魔王と勇者の新事実!
僕は今、グランデル王国の王宮の中の王室...ではなく、なぜか王の寝室に横になっている。
「んっうーん...」
隣にはなぜか、半裸のイリアルが寝ている。
「いや...なんでこうなった?てか、何で僕はベッドに寝てるの?」
(今から半日前...)
「ブワックション!」
「あっ...すまない!ずっとここで話をしてしまったな!悠真、中に入ってくれ!君のために色々と料理を作って待っていたのだ!」
そう言うと、イリアルはグイグイと僕を引っ張りながら 中に連れて行こうとする。
「いや...僕は帰りたいんですけど...」
「なぜだ?」
「だって、ユリーシャが心配してるだろうし、この国少し寒いですし、そもそも僕は、貴方の婿になる気は」
(ありません!)と言いかけた瞬間
(シュッ!)
と音がし、僕の首元には何か鋭く光る短剣が突きつけられた。
「えっ?」
僕は唖然とした表情で言う。
「君は私の婿で、今から私の作った料理を食べる。そうだな?」
殺気がかった笑顔に僕は生唾をゴクリと飲み込んだ。
「えっと...」
「だ・よ・な?」
イリアルはそう言うと、さらに短剣を首に近づける。
「はい!そうです!今から僕は、貴方の料理を食べます!食べさせて頂きます!」
必死の声に短剣は僕の首から離れた。
「そうかそうか!そんなにか!」
イリアルはうんうんと頷きながら嬉しそうな顔をする。
(脅したくせに良く言うな...とは言えないな...殺される!ん?でもこの感じ、前にもあったな...あー、ユリーシャと出会って同じようなことを言われた後のようだ!)
僕はそれを思い出し、(クスリ)と笑う。
「笑った...?今、笑ったぞ!悠真、可愛すぎる!」
そうはしゃぐイリアルに僕は
「ふふ!ふははは!」
と笑い出していた。
(さっきまで、人に短剣向けて殺気だててた人とは思えない変貌ぶりだな!)
僕は心の中でそう思った。
「ん?私は何か変なこと言ったか?」
「いや...くく!君の変貌さに少し...ふふ!さっきまであんなカオスな状態だったのに、コロコロと顔が変わって君...以外と可愛いな!」
僕は止まらない笑い声で、そんなことを言う。
「えっ?今...なんと?」
イリアルはキョトンと顔で僕を見る。
「ん?さっきまであんなカオスな状態だったのに?」
「その後!」
「コロコロと顔が変わって?」
「もう一つ、後!」
「君...以外と可愛いな?」
「それだ!もう一度言ってくれるか?」
「ん?可愛いな?」
僕は、イリアルに言われた通りに言う。
「...」
イリアルはなぜか、顔を手で覆い黙り込む。
「どうか...したの?」
僕がイリアルに近付こうとしたときだった。
(ふらっ...)
「えっ?」
(バタン!)
突然倒れた僕は、遠のく意識の中でイリアルが泣きそうな顔で必死に
「悠真!悠真ー!」
と呼んでいた。
(何で僕は倒れたんだ?あれ?体も動かないや...あーでも、あんなに人前で笑ったのはいつぶりだろう...)
そう思いながら僕の記憶はそこで、途切れた。
心の中の小さな僕が、暗闇の中で、小さな米粒から、一㎝の水晶体くらいになって、さらに大きく光りだした瞬間だった。
そして、今の状況に戻る。
(うーん、確かイリアルさんの様子がおかしそうだったから、心配して近づこうとしたら足がすくんで倒れて、までは覚えて...で、何でとなりに、半裸のイリアルさんが寝ているの?どうなったらこんな状況になる?てか、これ、デジャヴ感が半端ないんな!まるで、ユリーシャとの出会いを一部違うけど再現しているみたいだ!)
僕が色々と考えていると...。
「んっうーん!」
(ギシッ!)
「ノァッ!」
隣で寝ているイリアルが寝返りを打ち大きな胸が僕の左腕をしっかりと包み込んだ。
(えっちょっと?)
僕はそう思いながら、この状況を打破しようと色々と考えながら、左腕を動かしてみる。
「んっ...んー!」
(ギューッ)
さらに力が入り、腕が胸の谷間に入り込む...そして
(やっやばい!)
僕は心の中で叫んでしまった。
腕を動かしている時に、力が入ってしまったせいで、僕の指はとんでもないところに行っていた。
僕は、どうにかして向きを変えようとゆっくりと腕をまわそうとする。
(スゥー)
「あっ...ぁん!」
(ビクン)
イリアルの体が一瞬のけぞる。
(ヤバい!起きたか?)
「スゥー...スゥー...」
(ホッ!よかった、まだ寝てる。でも、下手に腕を動かしたら返ってヤバそうだ!)
イリアルの反応を見てそう考えた僕は、気づかれないように(そーっと)腕を抜くのは諦めた。
(さて、どうするか...)
「スゥー...スゥー...」
(気持ちよさそう眠って...寝顔だけ見たら、子どもみたいだ!)
「うーん...」
(でも、このままだと僕の理性が飛びそうだから、可哀想だけど起きて貰おうかな?)
そう思った僕は意を決してイリアルの名前を呼び起こすことにした。
「イリアルさん?イリアルさん?」
「んっ...うーん...スゥ...ースゥー...」
「イリアルさん?おきてもらえませんか?」
「スゥー...スゥー」
(駄目だ!僕の呼びかけに対し一向に起きようとしてくれない!)
僕が、頭を悩ませていると
「イリアルさんじゃ...いやだ!」
そう、小さくボソリと言う声が聞こえた。
(ん...?あっ!もしかして...)
「イリアル?起きてくれないかな?」
僕は思い出したかのように、イリアルの名前を呼び捨てにし、タメ口で話す。
「ふふ!なんだ?悠真...」
それに対して即座に返事を返すイリアル。
「イリアルおはよう!いつから、おきていたんだ?」
僕は照れ笑いしているイリアルに問いかける。
「悠真が私の敏感な箇所に触れたくらいからかな?」
「そこから?早く言ってよ!かなり神経つかったよ!」
「いや...私の反応に戸惑う悠真が可愛くて、ついな!」
イリアルはそう言いながら僕を見る。
「人をからかわないで頂けますか?それと、可愛いは余計です!」
僕があきれ顔で言うと、イリアルは(ブー)っとふくれっ面をした。
「ん?」
「さっきは、タメ口だったぞ!」
「わかった!わかったよ!これでいいかい?」
僕は投げやりにイリアルに言うと
「ふふ!」
イリアルは幸せそうに、僕を見る。
そして、(チュッ)と僕のホッペにキスをした。
「なっ!」
僕は赤くなりながらも冷静を保つ。
「それで、イリアル...僕はどうして君と...ベッドに寝ているんだい?そして、君が半裸なのはどうしてだい?」
(そう言えば、ユリーシャの時も全く同じ状態だったような...。あの時は、聞きそびれたけど、イリアルとユリーシャには何かつながりがあるのか?でも、魔王と勇者だし、深く考えすぎか...)
僕がそう考えていると...
「これは、治癒能力を最大限に発揮させるために必要な格好んだ!体調は良くなったみたいだな!良かった!」
「へぇ?」
僕は首を傾げイリアルを見る。
「覚えていなくても無理はないか...君は昨日、熱が四十度近くまで上がり、王宮の門の前で倒れたんだ...私が長々と話をしたばかりにすまなかった...」
「いや、そんなに謝らないでいい...君は僕を治してくれた!」
僕は感謝の言葉をイリアルに言った。
「でも!」
「それ以上謝ると、さん付け+敬語に戻るよ?」
「うっ...」
僕がそう言ったらイリアルは(それは困る)見たいな表情で僕を見た。
「ふふ!」
それが可笑しくて僕らは二人して笑った。
その時だった...
(バン!)
いきなり扉が開き僕はビクリとし、上体を起こし扉を見る。
「イリアル!その方から今すぐ、離れてください!」
そう言って入ってきたのはユリーシャだった。
「なんだ、アルデルン王国の勇者ユリーシャじゃないか...ずいぶん早かったな!でも、すまないが今、私達はお楽しみの真っ最中なのだ?用は後にしてくれないか?」
イリアルは僕の体に胸を押し付けながらユリーシャに言う。
「それは、グリフィンに乗ってきたからです!それより、離れてください!悠真様!てか、イリアル!悠真様から離れてください!」
(ズンズン)とユリーシャは僕とイリアルに近づいてくる。
そして、僕の頭を持ち自分の胸に押し付ける。
「悠真様は、私の旦那様なのですよ!」
「まだ、ユリーシャの旦那になると決まったわけではないのだろう?」
「うっ!そうですが、私は悠真様と体を密着させ合い夜を共にした関係ですのよ!」
「その程度か...私は大事なところを悠真が触ったぞ?」
「ムゥッ!それなら私は悠真様と濃厚な熱いキスをしましたよ?」
「なっ!悠真は私の事可愛いといってくれたぞ!」
「悠真様は私の旦那様になるのです!」
「いや、悠真は私の婿になるのだ!」
そう言い合いながら僕の体は右に左にと揺さぶられる。
「二人とも待ったー!」
(ピタッ)
僕の叫び声に二人の動きが止まる。
「はぁはぁ!そんなに、体を揺さぶられたら目が回るよ...それに、僕は二人の旦那や婿になるとは言っていないよ?」
僕は息を切らしながら二人に言う。
「だが、あの時言ってくれたじゃないか!」
「いや?僕は、貴方の料理を食べます!食べさせて頂きます!とは言ったけど、イリアルの婿になるとは言っていないよ?」
「えっ?」
そう言うと、イリアルは記憶を巻き戻す。
「...確かに。」
「それに、イリアル、もうそろそろ服を着てくれないか?」
「あっ!すまない...」
そう言いながらイリアルは素直に上着を着る。
「ユリーシャ?君とも友達関係からよろしくお願いします。だったよね?」
「うっ...」
「全く!僕の何処がそんなに良いのやら...」
僕がボソリとそう言うと
「可愛いところ!優しいところ!一緒にいて落ち着けるところ!私のことを心配してくれるところ!一緒にいて楽しいところ!(略)」
二人は全くおんなじ事をタイミング良く一緒に言った。
「なっ!イリアル私の真似をしないでください!」
「それは、ユリーシャだろ?」
「いつもいつも、私の欲しいものを横取りして!今までは許してましたが、悠真様は絶対に譲れません!」
「それは、こっちのセリフだ!こっちには国を守る責務があるし、自由気ままに勇者ごっこをしている君とは違うのだ!私はこんなせ姿だから人間の男は寄ってこようともしない!悠真だけなのだ!私のことを可愛いと褒めてくれた男の子は!」
「なっ!悠真様は私が勘違いをして旦那様にしようとして、お父様から本当の事実を言われても、私を攻めずに許してくださったのです!すぐに勘違いをして、おっちょこちょいな私を正面から、一人の女の子として見てくれたのです!私には...悠真様しか、いないのです!」
「私も悠真しか考えられん!」
「私が先に出会ったのですよ?」
「出会いは関係ない!」
「そうやって、いつも姉さんは!」
「それは、私が言いたい事だ!」
(姉さん?ん?今、ユリーシャ姉さんって...)
「ちょっ...ちょっと待って!ユリーシャとイリアルはどういう関係なんだ?」
「え?姉妹?てか、双子だ(です)!」
僕の割って入ってきた質問に二人はポンと物を置くように軽く答えた。
「へ?」
「だから(ですから)私達は姉妹だ(ですわ)!」
「えーーーー!」
(この人達、こんな衝撃的事実をあんなにさらっと流そうとしたのか?てか、この世界、色々おかしいよー!)
「それで、悠真様は私とイリアルどちらを選ぶのですか?」
「そうだ!私とユリーシャどちらを選ぶのだ?」
「答えろ(てください)!」
僕は二人から迫られ頭がパニック状態になる。
(プシュー...)
考えすぎた頭は容量オーバーとお腹の減りすぎにより、思考停止...いわゆる僕は気絶をしてベッドに倒れてしまった。
(この世界に来て何度目だ?僕弱すぎでしょ!本当に!僕の心よ、早く免疫力をつけないと、このままではこの世界でも早死にしそうだ...!)
最後まで読んで下さる方、誠にありがとうございます!
物語も順調に進み、新事実が発覚しました!感がいい方は、途中で分かってしまったと思いますが...。
まだまだ文章能力が低く間違いがあるかと思いますが、その際は、感想に書いて下さればありがたい限りでございます!