番外編3
お願いしておきます!
「グレがいいと思います!」
前に乗り出しながらユリーシャが言う。
「いや、スーだろ!」
机を両手で叩きながら立ち上がりイリアルはそう言うとユリーシャに顔を近づける。
「二人ともセンスないです!グルドで決まりですよ!」
二人の間に入るように花菜がそう言う。
えーと、口論が始まったきっかけは小さくなった巨大生物の名前がきっかけだ。
リビングについて早々、小さくなった巨大の名前をどうするかの会議が始まった…始まったのだが、ユリーシャ、イリアル、花菜が自分が着けた名前がいいと口論になり今の状態にいたる。
他の子たちは、こうなることを察してか、そそくさと各自の仕事場に戻っていった。
「はぁ…」
僕はため息をつきながらそんな三人をソファーに座り見守っている。
僕がなぜ見守っているかって?それはね、最後にリビングを出たルルーシャとエルグから
《名前が決まったら、食事の時に発表をお願いします》
《ケンカが始まりそうでしたら仲裁役お願いします》
と仲裁役をお願い…いや、押し付けられてしまったと言った方がいいかな。
「あのさー…その子にどれがいいか決めてもらったら?」
僕はソファーから恐る恐る三人にそう言って小さくなった巨大生物を指差す。
「そうか!その手があったな!流石未来の夫だ!」
「それが一番ですね!流石私の未来の旦那様!」
「そうだね!悠真君の言うとおりだね!」
三人はうんうんと頷きながら小さくなった巨大生物に目を向ける。
「おい!」
「貴方はどれがいいですか?」
「君が決めてください!」
「えっ?僕…が?うーん…」
これで決まると思って安心していた僕に視線がとぶ。
視線の正体は小さくなった巨大生物だった。
「えっ?好きなの選んでいいんだよ?」
僕は小さくなった巨大生物にそう言う。
「えーっと…」
小さくなった巨大生物は、困ったようにそう言い黙り混んでしまった。
「はぁ…じゃあさ、グードは?三人の一文字からとってグード!」
僕はため息混じりにそう三人に伝える。
「うむ…悪くないな!グード…」
「グード…グーちゃんですね?いいですね?」
「流石、悠真君!グード…グード君いい名前!」
「グード…君はこの世界にいる間の名前だよ?いい…かな?」
僕は小さくなった巨大生物に首を傾げながらそう聞く。
「…グード…僕の名前…うん!グード!ありがとう!僕の名前はグード!」
グードはさっきまでの困り顔から一変して跳び跳ねながら喜んでいた。
その光景を僕ら四人は口角を上げ微笑みながら見ていた。
その日の夜、夕食時にこの子の名前がグードに決まったと皆に報告をした。
「「グード…いい名前です!」」
エルグとルルーシャが同時にそう言い、皆うんうんと首を縦にふった。
「グード…です…よろしく…お願いします…」
グードはそう言いながら小さな体を折り曲げお辞儀をした。
「じゃあ…改めてグード…ようこそ僕らの屋敷に、帰る目処がつくまでよろしくね?」
僕はグードに手を差し出して歓迎した。
「ありがとうございます!僕…なんでもお手伝いします!」
グードの小さなてが僕の手に触れ僕らは握手を交わした。
――――――――――――――――――――――
グードがこの世界に迷い混んできて一週間が過ぎた。
「うー…まだまだ外は寒いな…雪も積もってるみたいだし…」
僕は窓を開け身震いをさせながらそう言う。
「悠真様…」
下の方から声が聞こえて来て僕は下を見る。
「グード?どうかしたの?」
下にいたのはこの世界に迷い混んできた巨大生物(小さくなったバージョン)のグードだった。
「これ見てください!ハクアさんと山に狩りに行って来ました!雪ウサギが3びき捕まえました!」
テンションが高いのか、グードは跳び跳ねながら僕に雪ウサギを見せる。
「すごいね!今日は豪華な雪ウサギ鍋だ!ハクアもありがとう!外寒かったでしょ?キルに頼んでお風呂沸かしてもらおうか?」
僕は二人の姿を見ながらそう言う。
「お風呂ー!ハクアさん、お風呂ですよ?お風呂、早く入りにいきましょう!」
グードはハクアの手を引っ張りながら足を急がせる。
「悠さんありがとうございます!グードさん…待ってください…まだ、雪ウサギをキッチンのララルさんとアースさんに届けてからに…それに今からなのでお風呂に入るのも最低でも10分はかかりますよ?」
手を引かれる手を止めながらハクアはグードにそう話す。
「そっか…じゃあまずキッチンからだね?」
「ちょっ…グードさん!悠さんお手をおかけします…」
ハクアは僕にペコリと頭を下げグードに引かれながら屋敷に入っていった。
「さむっ…さて、キルに頼みに行こうかな!」
僕は窓を閉めボソリとそう言って部屋を後にした。
「キルー!いる?」
僕はキルの部屋の前でドアを叩きながらそう言う。
「悠さん?どうしたんですか?」
ガチャッとドアが開きキルが姿を出す。
「何かしてた?」
「いえ…大したことは…なにか用事ですか?」
「ハクアとグードが狩りから戻ってきたんだけど、お風呂沸かしてもらえるかな?」
「わかりました!直ぐに準備しますね!」
キルはそう言うとそそくさと部屋を出てお風呂場に向かって姿を消した。
「あっ…悠真君…部屋にいないと思ったらここにいたんだね?誰かに用事だったの?」
後ろから声がし振り替えると花菜が立っていた。
「うん…ハクアとグードが狩りから帰って来たからキルにお風呂を沸かしてもらおうと頼みに来たんだ!今日は雪ウサギの豪華な鍋だよ!」
「そうだったんだね?雪ウサギ、美味しそう!お風呂に入るんなら二人分のタオルと着替え用意しておかないといけないね?」
花菜はニコリと微笑んでそう言った。
「うん…任せた。あっ…そう言えば花菜、僕になにかようだったんじゃ?」
「あっ…忘れるところだった…イリアルさんとユリーシャさんが悠真君探してたよ?何か話があるみたいだったけど?」
花菜はそう言いキル同様お風呂場の方に消えて行った。
「ありがとう!」
僕は花菜の背中に向けお礼を言った。
「話ってなんだろう…」
僕はボソリと独り言を言うとイリアルとユリーシャを探しに階段を下りた。
最後まで読んでいただきありがとうございます!




