていた白い指輪をゆっくりと外す。こいつとも今日でお別れなんだな、なんてことを思いながら昨日届いた灰色の指輪――フォースリングを手に取ってはめて。
「起動」
そうつぶやくと、一瞬のうちに換装は完了した。
初めて起動したときの体操服姿ではなく、全身が灰色に統一されたEDAの正隊員服。
今は身体能力の強化機能はロックされている。が、「隊服を初めて身に着ける」、この時点でもう気分は最高潮だ。
軽く深呼吸して気分を無理やり落ち着かせて。
「いってきます」と、半分自分にも言い聞かせるようなつもりで家を出る。
前回試験の時に総合センターに向かった時は電車に乗る必要があったが、僕の新居――EDA隊員寮はセンターに徒歩で行ける距離にあるのでとても助かる。
周りにはすでに大勢のEDAの隊員たち。センターに近づくにつれ、その数はどんどん増えていく。
そして到着したセンターの入り口には「祝 入隊」の看板が。
そう。今日はEDA日本支部の入隊式である。
出雲君は、これまで伯父さんの家に住んでました。