2.戦闘に見せかけた蹂躙(主人公達の出番なし)
2話目です、今回もあまり進みません(すみませんです)
ここから編集前の話とはかなり乖離が生じます。
「それで、逸話級と言うのは何なのかな?」
「ありていに言えばレア度の固有名称です。βだと中級までが限度でしたけど」
せつめいによると、こんな感じらしい。
下級:初期で持ってる装備全般、回復薬や消費アイテムに付く事が多い
中級:ちゃんとした店で売っている丈夫な物、魔法のスクロールやら
歴史的に価値のあるかもしれないゴミ等に付き易い(つまり
高いゴミは中級以上)
上級:魔法剣やら切れ味が妖怪刀も真っ青な刃物や、歴史的に価値が有り、
且つ有用なアイテム等で良く見られるレア度
あんまり多くないが、腕の良い鍛冶師なら増産できる位。
ただし馬鹿高いので、初心者~中級者には買えない。
聖骸級:再現不可ではないが、再現が難しい儀式によって製造された物に
付くレアリティ、呪いの装備とかもここに分類される。
逸話級:凄いアイテムに付いてるらしい。目撃情報がほぼ皆無、
騎士団の人間で持っている人が居るらしく、唯一その装備の情報と
クジの持つアイテムの能力が近かったためここから推察したらしい。
遺産級:直訳でアーティファクト、オーパーツみたいなものであると示唆され
てはいるものの、遺跡や洞窟での発見例は皆無、目撃情報は裏ギルド
〈常世の底〉に属する高レベルNPCのみ。裏ってなんだろ?
???級:何もわかって無い。と言うか、そもそもこのアイテムの情報を
NPCキャラクター達が意図的に隠しているとさえ思えるほど情報が皆無。
後は不明と言う事だ。(下3つは、この町の住人から聞いた情報を元に
作成した表なので、確定ではない)
「つまり上から2番目のレア度武器って事か?」
「いやぁ?1番上だねぇ」
「?」
どゆ事?
「ガチャで逸話級以上のレア度は出てないのですよ。それでも
上級以上の強力なアイテムは割と出ているみたいで、見せびらかして
フィールドで奪われる事件が既に発生していますね・・」
PK有るんだこのゲーム、まあ、当たり前と言えばそうなんだが。
と言うか、今現在聞きたいことが有る。
「世界級ってレア度は有る?」
「いえ、そんな名前のレア度は聞いた事無いですけど?」
へー、そうなんだ。この効果で???も取れない様な特殊
アイテム要素しかないコレが今最高レアかー。
「持ってるんです?」
お前、分かってんだろうな?今はそう言うフリ要らないんだぞ?
みたいな目するなよ鬼かお前、出すのやめようかな・・。
「はよ」
「あ、はい。これです。タントウノヒトガサイコウレアッテイッテマシタ」
マジで怖いんで落ち着いてくださいマキさん。
「取り出すのは良いけど、良いの?」
「あ、あとで、後で絶対見せてくださいよ!約束ですからね!!」
うーんこの欲望、これが無気力、愚痴魔、オタク特有の早口の
三連打で知られる峯里の本性か、これ会社行った時リカバリー
すっごい面倒なやつじゃ・・・。
「ってかさあ、いい加減出て来いよ。お前等の連れか?」
「へぇ~、気付いてたんだ。意外~」
真昼間なのに黒衣、そのくせ何故か見えなかったと、暗殺者か
何かですかこれ?それか極まり過ぎて一周回ったレイヤーさん。
「 〈マリス・グリード〉の連中ですか、油断しすぎましたかねー。
まだ実働部隊が生き残ってるなんて」
意外にも、現れた集団に1番反応していたのはマキリスの方だった。
と言うか、何かおかしい。人を見る目じゃないぞあれ。
「〈劣化筋力強化〉〈遅延する蔦〉」
「〈水属性付与〉 〈スローイング〉」
「〈小さな炎の針〉〈石の礫〉」
「なーーッ!!?」
「〈そよ風〉」
ヒュンッ、ゴッッッ!!
突如現れた蔓が四肢を固定し、三本の光の針が眼球目掛けて飛んでくる。
辛うじて避けた先、岩の礫が顔面を叩き、弾かれた頭目掛けて凶刃が喉元を
掠る。あぶねえ!?
「刃に纏わせた水を風で・・・、ギミックに精通しているな小娘!」
「っるさい。黙って戦え!!」
ニイィ!
「気に入った!!今日から俺はお前を狙う!」
「ふぅ、僕の事を忘れないでくれるかな 〈劣化魔法防御〉〈砂壁〉〈炎の針〉」
ザグッッ!ジュウウウウ!!!
「ッ――!?」
レンに切りかかった男の両腕が砂の壁に埋もれ、引き抜こうと踏ん張った瞬間、
引いた頭へ炎の大きな針が着弾する。
「舐め切り過ぎですよ〈低位植物壁〉〈最下級魔法吸収〉・・・?!」
バリイイイイイイイイイイィィィィ・・・
魔法の交差、それによる衝撃を感じる筈だったその丁度中央部、
たった一体の甲冑の出現にソレはかき消された。
「「「「!!!??」」」」
『セキュリティー違反を確認、排除します』
機械的な声、空中に制止するそれは、発言を実行に移した。
『〈スラッシュ〉〈重力爆弾〉〈システム〉』
一太刀で2人の首が宙を舞う。あまりの速度に残像を捉える事も出来ず、
困惑した様子の3人が杖を甲冑に向けるが、ソレは杖に腕を重ね、
一つの魔法を唱えた。
ゴト・・キュイィィィィン・・・・
「「「!?ぎぎゃああああああああああ!!!!」」」
その声が、絶叫がレン達に届く寸前、目の前に見えない壁が出来上がる。
壊れない杖が弾け飛び、つき出した腕が圧縮され、放たれた黒い塊に
吸い寄せられる。
グキャ、ボキ、ブシュゥゥッッ!!
「うわぁ・・・グロい・・」
体が黒色塊に吸い付き、空虚な音が辺りをコダマする。それは
痛みを経て死を懇願する囚人の様に、心からの叫びを
悲痛に届かせる。そんな中、両隣に立つ二人はと言えば、
「えげつないねぇ、あれにやられた生物のフィードバック率が
最大になるってところかな?」
「と言うか、β版とは明らかに違いますね。あんな兵士、何処から
持ってきたんでしょう?」
普通に考察していた。怨念の籠った怨嗟の様な叫び声が響く中で、
そんな事を淡々と言える二人を見て地味に3人が引いていると。
ギア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァ・・・・・・
「あ、消えみたいだねぇ。約30秒間か、これだけ長く続いてたんだし
1、2人は折れてるかもねぇ♪」
ゾクッ!
アリを潰す子供を幻視した。まるでそうならなければまだ楽しめるとでも
言わんばかりのセリフだったからだ。無関心なくせに暇つぶしを
楽しもうとする様子はもう、ただただ怖いんですが・・・。
「ですね、また来れたとしても、私が叩きのめしますけど♪」
コイツもか、嘆く先には気弱そうなローブしか居なかったので、
不穏過ぎる2人の会話をこれ以上聞いていたくなかったレンは、
マキリスを引っ張り出し、強制的に会話を終了させた。
グイッ!
「ついでに君も来て、残りの人はあの人に任せよう」
「・・先、行ってるね。にーちゃん」
「っじか!!」
「ちょ、まっ・・」とか聞こえた気もするが、無視して歩き続ける。
後々面倒臭い空気しかしない奴等と関わってられるか!
・・・・宿屋に移動中
目的地の一つ、リポップポイントである場所〈木漏れ日の宿〉の
部屋を取り、食事の再現度に驚きながら着いた寝室の一つ、
考えるのを止めたレンの前で、不満そうなマキリスが
ジト目でレンを睨む。
「何で逃げたんですかー、あの人、割と話せそうだったのに」
「置いてきただけだから後で合流するだろ多分、それに
何処にいるのか分かり易いようにお連れさんにも同行してもらってるし。
それよりほれ、こっちのが見たいだろ」
ポイ
「っと、急に投げないで下さいよ~♪」
案外気にしてないなこいつ。
「はいはい・・・なるほど~、で、何処がレア度上限なんです?」
「ああ、はい、全くもって同感です」
「ギミック系、?の所が全く分からない所以外は何の変哲も無いわね」
楽しそうだった先程と打って変わり、完全に問い詰めモードに入った
マキから不満が漏れる。そらそうだろうよ。大した事無いんだもの。
「装備じゃ無いしなぁ。知らんけど」
「ギミック系なのは分かりますが、ちょっとこれ見てもらえます?」
ゴソッ
「見たが、・・・・で?」
「あ、そか、えっと~、装備の詳細を見ようとしてください」
そこ意識的なものなんだ・・。あ、見れた。
風奮う指輪 レア度:中級
DEF+5 AGI+70 MIN+42 スキル付与:風魔法Ⅰ、忍び足、奮い立つ者
・装着した者に風の如き素早さと奮い立つ勇気を与える指輪。
・全ての者へ力と勇気を与えるこの指輪は、本来力を与える物ではなく、
心を込めた贈り物を用いて試作された作品が一つの力を得たものにすぎない。
・それ程多くの力を与える訳では無いが、ソレはあなたが苦難を切り抜ける
一助となるでしょう。
耐久値(180/180)
制作用の素材:????、???、??
「うーん、強い!交換しても良いぞこれと!」
「戯言に耳を貸すつもりは無いので話戻しますよ」
「辛辣ねあの子・・・」
ひ、酷い!何の感情も無いって声出しおって・・・、完全に興味無いのだと
伝わってくるだろ。傷付くぞ!!
「あー、向こう終わったからもう少しで着くって」
「おーけ~、ありがとな。まあ、こんな感じなんで、
とにかく・・・ねえ、この子話聞いて無くない??」
「勿論そう。と言うか、さっきから割と自分の世界に
入っちゃってるわよ。この子」
「えー、ちょっとクジさん付き合ってください」
「良いけど、多分もう」
ガチャッ!
「置いていくのは勘弁してほしいなぁ、僕ぁ悲しいよ」
「丁度良かった」
ガシッ!
「ちょっと付き合え」
「ん、何この男前な女のーーー!!???」
バタン
「ふむ、しょうがないからちょっと話そうか。名前は?」
これが疎外感か。と思いながら、呆れ半分で置いて行かれた
者同士、ほんの数分世間話に花を咲かせようと言う事になった。
・・・・
バタン
「あ、おかえり~」
「フラム~お土産買ってきたから後で食べよ~」
「あ、あのー、マキさん?」
「分かり易く世界とか仰々しい名前なので、まあ、ほぼ間違いなく
偉業級より上なのですけれど、補正がとても低い割にと言うか
無に等しいんですが、恐らく条件がそろうと何かが発生するのか
魔法でも使えるのか・・・ま、分かんないんで保留ですね!!」
何だろう、俺そんなに声小さかったかな?と言うか、あれ?
何か湧き上がってくる感情が・・・これが孤独か。隣に
フラム居るけど。
「あのー、なんと言いますか。もうちょっと周り見ない?」
「何も間違ってはいない。間違ってないんだけど、ねぇ?」
「へ?・・・あ」
「終いにゃ泣くぞあほ部下ぁ!!」
涙目である。大の大人が正論吐かれて放置された挙句、
男の付き添いの少女に、捨てられた犬みたいな扱いを受けている様子は
とても滑稽に映ったようで、クジは肩を揺らしていた。
「それで、分かった事を聞きたいんだけど、聖杯って名前だし、
アーサー王関係なの?」
「そも元ネタからして意味不明な物なのでなんとも・・・。正直聖杯とか
後付けの所為で大体全部の作品に登場しちゃうんですよねー」
「それがどの聖杯なのか分からないと駄目だねぇ。
話に登場するどの聖杯の特徴とも違っているから、多分
このゲームの時代背景から探るのが良いと思うけれど」
「私、聖杯伝説は好きじゃないので知らないです。なのでkwsk」
黄金の器に二筋の銀色、イギリスを思わせる赤青緑の三色(それぞれが
各首都の国旗を足した色になっている)に、赤い十字架を用いた
少々カラフルな見た目をしている。少なくとも、聖杯と呼ばれる程
重厚な面持ちは感じられないが、・・・見ていると何かが湧き上がってくる。
「知ってる話から推察するだけならまあ、でも、配色がもうおかしいねぇ。
イタリアやノルウェーなんかを合わせた配色に、赤十字、デンマークとか
こんな感じだっけ?デザインから探らせるならそこら辺」
「イングランドじゃないか?」
はて、何故俺はコレにイギリスやイングランドを思い浮かべたのだろう?
関連は深い筈だが、正直ウェールズ国旗とか覚えてないぞ俺?
「あー、これ中央がズレてるのか。確かにそれっぽいねぇ、ジョージアとかも
似てる?余計なの何個か付いてるけど。じゃあ、イギリス前提で話そうか。
って事は、テアリマタヤのヨセフ関係だね多分。キリスト処刑の話・・
は、流石に聞きたくないよねぇ。でも、彼が出るなら」
「待て待て、流石にロンギヌスが出るのはやりすぎだろ!!」
明らかにおかしいだろその人選。宗教関連に該当する人間を
敢えて出す様な事をあの会社開発でやるとも考えにくい。
自主製作と言っても、流石に最初期の規約に盛り込んでると思うし。
だったらまだイギリス関連の誰かを召喚する方がまともだと・・・?
何で召喚だと決めつけたんだ俺??さっきから思考が変だな。
「なんの話を・・?」
「いやあ、世界なんて名前だから、人くらい普通に召喚
出来るんじゃないかなーって」
大分ぶっ飛んだ思考だが、まあなくも無いだろう。じゃあ、
仮にそうだったとして誰が入ってるんだろ?
「そこはまた色々検証するとして、ほらそこの幼女に抱き着いてる羨ましい
おじさん、立って歩く!!」
「抱き着かれてないぞ、声小さいからめっちゃ近くで聞いては居るけど」
「〈フラム〉、君、こんなに距離縮めるの早かった?」
少女の名前はフラム(リアルの名前は聞かなかった)、現在中学3年生で、
文化部で料理してるらしい。久時と俺の母校出身だったため、面倒な
教師の話から、そこそこ使える購買のおばちゃん活用術まで、
ちょっとだけ話をしていた。なおリアルに寄った話をすると
声がどんどん小さくなっていったため、取り敢えず
距離感的に0に等しい位近くで話していた。それを見てクジは爆笑した。
「アハハハハハ!!コー君超ちけえ!」
「んー、あー、そうか、そうだな。ごめんなさい」
俺、距離感、苦手。声が小さくなったのもこの所為か。
悪いことしたなぁ・・、次は改めないと。
「あ、はい。・・・そーれーでー!」
「おぅ、どしたの大きい声で?」
「裏ギルドについてとアイテムの守り方が先でしょう!」
「あー、それはそう」
「なにそれ?」
・・・
「先程は取り乱してしまいごめんなさい。えー、初心者の
お二人には私が職業とギルド、そして裏ギルドについてお話
させていただきます」
「その前に、お気に入りアイテムの所に現在持ってる一番
レアリティーの高いアイテムを入れて!!」
「おぅ、話の腰が一瞬で折られてしまいました・・・」
「それでアイテムがロストしなくなるよ。一つだけだから
ちょっと注意が必要だけどね」
なお、二つ目以降は一つ目前に登録したアイテムがお気に入りから
外れるシステムみたいだ。めっちゃ不便だな。消えないのは
とても良いと思うが。
「へー、そんな事が」
「知らなかったのかマキ?」
「はい、知りません。そして名前マキで決定ですか。良いですk「ミュール
のが良いか」すみませんごめんなさいマキで!むしろマキでお願いします!」
「で、裏ギルドって?」
「それは「ん”ん”!!」この人に任せるわ!」
フラムの話を遮り、おずおずと前に出たマキの説明が始まった。
お前年下相手にムキになるなよ・・。あ、これ知ってるのクジと俺だけか。
「裏ギルド、別名暗殺ギルドとも呼びます。これは、盗掘、窃盗、強盗等の、
所謂犯罪を行って報酬を貰うギルドの事を指します。ちなみに、賞金首に
名を連ねている人の一部も裏ギルド所属の人間です。βでは普通に
街を練り歩く高レベル賞金首も居たので、狩られない人や、その街や村では
友好的な人間も居る。と言う風に覚えておいてください。下手して
敵対=コミュニティー全体を敵にする可能性も有るので」
まあ裏ギルドについてはこれくらいですかね。と、話をギルドに移す。
「基本的なプレイヤーが所属するコミュニティーです。ギルド間での
移動が出来るので、登録すると国と国の間を抜ける事も出来ます。
裏では出来ないので、密入出国と言う形でしか行き来出来ません。
こちらは基本的に、アイテムの入手や、モンスターの討伐なんかが
多いです。あと、未到達区域の調査等も含みます。ランクも有るので
上げたければ素材の納品をお勧めします。討伐は強さの境界線が
曖昧過ぎて、レベル5で勝てた敵と同じランクの依頼なのに10でも
勝てない様なのがゴロゴロ出てきます。なので、討伐はwikiを
閲覧しながらやって下さい。職業は・・・」
ここで一つ区切り、マキはフラムと・・・名前わかんね。男の
方に視線を向ける。
「新しい情報とかありました?」
「炎の魔法使いならオルコット雑貨店から推薦状を貰えば
騎士団で手に入るわよ。今日確認したわ!!」
「騎士はエジルさんに推薦書を貰えば行けるねぇ。重戦士は
不明だけど、多分鍛冶師の誰かに話を聞けばって感じっぽいかなぁ。
あと、炎の魔法使いもエジルさんで行けたよ?」
「え、ほんと!?無駄骨だったのね・・」
「と言う感じで、特定の職業に就く為には、その条件を発見
する所から始めなければいけません。魔獣使い〈テイマー〉
魔法使い〈メイジ〉、戦士〈ソルジャー〉、拳闘士〈グラディエーター〉
に関しては、ギルドで最初から推薦状を書いてもらえるので、
比較的簡単な職業として、およそ7割のプレイヤーがこの
職業に就いています。なお、あまり強くないテイマーは
ハズレ分類になっています。後から強くなる系ですね多分」
なるほど、取り敢えず候補は有るが、上位分類に属する職業に
ついては、別途推薦状やらが必要になるので勝手に探せと。
テイマー有るなぁ。でも弱いのか、どうしようかなあ・・。
「世界観は皆から話を聞けるので、もし知りたければ図書館か
ギルドの人に話聞いてください。過去とか向こう300年位
遡って知れるのでお勧めですよ。で、レンさんの話で忘れて
たんですけど、クジさんのその槍ってレア度いくつですか?」
「上級には自己成長とか付いて無かったし、多分、逸話級で
間違い無いと思うのだけど」
「逸話級では無いみたい。遺産級〈アーティファクト〉になってる」
「・・・待って、ん?アーティ・・ファクト?」
「確率おかしくね!!?」
フラム兄からネットリしていたあの口調が消える。何%なんだろ?
「課金額上限の人500人位居て逸話級0なのに、遺産級だぁ?」
「落ち着け、そして上限有るんだこのゲーム」
「テキスト量は?上級でおよそ150文字前後が普通なんだけど」
「多分、・・8000字以上書いてあるみたい。多いね」
「流石に長くねえか?」
自分のアイテムとの差を感じて、気づいた時には不貞腐れ気味に
つぶやいていた。だって格差が酷いんだもの。
「だよ・・・・・あれ?」
「どうかしました?」
テキストを見て首を傾げるクジにマキリスが話しかける。
「レア度ってさ、確か今の所予想してるだけで特に分かって無いんだよね」
「はい、簡単に分かる下中上より上は住民の話とアイテムの性能で
判断してますね。それが何か?」
「この文を見てくれるかな」
ピコン・・
クジから送られた1文に書いてあった事は、
分かり易くレア度を判断出来る物だった。
・・・であり、聖骸級から逸話級へ、逸話級から遺産級へと進化を遂げてきた。
・・・現在では本来伝説級の力を持つ槍も長き年月を経て劣化し、
もう2度と進化する事は無いだろう。
「‥‥おあつらえ向き過ぎるだろ・・・」
んで、俺のアイテムのレア度出てないんですが・・。意味わからん。
「まあ、それは後で掲示板に書いておくとして、これからどうします?」
提案、と言うより先にやっておきたい事を聞いているマキリスを見て
クジがマキリスにとって衝撃的な言葉を放っていた。無意識だったが、
「ギルドに行って職業選択!」
「だね、僕らまだいけてないし」
「・・・・ええ!?まだ行って無かったんですか?」
「推奨されてなかったっけ、あれ、僕の勘違いかなぁ?」
「全く分からん。そも説明書とか付いて無かったもん!!」
「こーさん、ランチャーからタイトル画面の右上見て」
言われるがまま右上を見ると、最初に※と書かれて強調表示
されたお知らせのマーク。なるほど、これか。
「ぁ・・ほんとだ」
「え”・・見てなかったんだ」
「タイトルのスタートボタン見たら他見えない人です。さーせん」
「僕達2人は用が有るのでここまでだけれど、取り敢えずフレンド登録を
お願いしたいなぁって!」
「パス、もうフラムから聞いたからお前のは聞きたくない」
「僕は良いよー」
「私も良いですけど、どしたんです?」
「愚痴聞いた者同士のあれこれが有るんだよ色々。同じ理由で
マキの登録もパスだとよ」
そこ、マジかよ・・みたいな顔やめい。だから避けられるんだぞお前。
「あと、マキリスさん、貴方にはGMから警告を。初心者同士の
関わり合いを助けるならコミュニティ単位でやって下さい。
そして少年少女に無差別に声を掛けるのは可能な限り控えてください。
何故10代後半以降の子には話しかけないのでしょうか。怖いです。
との事です」
「えー、かわいいじゃないですか小さい方が」
そこ肯定すると犯罪者の仲間入りした様な気分になるからノーコメント。
何でこいつは犯罪者になって無いんだろ。背筋が寒くなったぞ・・・。
「先に言っておきますが、私人としても怖いので止めてください。
リアルの事何一つ聞いてない辺りガチ感が強過ぎるので本当に」
お兄ちゃんガチ説教である。あたりまえなんだよなぁ・・・。
と言う問答がありつつも、時間になったので兄妹は去って行った。
ただの良い人だった。一般プレイヤー的にも。
次
謎の二人(兄弟)の登場回でした。まあ、今度出てくるロプト君と同類です。
マキは結構シビアな人なので、十代後半以降の人に厳しいのにも一応
理由が有ります。
話の中で言ってたことも本当ですが(おいおい)。
一応みんなの関係性を設定見ながら構成しなおしたので、頑張って
矛盾少なめで話を進めます。ただ、超ぶっ飛んだ話も多くなるかもしれません。