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0. ありふれた鮮烈
初投稿です。よろしくお願いします。
燃え盛る炎、ひしゃげた父、潰れた母、そして『鬼』。
昔遭遇した、この世界では特別珍しくもない光景。
幼く、ただ泣きじゃくることしか出来なかった自分がその『鬼』の構える金棒に叩き殺されるのもまた、特段レアな状況というわけではない。
そして。
「怪我はないか!? もう大丈夫だ!!」
鬼を銃で撃ち殺した、灰色のアーマーとヘルメットを纏った男たち。
親を目の前で惨殺され、泣き叫ぶ非力な子供が防衛隊に助けられる。探せばいくらでもあるようなありふれた話だ。
それでも。
涙で霞んだ視界に映る逞しいその背中に、鼓膜を打った力強い声。
あの日、自分を救った、その全てを。
今も鮮明に覚えている。
次話もあるのでぜひ。