ただ幼馴染とそういう感じで幸せにさせたい小説
こんにちは、含水茶吹です。
普通のやつを書きました。
最後まで読んでくれると嬉しいです。
小さい頃、憧れたヒーローになりたいと願っていた。
困った人を見つければそこへ向かい何か力になれないかと、町中を駆け巡った。
そんな幼少時の思い出。
そんなころなど懐かしく思うような二十年後の今、僕は、佐藤巧は普通の会社員をしていた。
ヒーローになりたいという夢の現実性の無さに気付いたのは結構前の事だが、今じゃ、そんな馬鹿馬鹿しい考えも可愛く思えてきた。
夢も希望もない、生きるために働いてるのに、働いて死にそうになっている現状の矛盾を思えば、ヒーローを目指した方がまだよかったのかもしれない。
帰りの電車に乗り、車内の椅子に座って、そんな現実から目をそらすように、ふと昔の記憶を思い出した。
僕が幼稚園の年長だったころの事。
「泣き虫ー」「バーカ」「気持ちわり―」
と、公園の砂場の上でいじめっ子たちが各々、一人の少女を囲みながら罵倒していた。
僕はソレを見て、そのいじめっ子たちと喧嘩というか、格闘というか。
服を破きながらもそのいじめっ子たちを降参させた。
そして、砂の上にへ垂れ込むように座った僕にその少女が話し掛ける。
「…ありがとう…」
小さな声での感謝の言葉に僕は少し照れる。
「へへへ、どういたしまして。…ねぇ、君なんて言う名前なの?」
そんな僕の質問に少女は笑いながら答える。
「双間詩織…。きみの名前は?」
「僕は佐藤巧」
それが僕と彼女の際者の会話であり、出会いだった。
そこから、数年後、小学三年生のころ。
僕は一人だった。
友人とうまく行かない時期で、帰り道はいつも一人だった。
そんな僕を詩織はいつも捕まえ、一緒にたわいない話をしながら帰った。
「雨、酷いね」
「…うん」
「やっぱ、友達いないの?」
「…うん」
「なら、私が友達、いいや、私が親友になってあげる」
「え?」
「私がたっくんと一緒にいて上げるって言ってんの」
「…詩織、ありがとう」
「へへ、いーよ」
それが僕の初めて親友が出来た瞬間だった。
また少し経ち、中学二年生。
僕は友人が増え、毎日遊び倒すような日々を送っていた。
だが、詩織さんは友人とうまくいかず孤立していて、日に日に表情は曇るばかりだった。
そんなある日、僕は一人、帰路に着く、彼女を見つけた。
「詩織さん。どうした?」
「…巧か、何でもない」
そんなことをいう彼女の顔はとても疲れていた。
どう見ても大丈夫には見えない。
「何でもないわけないじゃん、そんなに辛そうな顔してんのに。何かあるんだったら僕に話てくれよ。」
僕は少し強めに彼女を問いただす。
それが悪かったのか。
ただ出会ったタイミングが悪かったのか。
もうその時には僕のことが嫌いだったのか。
「うるさいっ!!私にかかわらないで!!」
そういって彼女は先へと走っていった。
僕はその時、初めて絶交というものを味わった。
更に時が経ち、高校二年の春、始業式。
ずっと、交流を絶っていた双間さんに再会した。
「あ、佐藤くん?」
「え、双間さん?」
クラス替えが行われ、指定された自席についた時、隣の席にいた彼女と顔を合わせ驚きあった。
「えっと、久しぶり…」
「あ、うん。同じ学校にまさかいたとはね…」
「佐藤くんも、まさかだよ」
「まぁ、これからよろしく」
「そ、そうだね」
ぎこちない会話だが、僕と彼女の間に出来た溝はその時ないように感じた。
しかし、あの時のことにまだ謝罪が出来ていなかったこともあり、それが高校で彼女との最初で最後の会話になった。
僕はその時、友情の修復の難しさを実感した。
そして大学を卒業し、いまに至る。
気付けば思い出すどころか今に至るまでを語ってしまったような気がする。
まぁ、いいか。
今日は少し大事な用事がある。
そんなことは些細な事だろう。
僕は降りるべき駅に到着したことを確認し、降車する。
そして急いで目的地まで、走る。
仕事から直接向かった、オシャレなどみじんも眼中に入れてない服装だが。
それでも待っている人がいるから。
少し残業で遅れてしまったなどと言い訳などしたくはないから。
僕は走った。
荒く息を吐きながら僕は目的地へと到着する。
「ご、ゴメン。遅くなった」
「ううん、いいよ、巧」
「ゴメンな、詩織」
そして、今、僕らは再会していた。
たまたま道端で再会し、今じゃ、友人でも、親友でもない最愛の恋人として僕の隣にいる。
付き合って二年目だが、かれこれ、二十年以上の付き合いの僕らは彼氏彼女の関係というよりは友人と接するような関係が近かった。
世の中は不思議で、学生時代は親友程度にしか思っていなかった人が今になって、最愛の人になる。
大人になるに連れ離れていった二人が大人になり、再び近づき合う。
時間とは不思議なものだ。
「じゃぁ、行こっか」
「ん、そうしようか」
詩織は僕の手を繋ぎ、引っ張る。
それに連ねるように彼女に付いて行った。
それから、少し高いレストランで食事をし、その帰り道。
僕は幼稚園の頃良く行った公園にたまたま行き付いた。
「少し寄ってこうか」
「うん」
僕は彼女に提案し、繋いでいた手を引いた。
久々に見たこの公園はあのときの記憶とは少し違っていて、あの頃にはなかった遊具があったり、逆にあった遊具が無くなったりしていたが、砂場だけは記憶のしていたと売りの形や場所でそこだけ変わった居なかった。
僕は彼女を砂場へと連れて行く。
「…巧?」
詩織が少し不安げな表情を見せた。
それに僕は笑顔を向ける。
そして、鞄の中から僕は一つ、小さなケースを出して、伝える。
「えっと、なんていうんだろうな。その、ここって、僕たちが初めて会った場所じゃんか」
ぎこちないことこの上ないのだが、こんなところで逃げてはいけない。
「でさ、二十年以上、詩織と関係があってさ。今こうして一緒にいる訳だけどさ」
気持ちを伝えそびれたなんて、いやに決まってる。
「きっと昔みたいにヒーローのまねなんて到底できないけどさ。ずっと、これからも先も」
だから後悔しないように言う。
「詩織を守る限定付きなヒーロー擬きでもいい。だから僕と一緒に生きて欲しい」
「僕と結婚して下さい」
そう言って、小さなケースを開け何入っている指輪を差し出す。
詩織は僕のこの光景に目を丸くしている。
そして、少し間をあけて、笑顔をつくる。
その頬につたっている涙を彼女は拭いながら僕に伝える。
「はい。これから、これからも、よろしくね」
その言葉に僕は唖然とした後、理解が追いつき、飛び上がって喜ぶ。
「よっしゃぁ!!じゃあ、これは…」
僕が指輪に目線を落とし、彼女に問い掛けると、
「うん、大切にする」
そう言って、指輪を受け取り、指にはめる。
「…ピッタリだよ。ありがとね」
そういって僕に笑顔を見せた。
まるで出会った時と同じ笑顔で。
こんにちは、含水茶吹です。
ライトノベルのようなものをいつも書いているのですが、今回は結構そういう成分控えめで書いてみました。
意外とラブコメって難しい上に、書き終わって読み直すと恥ずかしいモノなんですね。
自分の乙女具合が気持ち悪くなってきました。
それはさておき、第一回目の○○の中身は幼馴染でした。
どうだったでしょうか。
正直、ぼくから言えばどうでもいい立ち位置だと思っていた存在だったのですが書いていると意外と距離感が難しく、面倒臭いモノでした。
でも、そういっためんどくささがまたいいと思えてしまっているので、それはそれで。
今回はここで〆たいと思います。
では、また次回。




