アシッドスコップ
ここはゲームの世界【IRW】。 【IRW】の中でも一番大きい世界とされているこの…名前は知らないけど、ファンタジーな世界。 そしてこの世界に一番最初に舞い降りたプレイヤーは俺、北乃 冷、ここに来てかれこれ2年経つ…待て、3年だったかな…? ちょっと待って、カレンダー見てくる
驚いた、5年と8ヶ月…良くぞ生き延びたと自分を褒めたいよ
「ん~、日記にしては説明口調すぎるか? まぁストレス解消に良いらしいからな…誰が見るわけでもないし。 もっと前に遡ってみるか…」
だいたい2ヶ月半前のこと、俺はこの世界で唯一無二のプレイヤーだったが世界各地に俺以外のプレイヤーが出現し始めた。
ギルドで仕事を貰うついでにプレイヤーに話を聞くことにした。 2組の女性プレイヤーを発見、それとなく話を聞いてみると、なんとエイデン壮一郎さん以外の者がVRゲームを売り出したらしい…誰だか分からんが、壮一郎さんの技術を盗んだってことだ、解せぬ…
そんなことを思っていた中、プレイヤー2人組の話を聞いてると不意に出た映画の話で意気投合して仲良くなった。 するとプレイヤーの2人組から『一番賞金の高いクエスト、一緒にやりませんか?』と言われたが丁重に断った…俺には到底無理な依頼だ
一番賞金の高いクエスト…その内容はこうだ『湿地帯に住むアシッドスコップの討伐』。 アシッドスコップと言えば、奇妙な木々に囲まれた陰気くさい土地に住んでいる鉄仮面を被った大男って話だ。
それに奴は常にスコップで地面を掘って、発掘したものに強力な酸をかけてる異常者、その姿は鉄仮面と相まって怖さが倍増…このクエスト、いやアシッドスコップの居る土地に行くこと事態がプレイヤー間での有名な肝試しとなっている
ガンッガンッガンッ!
「うぉ! ビックリした…アラームの事忘れてた…ってもう時間? じゃあ…続きは明日書くか」
今から始まるのは北乃 冷の日課、アラームを合図に準備をして外に出掛ける…これはゲーム世界から脱出する為に必要な事だ
身支度を済ませたレイはアンテナのような装置を片手に外へ出る…しばらく歩き回るとアンテナの先端が黄緑色に輝きだした
「今日はここか…」
さて、話は戻るが俺がアシッドスコップ討伐の依頼を断ったのは簡単…この日課があるからだ。
「おい、そこのお前!」
男の怒鳴り声に呼ばれて振り向いたレイ、目の前には武器を持った男女2人ずつ、杖をもった女性1人、合計5人のプレイヤーと思われる男女立っていた
「............」
その5人をレイは無言で睨みつける
「な、何見てんだよ…きよ…今日こそ覚悟しろ!────っ! アシッドスコップ!」
依頼を断った理由がもう一つあるとすれば…俺がアシッドスコップだからだ




