42話_エデモアの怪しい発明装置エターナルラブラブリクエスター
エデモアの発明には不用意に近付いてはいけない―――。
これは教訓である。前回、僕はそれを身を持って体感した。
しかし、”僕以外”となると話は別だ。
「シオリ……」
目の前で、後ろ手に縛られている女性、僕が大好きな女の子ソフィア。
何故こんな状況に陥ってしまったのか、それは数時間前に遡る──。
◆◆◆◆◆
その日は、シェイドの手掛かりを探してエデモアの骨董屋をソフィアと一緒に訪れていた。
いつも通りエデモアは広い草原の中で作業に没頭している。前に言っていた天器がなにやら大詰めらしい。
「シオリも~熱心だね~」
汚れを首に巻いたタオルで拭きながらエデモアがこっちを見る。
「なんでもいいんだ、シェイドの手掛かりが欲しくてさ」
「それだったら師匠のとこ行けばいいのに~」
「博士はここのところ留守にしててさ、行ってもいないんだよ」
「ま~、師匠フラフラしてるからな~」
「どこに行ったかもわからないか?」
「わからないね~。何も言わずにふらっといなくなる人だから~」
「そうかぁ…」
「よっぽど気に入ってたんだね~」
「気に入ってたというか、ちゃんと謝りたくてさ…」
シェイドとの別れは唐突だったから。
ソフィアを救うためとはいえ、無理に天界に連れてこられてシェイドは何を思っていたのだろうか。
出来ることなら、きちんと謝りたい、それが頭から離れない。
「私もシェイドとお話したいです」
「そっか~。でも~知らないからな~」
「また博士が戻ってきたら聞いてみるよ」
「こっちでも気付いたことがあれば教えるよ~」
「頼むよ。…あれ、ソフィア?」
気付けばソフィアは近くにあったガラクタの山の前で興味深そうに眺めていた。
「色んな物があるんですね。あら、これはなんでしょうか?」
「ソフィア、そこにあるやつはエデモアの発明だから触らない方が…」
この前の悪夢が甦る。エデモアの発明品によって腕を拘束された僕は、それはもうひどい目にあったのだ。
そして、僕の目の前には両手と両足を金属で拘束されたソフィアの姿が。
両手と両足を拘束されたソフィアの…姿が?
「シオリ…」
「ソ、ソフィア…そ、それは…」
「不思議な形の物があったので触ってみたら…」
時既に遅しだった。
他の人が触ったら、ということがすっぽり抜け落ちていたのだ。
身動きを完全に封じられたソフィア。前の発明品同様、かなり頑丈なつくりのようだ。
ということは、これも何か仕掛けが…。
「エデモアー!!ちょっとこっちに来てくれー!!」
「なんだい~。今忙しいのに~」
面倒くさそうにこちらへやってくるエデモア。
「これって一体?」
「ん~?あぁ、エターナルラブラブリクエスターだね~」
「(また変な名前が出てきたな)」
「なんなんだ、そのラブラブなんたらってのは?」
「奥手なカップルがコミュニケーションをとれるようにつくったやつだよ~。装置から出されるお題をクリアすると装置が外れるよ~」
「お題…」
ソフィアの手首に付いている装置をよく見てみると、液晶画面が付いており『お姫さまだっこしてください』との文言が書いてある。
「これが…そうなのか?」
「そうだよ~。全部クリアすれば解除されるはずだよ~」
「…いくつやればいいんだ?」
「え~っと~いくつだったっけ~?忘れた~」
アハハと笑うエデモア。
ソフィアは困ってすっかり固まってしまっている。
「強制的に外すことはできないのか?」
「無理だね~、そういうプログラム入れてないし~」
何故いれないのかとても疑問なのだが…ないのならなんとかするしかない。
「…わかった。ソフィア、なんとかしよう」
今回の被害者であるソフィアをなんとか救わなければいけない。僕は覚悟を決めてソフィアに近付く。
「ひとまず、家に帰ろう。恥ずかしいかもしれないが我慢してくれ」
「は、はい…」
◆◆◆◆◆
エデモアの骨董品屋から家までソフィアをお姫さまだっこで運んだのだが、周りからの「街のド真ん中でイチャついてんじゃねえ」オーラが凄く、家に着く頃には僕もソフィアも疲れ果てていた。
「シオリ、ごめんなさい…」
「いや、ソフィアが悪いんじゃないよ。エデモアの発明品が面倒なんだ…」
「とにかく、この拘束を解かないと色々不便だな。で、次のお題はと…」
先ほどソフィアをお姫さまだっこした時にピンポンという正解音が鳴った。お題に沿った行動をすると音が鳴る仕組みらしい。
「えっと…『熱く包容する』って…書いてるね」
「は、はい…」
強制的にスキンシップをはかる装置とは言っていたがまさにその通りだな。
…やるしかあるまい。
「ソフィア、やるよ」
「は、はい。お願いします…///」
僕はソフィアの正面に向き直り、しっかりと抱きしめる。僕の腕の中にすっぽり収まるソフィア。髪の毛から優しいいい匂いがしてくる。
ピンポン。
装置から聞こえる正解音。
「これでいいみたいだね」
「はい、そうみたいですね…」
ソフィアの柔らかな抱き心地。もう少しこのままにしててもいいだろうか。
しばらく訪れる無言の時間。
「………」
「えっと、じゃあ次のお題をやろうか」
「そ、そうですね」
もしかしたらこの装置、悪くないのかもしれない。特にペナルティもないみたいだし(拘束されているのが既にペナルティなところはあるが)ちょっとしたきっかけにはいいのかも、などと思いながら次のお題を見る。
『脚を大きく広げる』
「??」
ちょっとよくわからないお題が出てきたな。どういうことなんだ?
「脚を広げようにも、既に拘束されていますけど…」
「だよなぁ…」
しばし考える2人。
「ひ、広げてみましょうか」
「う、うん…」
幸い、ソフィアのスカートはひざ下まである長いやつなので脚を開いたところでも問題ない。
が、女の子がガニ股になるのは抵抗があるのだろう。恥ずかしそうにするソフィア。
「シオリ、あの、目を閉じてもらってよいでしょうか…」
「あ、う、うん…」
目を閉じてソフィアが足を開くのを待つ。
しばらく経ったが、特に音が鳴る気配はない。
「ス、ソフィア?」
「あの、開いてはいるのですが…」
「…もしかして、僕がしないといけないのかな」
「え、」
どうやら僕が脚を広げないといけないらしい。
「そ、それじゃあ…」
「ユ、シオリ……」
仰向けになるソフィアのひざを持つ。恥ずかしそうに目をそらすソフィアがとても可愛い。
なにか、とてもいけないことをしているような感覚を覚える…。
膝をゆっくりと外側に開いていく。
「ソ、ソフィア……」
「シ、シオリ……」
スカートの形状が脚を開いたことによって窪みができる。
このまま顔をうずめてしまいたいくらいに、強烈な誘惑が襲ってくる。
ピンポン。
装置から音が鳴り、そこで意識を取り戻す。
「鳴りましたね……」
「だね。やっぱ僕がやらないといけないのか……」
「あの、脚閉じてもいいですか?恥ずかしくて……」
「あ、う、うん…」
その時、装置の文言が目に入る。次なるお題は……
『内側の太ももを舐める』
「……」
「………」
ここに来て一気にハードルが変態級に上がるお題。このお題を考えたのは誰だ。
「どうしようか……」
「えっと、……」
「だよね……」
ふとももを舐めるにはソフィアのスカートの中に入らないといけない。
それは流石にソフィアも嫌だろう。
「……目をつぶっていただければ。拘束も解かないといけないので」
「…わかった」
僕は目隠し用のハチマキを用意してきて、ちゃんと目が見えないアピールをする。
「じゃあ、行くよ…」
「は、はい……」
ソフィアのスカートを手探りでゆっくり上げる。
「シオリ、もう少し下です…」
「う、うん…」
目が見えない分、手から伝わる太ももの柔らかい感覚とソフィアのいい匂いが僕の感覚を惑わせる。傍から見たらとてもアブノーマルなことをやっているのだろう。ミュウに見られたら何を言われるかわからない。
「…ここかな」
太ももの内側と思しき箇所に触れる。ぷにゅっと吸いつくような柔らかさ。いつまでも触っていられそうだ。
「じゃ、じゃあ、舐めるよ」
「は、はい……」
ソフィアを救うため、ソフィアを救うため……。
自分に言い聞かせてソフィアの太ももを舐める。
「あっ、ぅんっ……」
舌先に、チョコを舐めたような甘い味が広がる。これもずっと舐めていられそうな美味しさだ。
ピンポーン
音が鳴る。正解だったようだ。天国のような時間だったが、これをソフィアに言うわけにはいかない。
「姉さま…何をやっているの……」
ソフィアのスカートから頭を出しハチマキを外すと、そこには何故かミュウがいた。
「ミュ、ミュウ……」
リビングで手足を拘束されている姉のスカートの中に頭を突っ込んでいる目隠しした男を見て、変態以外の言葉が出ないはずがない。
「シオリ、あなたそんな趣味が……」
ミュウのゴミを見るような目。
「いや、これには訳が!!」
「そ、そう!!シオリは仕方なかったの!!」
2人して慌ててミュウに説明をする。この後状況を理解してもらうまで、
数分を要したのであった。




