表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/86

1.World Seeds Online

初投稿なので、拙い文章+粗の多い描写+微妙なストーリー(行き当たりばったり)

ですが、お付き合いいただければ幸いです。

誤字脱字、説明して欲しい事等

可能な物は感想に書いていただければ描写&訂正します。


(エタらない様に頑張りますが、出来なかったらすみません)


思ったより長げえ・・・(終わらせます。絶対)



「ゲーム・・・か?」

「ああ、うちの提携会社から発売したらしいのだが、完成度が

 いまいち分からないと言う事なので、、君とアリス(・・・)に確かめて欲しいと言う

 事だ。第四世代のコクーンだが、君も持ってるな?」


 いつもと同じ挨拶から始まった、いつもと違う会話に、

 〈西藤(さいとう)克己(かつみ)〉は眉を(しか)めた。


 ・・・・



 そもそも、この会話が始まった経緯には、2人の人間が関わっていた。

 

「課長?」


 5歳下の新入社員〈峰里 翠(みねさとつばさ)>、みどりなのに

 つばさと読ます変な名前の奴に話しかけられたのが、事の始まりだ。


「悪い、聞いて無かった。何の話だったっけか?」

「ですからー、明後日配信のゲームはすごいんですって!」

「ゲーム?」


 入社二年目と言う事で、そこそこ仕事にも慣れて趣味の話を聞くのが

 最近のルーティーンになっていたが、こいつが過去作以外で

 話題を振って来るのは珍しいな・・・。


「どんなジャンルなんだ?」

「エターナルズみたいな感じらしいです!!知りませんけど!!!」


 ふむ?これまた珍しい。有名ゲーム(・・・・・)を引き合いに出す割に

 内容を知らないのか。


「知らないのに話すって事は、何かあるのか?」

「今回は没入感が凄くてですねー、あ、私βテストやったんですけど、

 久し振りに興奮が止まらない!!ってゲームだったんですよ!!!」

「落ち着け、熱量はすごいがよくわからん」


 一応ある程度知名度のある作品は知ってるんだが、触れると仕事か

 睡眠時間のどっちかが削れそうな作品はやっていない。と言うか、

 そも2年に一度更新する今の環境について行けなかった

(26歳、睡眠時間7時間強の人間並感)。


「変な顔してますよ課長?」


 ここでまた変なのが話しかけてくる。挨拶なら他に有るだろ色々・・・。

 まあ、勝手知ったるって事なんだが・・。〈塚元(つかもと) 久時(ひさとき)>、

 高校からの同級生で、紆余曲折有りながら呉越同舟した間柄、

 と言えば美談に聞こえるだろうが・・・。


「あ、まさか部下を口説いてたんですかぁ?いやらしいですねえ課長~」


 完全に偶然の産物だし、上司じゃないけどこいつのが先輩に当たるので、

 軽口は日常茶飯事、なんなら社内での噂のほぼ半分がこいつ出な

 気すらする。何で俺の好みのタイプが社内中を駆け巡ってんだよ。

 ってかおい、


「100%無いの分かってて言ってんだろお前、何でこんなちんちくりんに

 俺が惚れるんだよ。冗談ならもうちょっと笑わせろ!」

「力強く言う事じゃない!!」


 バシィ!!


「ッ!?っあ・・・はい。すみませんでした。ステキナジョセイニムカッテ」

「あー、ごめん。ちょっとからかっただけ」


 渾身のギャグ(・・・)が滑ったので撤収、何だよ、別に笑ったって

 良いじゃないか。普通に引くなよ久時(・・)


「課長は後でクレープ驕ってください。久時さんは焼肉です!

 絶対ですからね!!」


 思ってもいない言葉を口に出した代償にしては軽いか、

 良いだろう。トッピングできる店で全部乗せでも甘んじて受けよう!!


「うーん・・・それが罰じゃ軽いですかね?」

「いやいや、峯里さんの食欲からすれば「お前一回黙れ」・・はーい」

「後で考えとくので、取り敢えずご飯食べましょ」

「・・・ベイクドチーズ驕るから機嫌直せな?」

「わーい!」


 うーむ、単純。。。


「皆良く食べるなぁ・・」

「あいつは多すぎだが、お前は少な過ぎるだけだろ。タマゴサンドと

 シーチキンと・・・何だっけその野菜?」

「リュカです。出汁みたいな味がするので、今度買ってみて下さい」

「へー、んなの有ったっけ」

「最近出来たみたいですよ~。入荷したの二度目なんで、まだ

 あんまり出回って無いみたいですね」


 だから食堂に来たのか。いつもはコンビニか作って

 来る奴が珍しいと思ったら。。


「そんな野菜が、知らなかった。・・サンドイッチ以外にも

 何か食えよ。別に不味くは無いんだし」

「ははは、仕方ないですよ習慣みたいなもんです。それに、お弁当持って来て

 注文するでも無く食べてる課長に言われたくありません」

「だって高いし、味薄いから俺の好みじゃないんでな」

「課長だって人の事言えないじゃないですか・・フフッ」


 軽口を叩きつつ、峯里の分の水を持ってきた辺りで彼女が

 席に着く。生姜焼き定食か、日替わりの中だと当たり引いたな。


「それで、ゲームと言ってましたけど、例のアレですか?」


 さも当然のように先程の会話を聞いていた久時が物知り気に話し出した。


「ん”・・ゴクッッ!そ、そうなんですよ!ケホッ、課長は、

 知らないみたいですけど、β版が出た頃からそこそこ有名になってるんですよ?

 タイトルは・・なんでしたっけ?」


 そこ覚えてないのか。


「〈World Seeds〉だっけ、エターナルズみたいなタイトル=世界観な作品と

 違って、なんかふわっとしてるよね。このゲーム」

「種要素何処?って感じでしたからねぇ・・・。いえ、北欧神話とかで

 補強出来そうな考察とか出てましたけど、何分情報が少ないので・・」


 北欧神話・・・あー、ユグドラシルの話か。あれなら確かに

 種子や樹に関係している可能性は高い。・・・が、どちらにせよ

 中身がさーっぱり見えて来ないんだが・・。


「でだ!ゲームの内容と何処が凄いのか教えてくれない?」

「今回のはAIが完全自主制作したソフトで、登場人物に特定の

 思考プロセスを与える事で、ストーリーが個々に完結する

 タイプのゲームになったみたいです。没入感が強くなったのも

 ポイントらしいですよ」

「AIの自主製作ソフト、ねえ・・・」


 2065年頃に始まった計画で、進化した(・・・・)AIによる自主製作ゲームが

 70年代中盤まで続いた。ちなみに、内容的には大衆心理を

 突いた作品がとても多く。割と売れる作品を量産した。

 が、人間が一度も手を触れずに作られたゲームか・・。ああ、

 嫌な思い出がよみがえる・・・。


「今回は完成してると良いなぁ・・・。仕上げを御覧じろ。か」


 そんな皮肉にも似た感情を吐露した克己は、弁当を食べ終え茶をすする。


「先行くな。ゆっくり食えよ久時。上がるぞ峯里」

「え、まだお味噌汁残ってええええ!!!」


 さっさと食べない方が悪い。あとで休憩増やすからはよ来い。

 みそ汁は責任を持って久時が処理するからはよ。


 ・・・



「課長の鬼・・・」

「食べるの早いくせに好きなものに時間掛けすぎてるお前が悪い。

 それに伝えてたろ。ほい、人事の葉八伊(よばい)さんから話が

 有るから、今から応接室行ってこい」

「あくまーー!」


 なんとでも言え、聞いて無かったお前が悪い。


「元気ですねぇ克己君達は」

「お早うございます御剣さん、珍しいですね。ヤマさんですか?」


 〈御剣 要〉直接の上司とはまた違うんだが、会社における

 3番目の地位に居る人、と認識している。実際は知らない。

 聞いてもはぐらかされるし。


「いえ、今日は暗愚な部下にお説教をと思いまして。ヨウは今

 どちらに?」


 ヨウ、葉八伊さんの別名である。葉っぱだからヨウ、単純だが

 まだマシな方の呼び方である。酷い時には愛妻家なのに

 不倫さんとか部下に手ぇ出してそうとか散々な言われ様だった。

 なお、一言でも話すと疑惑を掛けた人間にドロップキックしても

 許されるだろって位のろけるので、社内では浮いている。この人も悪いな。


「あー、今峯里と話してますけど」

「みどりちゃんとですか、珍しい組み合わせ・・・いえ、むしろ

 当然の人選でしょうかね?」

「自分に聞かれても困りますよ。お説教って何のですか?」

「秘密です。。」


 にべも無い。これは聞けないか。・・・まあ、予想出来るから

 当てるけど。


「ちなみになんですが、御剣さんが秘密にするのは大体3つの

 事だけだって知ってましたか?」

「詮索好きですねぇ・・、いえ、失礼、執着(あいちゃく)は大事ですね」


 お気遣いどうも。それでも続けるが。


「まず家族の事、んで今回だとプライベートでしょうか」

「・・・さて、どうでしょう」

「とぼける時も散漫な視線で分かるので無駄ですけどね。まあ、そろそろ

 終わると思うので、暇つぶしにはなったでしょう?余計な

 お世話では有りますが」

「・・・相も変わらず性格悪いですね貴方は」

「ありがとうございました!」


 それは失礼、でも怒らないんだよなぁこの人。にしても、

 プライベートの用事ってなんだろ?


「お疲れ~、後で20分休憩増やして良いから先にあの件終わらせとけな」

「了解です!あ、御剣さんおはようございます!!」

「ええ、おはようございます。いつも元気ですね、あなたは」


 まあまあ、皮肉より先にやることが有るだろう。っと、出てきた。


「う”、御剣さん・・・」

「おひさしぶりです。1か月前が最後に会った日でしょうか」


 うん、有罪。御剣さんが用のある人に会わないとかありえないから

 逃げてたんだろう。うちの人間から逃げ切るとか不可能なの

 知らないわけが無いでしょうに。


「あ、う・・・西藤さん、来て下さい!!」

「その前に例の案件の話をしたいのですが」

「申し訳ありません!こちらの方を優先したいのですが、宜しいでしょうか!?」


 ヒステリックに言う男の声に若干引きつつ、御剣の方を見る。が、

 いつも通りの冷静さで、御剣さんは口を開く。


「構いませんが、可能な限り早くしてくださいね。時間は有限なのですから」


 返答を待たずに部屋に引っ張り込まれた。力強いな・・。


「はぁ・・・すまないね克己君、吸っても良いだろうか?」


 カチッ


「良いですけど、その返答待たずにやるのはどうかと思いますよ」

「フゥー・・・私もそう思うよ。先日娘にも言われてしまってね」


 御年39歳、それが克己より歳が下の人間に詰められてる感想とかマジで

 聞きたくないので、そっちに話題振るか。


「高校生でしたっけ、お父さんなんて~とか言われてます?」

「はっはっ、幸いそれ程嫌われてはいないよ。それが辛い(・・)

 所なんだが。・・ここに来てもらったのは、おい、いつの間に入った

 穂積(ぐーたら)

「えーっとー」


 ガンッ!!


「---ッ!!?」

「なんで穂積が?」


 穂積裕也、此処で製作した背景やBGMを担当している開発部所属の

 エンジニア・・・みたいなものだ。ってか、開発部からここまで

 20分位掛かるんだが。


「う、うちの主任から伝言です。アリスも連れてけって」

「アリス?アリスが何か??」

「これを見てもらおう」


 映し出された光景を端的に言うなら、怖い程リアルに描画された

 映画、だろうか。見ていて思った事をまとめると、全年齢対象作品、

 頭おかしいんじゃねえの!?と、フォントから、ゲームである事

 あと、何か見た事ある奴が聞いた事無いセリフを吐いている

 羞恥プレイに頭が痛くなった。マジでなにあれ・・。


「ゲーム・・・か?」


 ・・・・前の流れに戻る



「正確にはみどりさんに話したのだが、本人からの推薦が有って

 君に声を掛ける事になった。どちらにせよ、アリス(・・・)

 関わっているのだから、拒否権はもう無いがね」

「おっちゃんのおにー!!穂積、テメエ何余計な事言いに来てんだよこの野郎!?」

「俺は悪くないもんねー^ー^」


 うわうっぜ!お前今度覚えとけよ。姉ちゃんのとっておきのワイン

 飲んじゃって、別のワイン入れて誤魔化してたのチクってやる!!


「なんとでも言いたまえ、君に批判される事なんて、要君に

 問い詰められる事に比べたらそよ風みたいなものだからね」


 格好悪いぞこの上司!!


「拒否権を行使します!具体的には有給休暇取って別の

 人間にやらせますよ俺ぁ!!」


 アリスと仕事とか普通にやりたく無いんだよほんと・・。


「そんなもの、許可する訳がないだろう。終わってからなら

 好きにしなさい。それに、君以外では外注になるだろう。内々に

 見て来いとの事なので、4人居る管理者の一人を動かす位なら

 君にやらせた方が良いとの事だ。別に、アリス君を使って

 自由にやらせても良いのだがね」

「ハアアアァ・・・・伝手で漏れないようにするんで別の人雇っても良いですか?」

「構わない。が、アリスの貸し出し(・・・・)だけは向こうに一任された

 事なので、バイタル管理と追跡機の埋め込みだけはしておくように」


 疲れ果てて抗議する気力も無くなった克己に、受けたのなら

 退出して良いとジェスチャーをしながら煙草を吹かす上司を置いて、

 御剣さんへ全力でへこませてやってください!!とハンドサインを

 送る大人げない男、それが西藤克己だった。


 ・・・・



「終わったら提出、ってかよー、やって無いって言ったろ。

 何で第4世代なんて高いもん買ってると思ってんだよ!」

「あー、はい、それなんですけどね!一緒にやりましょうよ!」

「は?」


 おかしいな、こいつ人の話を徹頭徹尾聞いてないのか?


「お前、人の話聞けな?」


 ハー・・・ぐりぐり!


「痛いです痛いです!?パワハラ反対!」

「もう一度だけ聞く、誰が、誰と、何を、一緒にやるって?」

「課長が、私と、何なら久時さんも、一緒に、ゲームを、やりたいです!!」

「・・・お前ハード持ってるの?」

「勿論です!!」


 第4世代型コクーン、安いもので40万ちょっとと言う吐きそうな額が

 消し飛ぶPCの上位互換みたいな物で、2年に一度買い替え無いと

 アップデートされない事や、メンテナンスが面倒と言う欠陥を

 抱えるも、何故か売れてしまったクソモデルである。正確には

 別に汎用ハードも有る。が、機能制限がエグくてゲームやってる気が

 しない。なお、克己は第1世代で挫折していた(当時価格26万、高い)。


「マジかよ・・・。あんな金ドブ何で買うんだ?」

「買ってませんよ?社長夫人から貰いました!」

「可哀想な社長さん、せめて安らかに眠って下さい・・・」


 それで最近落ち込んでたのか。せっかく貯めたお金で買ったのに、

 確かアレ売り出してまだ5カ月とかだったような・・・。


「で、どうせ経費で落とせるのでどうせだったら仕事とプライベートを

 両立させつつ一緒にやれるかな~って・・」

「あのなぁ、あの人俺が第4持ってる前提で話進めてたぞ。こう言うのは

 先に色々言っとかないとだなあ」

「え”、マジですか!!?」

「マジマジ、ってか、この件は外注で回そうと・・・おい、その目はズルいぞ」

「なんの事でしょ~」


 小動物の懇願みたいな表情やめい。俺を罪悪感で潰す気か!!?


「はぁ・・・検討はしておく、じゃあ「ありがとうございます!」

 まだやると言った訳では無いからな?」

「だいじょぶです!だってかちょーですから!!」


 何その嫌な信頼、断れない人みたいなベクトルの

 信用受けてるの俺?


「って事はだ。内線掛けて、何処だっけ、あー8部署の塚本に」

《なに~》

「お前もアリスの管理権限一部持ってたよな?」

《あるけど、僕のは管理と言うか観察とバイタルチェック、

 管理権だったら千崎さんかとっくんのどっちかだね》

「バイタルチェックだけで良い。ついでに査定もやるから

 今から言うものを2日以内に購入、設定しておいて欲しい」

《おっけー、舞台で使う照明機材の使い方覚えた時の感じね。何買うの?》

「第4世代型コクーン、完全生命保護装置付きのやつを一つ、

 あと、バイタル確認用のモニターを、確かアレは録画に

 別端末が居るタイプだから、リンク用にコード買っとくと良いかも」


 ・・・Side久時



「え”・・・今その型100万位するんだけど」

《値上がりはいつもの事だ。アリスも後で参加するから、一応

 対応策は用意しとけ。逃げるなよ。査定0で通されたいなら

 話は別だがな》

「アリスちゃんか~、迷う所だね!」

《迷うな、俺は強制だから補助が欲しい。頼めるならありがたいが、

 駄目なら後で連絡くれ。レイン(・・・)みたいな事にはなりたくない》

「了解~、じゃあ切るねー。・・・何やってんだろあの人」


 しち面倒だし参加する義理も無いのだけれど、ボーナス壊滅は

 避けたい。アリスと会うのはマイナスだけど・・・まあ、


「とっきー、飲み行こー」

「ごめんねー、今用事入ったから無理だわ~。ボーナス査定も明後日から

 あるから、1週間位は一緒に行けないかも。先謝っておくね~」

「おっけ、じゃあ1週間後また飲もう!!」


 少しの嫌な表情と本音、それらを表に出すこと無く、久時は

 同僚とのたわいない会話を終わらせる。


「あー、じゃあ帰ろっ。お疲れ様です!!」


 ・・・・Side克己



 会社が終わって家に帰り、商品カタログを参照する。


「えーマジか、悪いこと言っちまったな」


 最短3日後の配送である。明後日って言っちゃった。ごめん。


「はぁ、メッセージ転送《購入と配送はこっちで手配するから任せろ。

 到着までの日時見てなかったすまん》でと、指定通信《カゲー、助けて―^^》」


 ・・・・2日後、そこにはオムニケート社の専用ハードが到着していた



「思ったよりデカかった」


 縦1.8m横1.5m奥幅2.8m重量にして60㎏程

 スペースが余っていなければ持て余す大きさだ。


「じゃあ初期設定教えて先生」

《良いけど、何で今?》

「うちだと君か峯里しか居ないから。今日アイツ出勤してんだ。頼む」

《かつみん、もうちょっと交流の輪をね?》

「小言は聞かんぞー」

《はいはい、あれ、とっきーは?》

「そろそろ指定時間だから・・っし来た」


 purrr・・・・・


「・・・・おうヒサ、着いたか?」


 ・・・・Side久時


「かっちゃん、ウチ、マンションなんだけど」


 克己の2割増しの大きさを誇る、完全にぶっ壊れ価格のAMJ(最低価格1000万↑)

 を覗けば最高級品が家に有るのは良い。けれど、大きすぎてもう

 生活スペースを完全に喰われているのはダメだろう。いや、駄目絶対。


《ここまで大きかったのは誤算だったな。はっはっは》

「笑ってないで聞いてよ!、入ったには入ったけど、生活スペースが・・・」


 2Kのマンションにこれはもう引っ越せと言われてる気分だ。家に

 誰も呼べないなぁこれじゃあ・・。


《どうせ呼ぶの山本君とか千崎位だろ。良いじゃん別に》

「本気で言ってんのそれ!!?」


 克己と一緒にされるのは何とも納得いかない。いっぱい居るもの、

 主に女性だけど。


《取り敢えず始めるぞー》

「はいはい、ほんと勝手だなあかっちゃん」

《あなた達の為に休日が半分消えているので、早くして下さい》

「おー千崎さんか、影君に頼むと思ってた」

《うん、アイツも仕事だったから断られた。悲しい》

《だから・・・もう、始めますよ》


 ・・・・設定諸々




《インストール完了、初期設定を完了します》

《PCの初期設定と同じ様にして欲しいんですけど、何で

 こんなに手間なんだろ?》

「デバイス毎に別のソフトをインストールしないといけない

 メーカー設定を思い出したよ・・。あれ何年前だっけ?」

《覚えてないから多分9年とか》

《此処までで一応設定は終わりです。あとはソフトウェアによって

 変わるんですが、何をやる予定でしょう?》

《えっとねー、久時には今送るからギフトで受け取っといて》

「おっけ、貰ったけど・・・んー?どれ?」


 送られてきた無数(40作品)のゲームソフトが羅列し、

 そのどれもがある程度新作でリリースしたばかりのものだった。


《あのー、あれだ。前峯里とお前が言ってたやつ》

「あー、はいはい、起動する前に痛覚設定切ってね。アレ

 確かある程度貫通してダメージ受けるみたいだから」

《作品名位覚えても良いと思うのですが・・・》

《起動してプレイしてやっと覚えられる人なので(´・ω・`)》

《かつみん・・・》

「千崎さんはこれから用事あるの?」


 まあ、無ければ此処に久時が居る訳が無いので、どんな用かなー

 程度の質問だ。なお、返答したのは克己だった。


《私用だと。即断られた》

《そう言う事です。恐らく今日β版が開けるゲームだと思うので、

 起動する時にゲーム終了までのステップ位は履修してくださいね。

 前それでうちの副所長が叫びだす怪事件が起こってたので》

《分かったー。ありがとなー》

《失礼します》


 トンッピッッ


《始めるぞー、サーバーだけ東1にしといてくれ、指定されてる》

「ちょっと時間掛かるかも知れないけど、先に着いたら目立つ

 場所をメッセージで送っといて」

《了解》


 ・・・・Side克己



 アナウンスが流れ、真っ暗だった視界に画面が浮かぶ。

 流れているイメージ映像と開始画面を流し見しながら、一応念のため

 ゲームを終了し、再起動してから開始する。


「ほんほん、何処ここ?」


 虚空、あるいは暗闇の中、或る生物に光が当たって行く。その人物は

 ファンタジー作品において長命種として知られる種族、エルフに

 よく似た眉目秀麗、長い耳を持った高校生くらいの見た目をした

 女だった。


「ようこそ 〈World seeds〉の世界へ、今から活動をする上での

 容姿の決定キャラクターエディットを開始いたします。現在、

 デフォルトは貴方の顔を元に作られています。変更いたしますか?」

「変えます。髪色を黒から焦げ茶に変更、身長を7㎝低く、鼻を高く、

 目の色を灰色に」

「現在の容姿については手動での操作をお勧めいたします。容姿の

 確定までにいくつかお答えいただきたい質問がございますが、

 許容可能であれば問答を開始いたします」

「大丈夫です・・・っと、あー、これが?うーん??」

「・・・本当に大丈夫でしょうか?」

「覚えながら答えるんで大丈夫、質問をどうぞ」

「では・・」


 ・・・


 取り留めのない一般常識と簡単な問答をした後、特に何も言われる

 事無く、これで終わりです。と、手順に従う様に軽い調子で話が進む。


「容姿と身長の改変を確認、平衡感覚にズレが生じる可能性が有りますが、

 宜しいでしょうか?」

「大丈夫です。現在の設定を適応、保存する事に同意します」

「キャラクターエディットを完了します」


 ・・・・・



 元々も苦手だったが、数年触れてなかったから自由度高いのが

 地獄の入口にしか見えなかったよ・・・。

 軽くグロッキーになった時に目の前の人から救いの手が差し

 出されたので、一目散で提案に乗った。疲れたー・・・。


「次に名前の決定です。ファーストネームとファミリーネームを

 両方付けるのを推奨しておりますが、如何されますか?」

「・・・・・レン・コールマン」

「レン・コールマン様、で宜しいでしょうか」

「大丈夫です」

「それでは、スキルの選択を開始してください。スライドさせれば

 選択できます。詳細を見たければ、長押しで見る事も出来ますので

 参考にしてみて下さい」


 そう言われ、スキルの選択画面を見ると。


「うっわ・・・何だこの数!?」


 スキルの数は8千245、異常に多いなあおい。まあ、習得できるスキルは

 7つ、選ぶのは・・・って、半分くらい使えねえ!?じゃあ・・・これだ。


「〈筋力強化〉〈龍化〉〈基本剣術〉〈身体能力強化〉

 〈炎魔法〉〈魔力活性〉〈風魔法〉で宜しいでしょうか」


 ザ・普通スキルの寄せ集めである。敢て意味深な割に良く分からん〈龍化〉や、

 今一のみ込めて無い〈魔力活性〉なんかを除けば、普通オブ普通に仕上がった

 んじゃないだろうか。大体は使えないスキルが多過ぎた所為だが。


「大丈夫、それとー、ガチャについて聞きたい」


 このゲームをやるのに際して、世界観を含まない最低限の情報を仕入れていた

 段階でオンライン・ゲームではまず存在するガチャの情報が

 このゲームには欠如していたので、ちょっと聞いてみた。


「ガチャに関しては、実際に利用した方が分かり易いかと」


 そう言って指先を空中で弄ばせていると、ステータス画面の1部が光った。


 ピコン・・


「無料ガチャチケットを配布しました。最初に配布される物とはまた別の

 チケットですので、気兼ねなくご利用ください」


 まあ、使わない理由も無いので取り敢えず・・・・とりあえ・・とり・・・?


「・・・・使用方法が分からないです」


 報酬画面どころかステータス画面にも変化がない。どうすれば

 良いのだろうか・・。


「手に取れば使い方が分かりますので、一旦取り出してください」

「・・・お!?」


 言われるがままにアイコンをタッチしてチケットを手に取ると、必要な

 情報が脳内に知識として入って来た。


「ガチャには、いくつかの種類が有ります。ゲーム内通貨による物、

 運営配布、課金、特殊モンスター討伐、 の4つが主で、

 特殊モンスター討伐チケットは討伐したモンスター関連の

 アイテムが出る抽選ガチャが引けます」


 これは、参考映像がゲームを開始した直後から観覧できるので、

 その時にご覧下さい。とのことだ。


「運営配布チケットは、イベントやエリアボス初討伐等の報酬で出てくる、

 所謂ご褒美で出る物と思えば簡単でしょうか。ゲーム内通貨でのガチャは、

 金額によって品質が違います。モンスター討伐チケット以外は、実際に

 ゲーム内で確認していただくのが宜しいかと」

「分かった。そんじゃ・・・・あー」


 早速使用しようとするのだが、その前に確認しなければならない事が

 有ったと1つだけ質問してみる。


「ちなみにだが、このチケットは何に当たるんだ?」

「運営配布の物で、レア度は上から5番目までの物が出ます。

 これは課金ガチャと同じ物で、開始時点で全てのプレイヤーに

 配布されている物ですが、コレはチュートリアル用の物ですので、

 最初に配布される物とはまた別と考えていただければ宜しいかと」


 確認を取った後、脳内に入って来た動作に従って操作し、

 抽選画面へ移り、数秒後。


 ・・・・ピコン・・ピシィ・・・


 画面にヒビが入り、アイテムが手元へ移る。詳細情報を見ると、


「〈聖杯〉?なんだこれ」

「・・・おめでとうございます。現在のガチャにおいて最高レアリティーの

 アイテムが初めて引かれました」


 レア度の欄には世界級、アイテムの詳細はこんな感じだ。


 英雄の聖杯 レア度:世界級

・1万年前に起きた戦争を解決した聖杯、伝説に登場した英雄の魂が眠る杯。

・かつて神々の戦いに参戦し、散って逝った男の魂を媒体として作成された聖杯

・聖杯には英雄が宿り、所有者の危険を救うとされる。

 ???作成時必須アイテム

 スキル、常時ステータス微上昇、???未満?????召喚(現在情報収集中)、

 ステータス補正???(未登録情報です)



「なんていうか・・・・・微妙だな。?に隠れているけど、どんな

 効果が有るんです?」


 聞いてみた限りでは、最高レア、初出、何らかのギミックか、そも

 装備アイテムじゃないからこれから必要になって来るのか。どうなんだろ。


「そのアイテムが表記された以上の効果を及ぼすことは有りません。

 見えていないのであれば、その条件を満たすものが此処に無いのでしょう」

「じゃあ、外に出れば内訳が見れるとか?」

「あるいは一度でも条件を満たせば」


 なるほどなぁ、でもなぁ。


「あんまり使え無いってイメージだよなぁこれ・・」

「テイム用の最上位アイテムでもありますので、使用方法は言えませんが、

 テイマーになる事をお勧めさせていただきます」


 テイマーかー、動物好きだから候補に入れとこう。就職方法とか

 知らないから後で聞かないとなー。


「考えとく、それで、他にする事はありますか?」


 ゲームその物がどんな中身なのかを早く見たいと、少しわくわくし

 始めている26歳は、若干わくわくの勝った自分に少し驚きつつ、

 女性に問いかける。


「するべき事は以上となります。それでは早速、初期転移国家に

 転送させていただきます。それでは〈World Seeds〉にようこそ」

「あ、その前に、お姉さん名前を聞いても良いでしょうーーーあーーーー」


 転送陣なのか、地面に模様が浮かんだと同時、一瞬世界から色が消えた。


「・・・アリス(・・・)です。機会が有れば、またお会い致しましょう」


 ・・・・



「うっ!」


 転送された瞬間、光に目が眩み、眩しいながらもゆっくりと目を開く。


「おーーーーーーー」


 そこには港町が広がっていた。


「すげえ!?」


 その光景を表現し得るたった一つの言葉が有る。現実だ。鼻をくすぐる

 潮の香り、干物を取り扱っている商人が居る所為だろうか、花の

 香りと混ざって若干不快な所を含めて超リアル。何だこれ!??


「技術やべえな!!」

「コラ!街中で叫ばない」


 流石に声が大きかったのか、注意された。注意したのはレンより

 一回り小さい緋色の瞳にショートカットの峰里を少し大人っぽくした

 様な女性だった。


「ああ、スミマセン」


 謝罪と同時に頭を下げ、声のした方向をみやる。すると、

 にっこりと擬音でも付きそうな程楽しそうな笑顔をした

 女性が立っていた。・・・何故声帯も若返っているんだろ。


「分かれば宜しい。君、最近ゲーム始めた子なのかな?」


 小、中学生かの確認か。良い人っぽいな。


「いえ、最近やってないだけで昔はやってましたが・・・、

 綺麗になりましたねぇ」


 鳥達の鳴き声、汗水垂らして建築作業に没頭する職人達、

 そこには生活が根付いている。そう感じられる程の没入感だった。


「うんうん、だよねだよね!!1,2年前と比べても、加速度的に感覚を

 錯覚させる事が出来るようになったからねー」


 はきはきと語る女性は、一通り話しを終えると話題をこちらに移してきた。


「ところで君1人かな、良かったら私達とパーティー組まない?」


 そう告げた彼女は、言外に自分以外にも仲間が居るから、

 苦手なら断ってね。と、割とやんわり?した誘い文句で問う。

 これ初心者救済してる人達っぽいな。


「えー、知り合いと待ち合わせしているので、申し訳ないですが・・・」

「そっかそっかー、・・・ちなみに待ち合わせ相手って1人?」


 一瞬、つばさの名前が浮かぶが、一緒にやると言ったのは

 今日明日の事ではなかった筈だし、今日会うのは顔合わせ

 をしておこう程度の物だった筈なので、除外した。


「はい、1人ですね」

「それじゃあ、その人も含めて一緒に行こうよ」


 結構ガツガツ来るなこの人・・まあ、確認するくらいは良いか。


「知り合いと待ち合わせをしているので、先に確認してからで良いですか?」

「わかったよ。えっと、フレンド申請するから受けてね?」


 言うが先か、フレンド申請が送られて来たので、承諾する。

 好印象を持たれたのか?わからん・・。


「よろしくお願いします」

「それじゃあ、またねー!」


 足早に去る彼女を見送り、久時の居る場所へと向かうのだった。

 ってかマキリス・ミュール(・・・・)か、凄い原作ムーブしてんな。


 ・・・・5分後



「来ないなぁ・・・・」


 待ち合わせ場所で久時を待つが、一向に来ないもんだ。あいつ、

 10分後って自分で言ったの忘れたのか?


「かっちゃーん、何処ー?」


 大きな声が響き渡る。


「うるせえ、何処の誰だ大声で叫んでんの!」


 怒号とまでは言えないが、音量の大きい場所で人探しをしようとするなら

 多少の声は仕方が無いのだが、明らかに騒音と呼べるほどの大声に、

 少々声を荒げたレンが注意しようと叫ぶ


[注意のために注意しようとしている事を自分でやる。本末転倒である]


「あ、ごめんごめん・・・って!」

「お前・・何でそれ?」


 そこに立っていたのは、高校生時代の姿?を模したかのような

 久時その人だった。


「かっちゃ・・・うん、コール君は何か色々変えたねぇ。身長は

 高校の時っぽいけど。顔が昔のなのちょっと笑える」


 ちなみにだが、プライベート時の久時は俺の事をかっちゃんと呼んでいる。

 克己だからかっちゃん。ううむ安直。


「お前は・・・・派手になったな」


 それと言うのも、顔立ちに学生時代の面影はあるものの、正直

 言われなければ分からない程度には顔を弄っていた。二重瞼に

 髪形と色、身長に目鼻立ちも変えていて、知らなきゃ分からんレベル。

 まあこれが普通なのだろうが。コンプライアンスとか割ともう

 明け透けだし、どっちでも良いと思う(アホ)。


「気にしないで、少しくらい変えておくのもマナーだし」


 そう言いつつ頭を掻きながら目を泳がせる久時を見て、

 これ以上は何を言っても無駄だと感じたレンは、話を進める。


「知らん。あと、一緒にパーティー組みたいって人が居るんだが、大丈夫か?」

「あー・・・、ごめんツバサちゃん呼んじゃったんだよ」


 頭を掻きながらバツが悪そうに謝るが、特に思う事も無いので気にしない。

 あの人には悪いが、別段今度埋め合わせでもすれば良いのだ。

 良い人そうだったし。


「いや、こっちの都合だし、気にするな」


 画面をスライドさせ、組めなくなったと言う旨のメールを送る。すると・・


「マジか~」ザワザワ…


 さっきの女性の声が聞こえた気がしたが、多分気のせいだな。

 声が部下に寄ってた気がするし。


「取り敢えず、峰里を探そうぜ」

「いや、翠ちゃんならそろそろ・・・・・来たね」


 久時の指差す方向を見た時、既視のある顔が目に入って来た。


「ん・・・んあ!?」


 そこに立っていたのは、よりにもよって先程叱られた女性だった。


「えっと・・・・クジさんと・・・ありゃ!?」

「お前だったのか、マジか」


 なんだろう、謝った事を急速に恥ずかしがる気持ちと、

 会社では部下の知らない一面を見られた事に、嬉しい気持ちが混在している。

 ・・なるほど、嬉しい、か。良いな。


「何でこんなとこ・・ろ・・・まさか!?」

「正解だよ、・・マキちゃん」

「うそですよね?この子が課長だなんて」


 無茶苦茶声色変えてるのな。全然分からなかった。


「悪いかー、マキー」

「うぇー・・・・損したー。って、なんか元気ですね、今日」

「初日だし」

「そりゃそーですね!えー、地味そうな青年だと思ったのに、

 これだからゲームは怖い・・」


 俺は知らない少年(or青年)に声かけるお前のアグレッシブさが怖いよ。


「愚痴終わり!進めるんだろ。行こう」


 心外な言葉を浴びせられながらも話を進める為、とっとと話を促す。

 意外と悲しかったのは内緒だ。良い人だと思ったら肉食な部下とか・・。

 今度みこっちゃんと穂積呼んでネタにしよ。


「あ、そうでした。かちょ・・・レンさん」

「どっちでも良いよ、マキリス・ミュールさん?」


 久時は昔の感覚で名前を付けていたのだが

 周りを見ると明らかに西洋風の名前が多い。

 ご多分に漏れず峰里も同じように名前を付けてはいるんだが。


「もうちょっと考えて名前付けるべきだったかも知れない・・・・」


 こそばゆいのか、頭を抱えながらぶつぶつと呟く。だってミュール

 だもんなぁ。コールマンとミュールだもんなあ!!原作同じ

 キャラの名前つけるとか笑わせるわー。


「ああもう!進めるぞ」

「は~い」

「はいはいー!」


 で、まあ取り敢えず移動する事になったんだが、移動中暇だったので、

 少しだけこのゲームの事を話す事になり、そういえばとあの事を

 聞いてみる事にした。


「でなんだが、ガチャからは何が出た?」

「ガチャ?」

「あー、私はやりましたけどー・・・」


 久時は何のことかわかっていない様で、マキリスは煮え切らない

 答えだ。どした?


「ステータスの右上タッチしてみろ、ガチャの項目が出る」

「えっと・・・・あったあった。これかぁ」


 言われるがままに操作し、発見した様なので勧めてみる。


「初回は無料らしいから試してみ。ってかチュートリアル見なかったのか?」

「分かったー。容姿設定とか、流石にコールと違って

 最近でもやってるからね。あそこだけ汎用のデータ使ってるし。っよし」


 なんだー。あのエルフさん汎用データのバンクなのか。

 とか思っている間に、ものすごーく軽い調子でガチャを回していた。


 ピピ・・ガコン


「えっと?・・・・多分すごい武器だねコレ」

「何が出たんだよ、見せてみ」


 そう言って手元に出たのは、刃の部分が浅く紺色に輝く1本の槍だった。


「これは!?」

「知ってるのかマキリス?」

「このゲームのタイトル画面に映ってる槍じゃないですか!」

「あっ」


 言われてみればそんな気もする。


「それで、性能はどうなってるんだ?」

「えっとねー、ATK+35、AGI+45、槍神の加護、

 自己成長って書いてあrブッ!?・・・」


 ここでマキがクジの口を塞ぎ、会話を中断させた。


「どうしたんだよ」

「・・・このアイテム、少なくとも今ここで話をして良い物じゃありません」


 目に真剣さが宿ったその顔を、否定する事も出来ず、

 取り敢えず人目に付かない場所へ移動していると。


「はいはーい、そこまでー」


 移動中、横から誰かが話しかけて来る。

 誰だこんな時に?と、声のした方向を見ると。


「話は聞いたよー?先輩として、ちょーーっと言わなきゃ

 ならない事が有るから、話そうか」


 そこに居るのは長身で、何故か顔を崩した後が見え隠れする2m強の男と

 その横に立つ逆に140㎝にも満たない身長の童顔の少女が立っていた。

 少女の方装備全部真っ赤なんだが、趣味か?


「いや、こっちは特に用はねえよ?」

「いやー、初めて来た旅行者みたいなその反応を放置するのは

 ちょっとねぇ・・。それに、悪名高いミュールさんに、

 逸話級アイテムだ、放って置く理由が無いでしょぅ」

「ムグッ・・・ッ―――!?」

「へぇ・・・やるんです?」


 一触即発みたいな雰囲気出してるが、多分マキは自分の行動を

 省みた方が良いと思う。初心者に片っ端から声かけまくった所為で

 出会い厨が片っ端から男女食おうとしてる!?とか言われてんだろ

 コレ。あと原作見てるかチェックするあたり、特に争うつもりも

 無いと。1つだけ理解できない単語が有ったが・・。ってか後ろの

 幼女何か言おうとして詰まってるの可愛い。


「いつわきゅう?」

「其処は私が話しましょう」

「い、一応こっちも話すわよ!間違ってたら嫌だから!」

「ご自由にどうぞ~」


 うーむ、かわいい。じゃ無かった・・・。


「じゃあ、取り敢えず宿で飯食いながら話そうぜ、なんか腹減ってるし」


 状態異常に飢餓も有るのか。良いなコレ、多分飯も美味いだろう。

 で、どっかお勧めある?


「それなら、木漏れ日の宿で良いんじゃないかなぁ。リポップしてから

 街の外までも近いから、後ご飯が美味しいーー!!?」

「決定、レッツゴー!!」


 と、ごはんの件で限界になったので、正体不明の二人の大きい方の手を

 取り、レンは走り出した。


「な、なんなのあの人!??」

「この中で多分一番年齢と精神年齢が乖離している人ですね。行きましょう」


 パシッ!


 いやらしい手つきで肩を組もうとしたマキの手を弾き


「貴女はあなたでなんなのいったい!!?」


 と突き放す。


「つれないですねー。良いじゃないですか、減るものでもなし」

「減るのよ!気持ちとか色々!!?」


 何のかんの言いながらもレンの後をついて行く幼女に付きまとう女を

 お兄ちゃんが引き剥がしながら、四人は歩を進める。



 そして、此処で会った少女がこれから先、

 長い付き合いになる事をレン達はまだ知らなかった。


(少女の方だけ、・・・だってお兄ちゃん忙しいんだもの)

なんか無駄ばっか多くなってたので、ちょっとだけ物語をまとめます。

最新話まで呼んでいただいた方、本当に申し訳ありません・・。

一からでは無いんですが、割と設定変えまくっちゃいました・・・。


リアルにつなげるためのゲーム編みたいなものなので、ちょっとSFの中でも

突飛な内容になるかもしれません。



誤字の部分を送ってくれた方、有難う御座います。いやぁ、あんまり

確認してないからね、仕様が無いね(はい、ごめんなさい・・)。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ